3年後にはスマホ自撮りで「舌がん」発見? ドコモに現状と課題を聞いた

カテゴリ:ビジネス

  • 舌がんの早期発見につながる新技術をNTTドコモと東北大学が開発
  • スマホで撮った画像をAIが解析し、舌がんのリスクを判定
  • 手ぶれなど自撮りするときの影響を、いかに学習させるかが課題

舌がんの早期発見につながる新技術

タレントの堀ちえみさんが患っていることを公表した、舌がん。
症状の自覚はあっても、口内炎と勘違いしやすく、早期発見が難しいとされる。
堀ちえみさん公表の「舌がん」 舌の「白斑」「紅斑」には、がん化の可能性!

こうした中、舌がんの早期発見につながる可能性がある、新たな技術をNTTドコモと東北大学が発表した。

スマートフォンのカメラで歯ぐきを撮影するだけで歯周病を発見できるAI(人工知能)を4月から共同開発。2022年度をめどに、歯周病だけではなく、舌がんを含む、口腔がんや顎関節症といった、他の口腔疾患についても発見可能にし、実用化を目指すという。

スマホで自撮りするだけで発見できるという手軽さは、病院に行くのが億劫だという人にとっても画期的な技術だ。
では、この新たな技術は、どのような情報から歯周病や舌がんを発見するのか?実用化に向けた課題は何なのか?
現状と課題をNTTドコモの広報担当者に聞いた。

歯周病は自覚症状が少ない

――なぜ、このようなAIを開発しようと思った?

自覚症状が少ない歯周病が、生活習慣病や歯の喪失を引き起こすことを知ったことがきっかけです。

歯周病は自覚症状が少ないこともあり、初期の段階での歯科医院の受診や、歯科医院で行われている歯周病検診を受診する方も少ないということで、重症になる前での治療開始に繋がるような仕組みがあれば、と考えました。

そこで、自宅や空き時間で歯周病のリスクを簡単に把握できるものがあれば、たとえ、歯周病になっていたとしても早く発見できるのではないかと考え、研究開始に至りました。

――どのような手順で歯周病を発見する?

歯周病を発見するAIの場合、スマートフォンで歯ぐきを自撮りし、その画像をAIが解析し、歯周病のリスクを判定します。

この技術を用いることで、利用者は自宅や会社で空き時間に歯周病のリスクを把握。
歯科医師とのコミュニケーションを活性化させることによって、歯周病検診の受診につなげ、重症化を防ぐことが期待されます。

口腔疾患を発見する機能を用いたデモアプリ
口腔疾患を発見する機能を用いたデモアプリ

――何を根拠に歯周病のリスクがあるかどうかを判定する?

たとえば、歯周病のリスクを判定する場合は、写真から歯ぐきの色や形、表面の質感などの情報を用いて、判定します。

健康な歯ぐきはピンク色で引き締まっていますが、歯周病に罹った歯ぐきはもっと赤く、歯周病が進行するにつれて赤紫色になります。
また、腫れているため、歯周病独特の形状、質感を示してきます。

AIは、これらの歯ぐきの色や形状などを解析し、歯周病のリスクを判定します。
解析する情報は、歯科医師の知見を参考にしています。

口腔疾患を発見する機能を用いたデモアプリ

舌の画像をAIが解析し、舌がんのリスクを判定

――堀ちえみさんの舌がん公表によって、舌がんや口腔がんへの関心が高まっている。舌がんや口腔がんのリスクがあるかどうかはどうやって判定する?

今回の共同研究では、口腔がんのうち、舌にできるがん(舌がん)を対象としています。

“健康な舌の領域”と“がんの領域”の画像から、歯周病と同様に、色や形状、質感などの違いを解析し、舌がんのリスクを判定します。

口腔疾患を発見する機能を用いたデモアプリ
口腔疾患を発見する機能を用いたデモアプリ

手ぶれなど自撮りするときの影響が課題

――実用化のめどは2022年度。今、分かっている課題は?

今回、開発したデモアプリには、AIが搭載されていますが、現在のAIは理想的な環境で撮影された画像(例えば、歯科医師が患者様の許可のもと、一眼レフを使って撮影した症例写真)を学習したものです。

今後は、スマートフォンの自撮りの環境で撮影された静止画、動画にこのAIを用いることから、撮影時の手ぶれや撮影環境の明るさ(蛍光灯の色や光量)などの影響を受けづらいAIを開発します。


――その課題はどうしたら解決できる?

たとえば、撮影時の手ぶれや撮影環境の明るさの違いもあわせて、AIに学習させることで、解決できる可能性があります。

また、多くの画像、動画を学習させることにより、精度を高めます。


――この機能をどのようなかたちでサービスとして提供しようと考えている?

サービス提供については、現在決まっておらず、今後検討していきます。

話を聞く限り、課題はあるものの、もし実用化されれば、やり方はとても簡単。
舌がんの場合もそうだが、リスクを知ることができるだけでも対策がとれるので、こうした早期発見を目的とした技術の開発に今後も期待したい。


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