憶測消えぬ衆参ダブル選挙の実情と実現性【1】 投票率と支持率

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  • 衆参ダブル選挙の可能性を分析
  • 自民党にとってダブル選挙の価値は支持率で変化
  • ハードル上昇も、野党の態勢整わないうちに…

衆参ダブル選挙はありかなしか

「平成最後の通常国会」は統計不正問題などをめぐり、与野党の論戦が続いている。統一地方選挙と参議院選挙が同時に来る12年に一度の「亥年選挙」を意識し、各党とも存在感のアピールに躍起だが、とりわけ注目されるのが参院選に合わせて衆議院を解散する、衆参ダブル選挙の憶測だ。

かつて昭和の時代、2度のダブル選挙(1980年、1986年)が実施され、2度とも自民党が圧勝を収めた。それから平成を挟んで新たな元号となる今年、果たして「ダブル」は行われるのか。様々な観点から分析してみたい。

ダブル選挙で変わるものとは

まず衆参ダブル選挙になると何が一番変わるのか。それは投票率である。

衆参の両院で候補者が出れば、選挙活動、張られるポスターなども単純に倍以上。メディアでも大きな話題として扱われることは間違いないだろう。1986年、中曽根政権時のダブル選挙に携わった関係者に聞くと「ダブルにしたのは投票率を上げるためだった」と語った。

果たして実際の投票率は71.40%。時代の違いはあるにせよ、前回2017年の衆院選を約20ポイント上回っている。

中曽根政権当時の衆参同日選(1986年7月)

自民党支持率の変化

ただ、この関係者は86年当時との違いも語っている。

「かつての自民党の(政党)支持率は6割近くあった。だから投票率が上がることが勝利に繋がった。今は違う」

FNNの世論調査でも自民党の支持率は40%前後(2月は35.2%)で推移している。つまり半分に満たない。自民党の強固な支持基盤であった組織や後援会は時代の変遷とともにその一部が無党派層、または無関心層に流れ、その層が投票するのは「反自民」「非自民」候補が多いと言われている。

2000年の総選挙で当時の森首相が「無党派層は寝ていてくれればいい」などと発言して問題視されたように、基礎票が減ってしまった今の自民党にとって、投票率の上昇は避けたいのが本音である。

森政権当時の衆院選(2000年6月)

伸び悩む野党の現状

一方、野党の方に目を移すと、全ての政党支持率を合わせても自民党には遠く及ばない。2月の世論調査での支持率は立憲民主9.6、国民民主0.8、共産4.1、維新2.8、自由0.1、希望0.3、社民0.7。全て合わせても18.4%で、自民党の約半分だ。

安倍首相がダブル選挙を狙う一番の目的は、野党の連携が整わないうちに解散すれば前回(2017年)同様、自民党にとって有利に選挙戦を展開できるためだとされる。

野党にとっては、候補者調整はもちろん、反自民の受け皿として強い存在感を示し、自民党の支持率と並ぶ無党派層(同39.3%)を取り込むことが必要不可欠だ。

“数字”だけではなく“傾向”

こうした「無党派」の動向がカギを握る中、支持率で半数を割っている自民党にとって、ダブル選挙に踏み切るハードルは、以前よりも高くなったと言っていいだろう。

 野党が低迷する今、少なくとも数字の上で自民党は全く負けていないが、前述の関係者は今の自民党について「積極的不支持、消極的支持だ」と分析する。支持が安定しない分、情勢は容易に変わるということだろう。

特に最近は「勝っているか、負けているか」だけでなく「上がっているか、下がっているか」といった「傾向」が、情勢を把握する重要な指標となっている。安倍首相も、こうした各種数値とその推移をにらみつつ、ダブル選挙の可否を判断することは間違いない。

(フジテレビ 政治部デスク 山崎文博)

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