第2回米朝首脳会談は「空気の入っていないバルーン」 北朝鮮の狙いを専門家に聞いた

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  • 第2回首脳会談は非常に困難なものになる
  • 米側の”準備不足”が懸念
  • 原因はトランプ流の直接交渉

「非常に困難な首脳会談になる」

2回目の米朝首脳会談。北朝鮮の非核化で進展はあるのか、北朝鮮の狙いは何なのか。かつて6か国協議で北朝鮮との交渉の首席代表を務めていたクリストファー・ヒル元国務次官補に、ワシントン支局の柴木特派員が話を聞いた。

“非常に困難な首脳会談となる”

「(首脳会談に例えて)このバルーンには、実は空気が入っていないのではないか」
「協議には十分なメカニズムがない。我々は答えより疑問の方が多い状態で首脳会談に突入する」

去年の1回目のシンガポールの首脳会談以降進展はあったのか?

率直に言って、去年のシンガポールでの首脳会談以降の進展は極めて乏しい。対話もほとんどなかったし、進展もない。トランプ大統領には次の首脳会談では進展があり、目的がある首脳会談だということを示す大きなプレッシャーがあるだろう。

会談ではアメリカや国際社会にとって重要な成果を残せるのか?

トランプ大統領は今回の首脳会談に多くの懐疑論があることを理解している。多くの人々が今回の首脳会談の目的は何かと疑問に思っている。トランプ大統領は、いくつかの本当の進展というものを見せる必要があると理解している。問題は、何が進展なのかということだ。北朝鮮が例えば非核化の意思があると繰り返すだけでなく、彼らの核開発計画をまとめるのか。今のところ北朝鮮がそのような用意をしている兆候はない。北朝鮮は今回の会談で非核化に関するいくつかの新しい決定を出してくる可能性があるが、懸念は、本当に廃棄する必要のある施設のリストを検査するまでには至らないということだ。

非核化の可能性は?

北朝鮮の非核化の可能性は?                   

「(核問題での)進展は困難だろう。北朝鮮は核開発プログラムのリストを示す多くの機会があったのに、そうはしていないからだ。北朝鮮はこれからも自由には見せないだろう」

現時点では北朝鮮に非核化の意思はない。しかしこれは、北朝鮮が決して非核化しないということではなく、私は今なお北朝鮮が核兵器とともに歩むよりも、核兵器を持たないほうがより良い未来になると信じている。

今回は困難な首脳会談となるだろう。なぜなら北朝鮮が本当に関心を持っているという兆候が見られないからだ。彼らが真剣なのかどうか本当に懸念している。

アメリカが制裁緩和に応じることは?

トランプ大統領は完全に非核化するまではいかなる譲歩も与えないという方針だ。これは現実的ではない。北朝鮮側はアメリカ側と交渉しようとするし、彼らはアメリカ側に見返りを期待している。問題は、北朝鮮がこれまで核開発の全体像を提供していないことなのだ。全体像を提供するまではいかなる特定の要素も何を意味するか分からない。そのため、今回は非常に困難な首脳会談になるだろう。

終戦宣言は盛り込まれるか

金正恩氏の到着を待つベトナム・ドンダン 2月26日朝

朝鮮戦争の終戦宣言などは共同声明に盛り込まれるか?

もし、何らかの進展があればありうるかもしれない。共同声明は詳細であるほど良い。シンガポールでの声明は非常にざっくりとしていたのが問題だからだ。北朝鮮はトランプ大統領に、「戦争がないなら、在韓米軍はいらない」と言わせる雰囲気を作ろうと模索している。彼の取り巻きは「在韓米軍は必要だ」というが、この大統領は時々誰の助言も聞かないことがある。

今回の首脳会談における北朝鮮の狙いは?

「北朝鮮からすれば、アメリカの大統領と交渉しているとみなされる良い機会なのだ。北朝鮮が孤立から抜けだすためにも良い機会ということだ。問題はこれがアメリカにとっても良い機会なのかということだ」

「北朝鮮側はトランプ大統領と面と向かっての交渉を切望している。これは彼らの手の内の一部だ」

「第2回の首脳会談では、多くの事前会合が欠如している。トランプ大統領自身が核問題の交渉にあたっている状況こそが問題だ。このような交渉では、専門家の方が求められている」

「困難で複雑な問題があり、大統領がこれらの問題すべてを理解しているとは考えられない。自分よりも知識のある人たちに任せたほうが良いのだ」

「北朝鮮の核施設を廃棄するステップにおいては、特定の知識を持った実務者レベルの人間が必要だ。そうでなければ北朝鮮は廃棄したそばから再建ができる。だからこそ、専門家といわれる人たちが重要だし、トランプ大統領ももう少し理解する必要がある」

2020大統領選を見据えて

ロイター 1181のキャプチャ

―トランプ大統領は2020年の大統領選を意識している?

「トランプ大統領は2020年の大統領選で、北朝鮮問題を解決したといいたいのだろう。公約実現というスローガンに、北朝鮮問題も含めたいのだろう」

「トランプ大統領は自らを追い込んでいるように見える。なぜなら、彼は今、交渉できるのは自分だけだという環境を今作っているが、交渉にはいくつかの譲歩が必要だからだ。でも、トランプ大統領にとっては、譲歩する姿勢を見せることは良しとしないのだ。

取材を終えて

ヒル氏は、自らの交渉経験を踏まえ、北朝鮮は一度何かを決定しても、すぐに取り消してくる可能性があると指摘、トランプ大統領が「クールさ」を保てるかが重要だと述べた。かつては自らも北朝鮮の非核化交渉に深く携わったヒル氏、2回目の米朝首脳会談は困難との見方を示す一方で、将来的な非核化は不可能ではないとも述べた。総じて準備不足を指摘し、米朝首脳会談を「空気の入っていないバルーン(風船)」に例えたヒル氏の言葉が印象的だった。

【執筆:FNNワシントン支局 柴木友和】
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