急浮上?観測気球?「安倍4選もあり得る」発言 首相ら会合での「さや当て」に広がる波紋

カテゴリ:国内

  • 「安倍首相4選」発言が出た同期会の内幕
  • 安倍4選論が説得力を持つ背景は外交課題と
  • ポスト安倍候補たちの受け止めと、「力不足」批判

「安倍首相4選ありうる」発言はどんな場で出た?

安倍首相は2月18日夜、東京都内で、1993年の衆議院選挙で初当選を果たした、“同期”との会食を行った。出席者は、“ポスト安倍”に名を連ねる岸田文雄政調会長や野田聖子前総務相、首相の盟友でもある根本匠厚労相と塩崎恭久元厚労相、二階幹事長の懐刀・林幹雄幹事長代理ら錚々たるメンバーだ。

当選同期の会合に向かう安倍首相(2月18日)

出席者によると会合は、“同期会”らしく和気あいあいとした雰囲気だったが、“ポスト安倍”、つまり次の自民党総裁選の話題にもなったという。

昨年秋に3選を果たした安倍首相が「次は出ない、次の総裁候補は岸田さんだよね!」と岸田氏に振ると、岸田氏は表情を崩さず無言を貫いた。

自民党・岸田政調会長

そこにすかさず、同じく“ポスト安倍”の一人の野田氏が「私もいる!」と挙手すると、二階派の林氏が、「(安倍首相の)4選もあり得る」と指摘したというのだ。

野田前総務相
自民党・林幹雄幹事長代理

二階幹事長は去年安倍首相の総裁任期を「連続3期9年」に延長した立役者なだけに、この発言に対し、野田氏の盟友である浜田靖一元防衛相が「出たよ!」とツッコミを入れたが、その場は静かになったという。会合が“ポスト安倍”をめぐる駆け引きの場となった形だ。

「安倍4選」発言が現実味を持つ背景は

実はこれまでも「安倍4選」については党内の一部で語られていたが、今回それが表面化した形で、4選は今後の展開次第で十分ありうるとの声は少なくない。

「参議院選挙で勝てば、4選の話は当然出てくるでしょ。石破も岸田も選挙の顔になれないんだったら、もう1回安倍さんでいいじゃんとなる」(自民党議員)」
「北朝鮮問題もある、ロシアもある、韓国・中国との関係もある。中長期にわたる懸案が続いているなかで、国民に成熟した気持ちがあれば、安倍再選ということもあり得るだろう」(安倍首相周辺)

確かに、厳しい交渉が続いている北方領土問題ひとつとっても、安倍首相の任期はプーチン大統領よりも短く、任期が同程度なければロシアに足元をみられるという指摘もある。また、拉致問題や憲法改正といった課題に時間的余裕を持って取り組む意味でも、安倍首相がより長期にわたり政権を担える環境を作るのはありだという意見は一定の説得力を持つ。

当選同期の会合を出る安倍首相(2月18日)

岸田派は冷静に受け止め

では、“ポスト安倍”候補たちは、今回浮上した「安倍4選論」をどう受け止めているか。

安倍首相に「次」と“指名”されながら、安倍4選という冷や水を浴びせられた形にもなる岸田氏の派閥では、努めて冷静に受け止めようという空気だ。

安倍首相のエールともいえる発言について岸田氏周辺は「総理が言ったとしても真に受けたらダメだよね。そんな簡単なもんじゃない。ここで喜んだりしたらそれこそ足元見られる」と述べている。そして「安倍4選」発言については、岸田氏自身が20日、次のように述べた。

「安倍総理4選ということですが、いろんな意見があるんだと思います。今の段階でそれについて、どうこういうような材料は、私は持っていません」

岸田政調会長(2月20日 三重・津市)

こうした冷静な受け止めに加え、つとめて前向きに受け止めようという声も聞こえてくる。

「うちとしてはより次を狙いやすくなるかもね。安倍さんが行くとこまで行ってくれた方がさ」(岸田派幹部)

昨年の総裁選で不出馬を決め安倍首相を支持した岸田氏は、2期目の党政調会長として地方での「地方政調会」を開催し地方行脚するなど、弱点である知名度のアップを狙い、虎視眈々と”安倍後”を狙っていて、党内の不興を買うことのないよう、慎重に対応しているようにも見える。

石破派は冷ややか「二階さんの思惑」

一方、安倍首相と総裁選で戦い健闘したものの、その後党内での孤立が進んでいる石破元幹事長の派閥幹部は、今回の発言を冷ややかに受け止めている。

 「総理を持ち上げるために言わなくてはならなかったんだろう。二階さんの思惑なんじゃないか。二階派にもポストがいないしね。4選にでもなったら素晴らしいことだな」
「4選を言い出す忖度議員が出てくることは当然予想できたのでぜんぜん驚かないし、今後はさらに期数制限なしを言い出す大忖度議員も出てくるのではないか」

自民党・石破元幹事長

石破氏は、“ポスト安倍”の有力候補として、足場づくりを続けているが、安倍首相が2月6日に公邸で石破派を除く6派の事務総長と極秘に会食すると、「堂々とやるべきだ」と述べるなど“安倍批判”を強めている。

また、石破派幹部の指摘通り、二階派や安倍首相の出身派閥である細田派には、有力なポスト安倍候補はおらず、麻生副総理や菅官房長官が目をかける河野外相も、有力候補にまでは達していないという事情もある。それだけに、二階、麻生、菅という安倍政権を支える面々にとって、安倍政権が続く現状の方が影響力を保てるという事情を見透かし、観測気球だと冷ややかに受け止めているようだ。

安倍4選発言の背景に、ポスト安倍の力不足を指摘の声も

しかし、今回の「安倍4選」発言がそれなりの現実味をもって受け止められている背景には、ポスト安倍の面々が決め手に欠けている現状がある。

党内での孤立が解消されない石破氏も、引き続き発信力不足が指摘される岸田氏も、次期総裁選勝利への戦略を描ききれてはいない。また「安倍4選」発言が出た会合で、「私もいる!」とアピールした野田氏も、昨年の総裁選で推薦人が集まらず出馬を断念した反省から、精力的に国会議員との会食を重ね、予算委員長としての存在感も示しているが、足場固めは途上だ。それだけに、党内からは、ポスト安倍への嘆きの声や、奮起を促す声も多い。

「ポスト安倍が全員力不足ってことなんだよね。小泉進次郎にもうやらせるというわけにはいかないでしょ」(安倍首相系議員)

「総理大臣というのは奪い取るものだ。、彼らなりのアイデンティティ、ファイティングスピリットをちゃんと見せてくれと」(首相周辺)

安倍首相はある議員に対し「さすがに四期目はきつい。もうゆっくりしたい」という趣旨の発言をしたというが、首相周辺は「参院選後、五輪後にどういう世の中になっているか。その時に、国民が成熟していれば、安倍さんもそういう気持ちが芽生えてくるかもしれない」と指摘している。

今後、「安倍4選論」が党内で盛り上がるかどうかは、あくまで4月の統一地方選と7月の参院選で自民党が勝利することが前提となる。その選挙も見据え“ポスト安倍”候補や派閥領袖らの動きに注目が集まりそうだ。

(フジテレビ政治部)

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