シェフ命の“秘伝レシピ”公開! 広がる被災農家応援の輪

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今、SNS上では、料理人が秘伝のレシピを公開する動きが広がりを見せている。

その裏には、被災地を助ける狙いがあった。

記録的な豪雨被害をもたらした台風19号。

甚大な浸水被害にあった、長野県にある新幹線基地のすぐ隣にある広大なリンゴ農園も例外ではなかった。

長野のリンゴ農家・徳永虎千代さん(27)は、「残ったリンゴの量は5%くらい。来年からは、もう続けられないんじゃないかと、すごく落ち込んだ時もあった」と話した。

台風で決壊した千曲川から近い場所にある、リンゴ農家「フルプロ農園」の徳永さん。

浸水被害が大きく、およそ50トン、全体の95%ものリンゴが、廃棄処分となってしまった。

作業場兼自宅も被害に遭い、資金面など悩みは深刻なものだったが、ある時...。

「被害に遭われた農園のりんごをまだ買えるならそこで買ってタルトタタン作ってくれたらちょっと嬉(うれ)しいです。たくさん消費できるので。もれなくレシピ渡したいとこだけど確認できないしどうしようw」

こうつぶやいたのは、フランス南部のニース在住の日本人シェフ・神谷隆幸さん(40)。

ニュースを知り、“農家を助けたい”と声を上げた。

神谷隆幸シェフは、「被災地のリンゴを使って、(料理を)作ってくれたら、レシピを渡しますと伝えて、『フルプロ農園さんから買ってください』とツイートした」と話した。

神谷さんは、この活動を「被災地農家応援レシピ」と名づけ、発信を続けた。

すると、シェフの命であるはずの秘伝のレシピを、賛同する料理人たちが公開し始めた。

神奈川・横浜市のレストラン「Hitotsu」でも、秘伝のレシピを無料で公開した。

「被災地農家応援レシピ」に賛同する野田一寿シェフは、「(被災地と料理人の関係性について、どう思う?)料理人は、素材を作ってくださる農家さんがいたり、漁師さんがいたりして、初めて料理を作れるので、農家さんたちがいなければ料理はできないので、手助けができるのであれば、できることは精いっぱいやりたい」と話した。

神谷シェフら料理人たちの働きかけで、フルプロ農園の無事だった1,500kgのリンゴは完売。

太陽を浴びて、元気に育ったこのリンゴは、11月中旬から、収穫・発送される予定。

フルプロ農園・徳永さんは、「料理人にとって、レシピって、命より大切なものなんじゃないか。わたしたちのリンゴと一緒のようなもの。それ(レシピ)を提供してまでも、復興支援してくれることは、ありがたいの一言に尽きます」と話した。

シェフの命が救った農家の命。

注文した人からは「体に気をつけて」、「復興ファースト!」など、温かいメッセージも寄せられている。

フルプロ農園・徳永さんは、「これに甘えることなく、リンゴ作り・お客さまへの対応、それに磨きをかけて、わたしたちも精いっぱいやっていく姿を見せることで、“真の復興”につながっていくんじゃないか」と話した。