【独自】実行役が語る金正男氏暗殺事件 インドネシア女性を世界初取材

カテゴリ:ワールド

2017年に、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の兄、正男(ジョンナム)氏がマレーシアで暗殺された事件で、実行役のインドネシア人の女性が、日本人を装った北朝鮮工作員にだまされた経緯を、FNNに初めて話した。

2019年3月に釈放された、インドネシア国籍のシティ・アイシャ元被告(27)。

2017年2月、クアラルンプール国際空港で、金正男氏に猛毒の神経剤「VX」を塗りつけ暗殺したとして、殺人罪で起訴された。

しかしその後、理由が明かされないまま起訴が取り下げられ、インドネシアに帰国した。

シティ・アイシャ元被告「最初は、20分だけ仕事をして、食べ物を買うのに十分なお金をもらって、悪くない仕事だと思った」

事件のおよそ1カ月前、アイシャさんは、マレーシア当局が日本人を装った工作員と断定した、“ジェームス”ことリ・ジウ容疑者に勧誘され、撮影の仕事を引き受けた。

アイシャ元被告「(ジェームスは)『日本から来て、出演者を探している』と言った。『もし演技がうまくできれば、マレーシアだけでなくアメリカ、シンガポール、オーストラリアなどにも行ける』と言った」

仕事は、いたずら動画の撮影。

リ容疑者に好意を寄せ始めていたアイシャさんは、指示されるがまま、手に液体をつけて、見知らぬ人の顔を後ろから覆う“いたずら”の仕事を何度も行い、1回あたり100ドル以上の報酬をもらった。

そして事件当日、アイシャさんはインドネシア語が堪能なもう1人の工作員、“ミスターチャン”こと、ホン・ソンハク容疑者に空港に呼び出された。

アイシャ元被告「(ミスターチャンは)わたしに、『きょう(ターゲットの)上司が来るかもしれない』と説明した。『その人は傲慢(ごうまん)だから、その場からすぐ立ち去らないといけない』、『とても傲慢だ...』と言った。わたしが『どの人?』と聞くと、『あの人! グレーのジャケットを着ている人だ!』と...」

ただ、アイシャさんはジョンナム氏に触ろうとしたものの、触ることができなかったと主張した。

アイシャ元被告「ミスターチャンの指示のもと、2、3歩離れた場所にいてやろうとしたら、彼女(フオン元受刑者)がいきなり来て、いたずらをやった。(正男氏の)リアクションに驚き、何をすればいいかわからず衝撃を受けた」

アイシャさんは、その3日後に逮捕された。

ごく普通の生活をしていた彼女を利用した北朝鮮の工作員らは、犯行後に国外へ逃亡。

今回の彼女の証言から、北朝鮮工作員による海外での巧妙な工作活動の実態が、あらためて浮き彫りになった。