児相だけの問題じゃない・・・虐待を見落とす“2つの空白”埋める連携を 

カテゴリ:国内

  • 心愛ちゃん虐待死の背景には関係機関をめぐる複数の要因
  • 重点的な検証が必要な“2つの空白”とは
  • 「通告元は一切明かさない、資料は一切みせない」

千葉県・野田市で小学4年の栗原心愛さんが両親に虐待を受けて、その後死亡した事件。

警察の捜査が続く中、行政側に不備はなかったのか、子どもの命を守る取り組みの検証が自治体や国で進められています。

去年3月、虐待され亡くなった船戸結愛ちゃん

去年3月の東京・目黒区での船戸結愛ちゃん虐待死事件など、子どもが最も身近にいる両親から虐待を受けるケースは後を絶ちません。

この事件を受け、文部科学省では再発防止策を検討する作業部会を設置。
児童相談所を管轄する厚生労働省でも児童虐待に関する専門家会議で課題が議論されました。

今回の悲劇の背景には家庭・学校・児相間で複数の要因が重なっていました。

児童相談所では、一時保護解除のタイミングでなぜ帰宅させないという判断ができなかったのか。

当時の家庭内の状況をきちんと把握し条件をつけて帰宅させることも方法の一つでした。

柏児童相談所の会見(5日)

児童相談所の職員が心愛さんと会ったのは、帰宅後、去年3月に学校で面談したのみ。
それ以降は本人とは一度も会わず学校との連携のみにとどまっていました。

もし自宅を訪問するなり何らかのケアをするなどその後の援助体制が行われていたら・・・

今年に入り心愛さんが長期に学校を休んでいることを児童相談所が把握したのは、児相側から学校への定期連絡で、学校から児相への連絡はありませんでした。

学校は両親から沖縄に行っていると説明を受けていましたが、長期間休んだ心愛さんの異変を学校と児相で連携して把握できていたら・・・

検証から再発防止に向けて 悲劇を二度と起こさないために

今回の事案を受け、今後、各自治体での検証が進められると共に、子どもの安全を最優先に政府も新ルールの策定を進めています。

千葉県は学識経験者や弁護士などの有識者による第三者委員会を設置し、21日に初会合が開かれ、再発防止に乗り出します。

黙とうする専門委員や自治体関係者ら(13日)

厚労省で開かれた専門家会議では冒頭、心愛さんに黙とうが捧げられ、今後自治体で行われる検証に対して2つの“空白”に重点をおくことも求められました。

児童相談所での記録が十分に残されていない“空白”と、心愛さんが長期で学校を欠席するなどの行動の“空白”。

そして、虐待を受けている子どもへの関わりの大原則は、間接上の状況把握ではなく目視、直接会うという観点に立つこと。

また第三者を交えた検証を行い全国の自治体で共有できるよう結果の公表も求めています。

学校に助言「スクールロイヤー」の活用も議論

文科省では「スクールロイヤー」の活用を議論

文部科学省でも省内で再発防止策を検討する作業部会が立ち上がり、現場の教師向けの虐待対応マニュアルを作ることや弁護士が学校での問題に助言する「スクールロイヤー」の活用が議論されました。

また心愛さんが虐待を訴えたアンケートのコピーを野田市の教育委員会が父親に渡していた問題を受け、虐待情報の取り扱いについても検討を進めることにしています。

虐待防ぐ3つのルールを策定

・子どもの安全を第一に「通告元は一切明かさない、資料は一切みせない」
・保護者が威圧的な要求等を行う場合には、複数の機関で共同対処すること
・学校欠席等のリスクファクターを見逃さない新たな情報提供のルールを設定すること

政府は虐待が疑われるケースについて1か月以内に緊急点検し、安全確認をするとともに3つの新ルールの策定に向けて動き出しました。

当時の柏児童相談所の所長は、
「結果から考えると危険性や危険度をちゃんと把握していなかった、予想できていなかった」「もう少し余裕があれば1人に対してもう少し時間を割いたりできる可能性はあったかもしれない」と答えています。

ひとりの責任、一児童相談所、一学校だけでできることは限られます。

だからこそ、社会全体、国をあげて1人の子どもの安全そして命を守ること、二度と悲劇を起こさない意識を持ち続けることが大切だと考えます。

(執筆:フジテレビ社会部 滝澤教子)