吉野彰さん ノーベル賞までの“秘話” “素顔”に迫る

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ノーベル化学賞受賞決定から一夜明け、旭化成名誉フェローの吉野彰さんに、10日午前、研究の苦労など、思いを聞きました。

(吉野さん、まずはおめでとうございます)

どうもありがとうございます。

(リチウムイオン電池が“売れない時期”約3年、支えは? 辞めようと思った時期はなかった?)

非常に関心はあるけど、まだ買わないよという、そういう時期が数年あるというのは、これはもう、宿命だと思いますけれどもね、新しいものの。

(でも確かに手応えは感じていた、そういう時期でもあった?)

手応えはあるんですよ、手応えは。

そうです、そうです。

(今、周りを見渡せば、リチウムイオン電池を使ったスマホをみんなが持っていて、ご自身の研究は“モバイル時代”に世界を変えたともいえるが、街を見ていて、そういう状況をどういうふうにとらえている?)

もちろん、リチウムイオン電池だけが、今のモバイルIT社会を作ったわけではないと思うんですけれども、もしリチウムイオン電池がなかったら、皆さん、どうしていたんだろうねっていうようなことは、ちょっと考えますね。

(まさに“モバイル時代”を呼び込んだともいわれているが、それをご自身が作ったということで、ちょっと考えることは?)

やっぱり、研究をやっていて一番楽しいのは、研究が成功してね、製品が世の中に出て、結果として世界を変える、あるいは世界を変えた、そういう実感を持つっていうのが、一番の醍醐味(だいごみ)なんですよね。

そういう意味では、確かに世界が変わったなっていう実感がありますので、一番うれしいのは、その部分だと思います。

(令和の時代になって、初のノーベル賞受賞が決まったが、令和を担う若者へメッセージは?)

正直、今、私の持ってる印象ですけど、リチウムイオン電池を開発したころの状況と、現在の令和に入った今現在、非常に似てる部分があるんです。

要するに、これから世界が変わるよという、そういう空気が過去、確かに流れていました。

それが、今のモバイルIT社会を生み出したんですよね。

それと同じような空気が今、ありますんでね、これからたぶん、大きく世界は変わっていくと思います。

そういう時に今の若い人が、そういうチャンスに恵まれているんだなということを、1つメッセージとして伝えたいですよね。

絶好のチャンスだと思うんですよね、そういう時期に。

(時代の変化に食らいついていくというような感じ?)

そうです。時代の変化というか、たぶん、それはね、地球環境問題だと思うんです。

これは必ず誰かが責任を持って解決せんといかんわけなんですよね。

たぶん間違いなく、誰かがそういう地球環境問題に対して、ああ、これですべてが解決するという技術を必ず誰かが見つけると思うんです。

ぜひ、今の若い人にね、そういう、『俺がその切り札を見つけたんだ』というような、仕事をしてもらいたいと思いますね。

(研究を支えてきた妻にどんな言葉をかける?)

これは難しいな。いや、2人とも、ちょっとシャイなもんでね、なかなかそういう言葉、お互いたぶん苦手なんで、『よかったね』ぐらいで終わるんじゃないでしょうかね。

一方、吉野さんが名誉フェローを務める旭化成の株価は、一時、9日の終値に比べて、3%以上値上がりした。

取引開始直後には買い注文が殺到して、値がつかない場面も見られ、市場関係者は、「個人投資家のご祝儀的な買い注文が集まった」と話している。