国vs地元住民の大騒動! 韓国を苦しめる平昌五輪1年後の「負の遺産」

カテゴリ:ワールド

  • 五輪から1年 3つの競技場が“放置状態”
  • 国・地元自治体・住民巻き込む大騒動に
  • 南北融和に突き進む文大統領は「大成功」アピールも…

1年前、極寒の地は「熱狂の渦」だった

ちょうど1年前だ。氷点下20度を下回る極寒の中で、私は平昌五輪を取材していた。約1カ月にわたる長期取材。あまりの寒さに心がくじけそうになった時もあったが、肌で感じた「オリンピックの力」は今後忘れることはないだろう。会場となった韓国北東部の平昌・江陵(カンヌン)には世界各国から選手団、メディア、観客らが集まり、極寒の地はまさに「熱狂」に包まれていた。あれから1年、「熱狂」と引き換えに現場に残されたのは「負の遺産」だった。

五輪後に一度も使われていない会場も…

「負の遺産」、それは熱戦の舞台となった競技場だ。ボブスレーやリュージュの会場となった「アルペンシア・スライディングセンター」、女子パシュートで日本チームが感動の金メダルを獲得した「江陵(カンヌン)スピードスケート競技場」、アイスホッケー女子代表のスマイルジャパンが健闘した「江陵ホッケーセンター」の3つの競技場は大会から1年が経ったいまも有効な活用方法が見出せず、地元の小学生がたまに使う程度の“放置状態”となっている。

大会前から競技場の事後活用は課題に挙げられていたが、案の定その不安が現実のものとなった形だ。特に「アルペンシア・スライディングセンター」は五輪のために約114億円もの多額の費用をかけて建設されたが、大会後から一度も使われずに閉鎖されている。韓国メディアは3つの競技場の維持費用について年間8億円との試算を出した上で「血税浪費との批判は避けにくい状況」と批判的に伝えている。

国・地元自治体・住民を巻き込む大騒動に

もう一つ問題となっている競技場がある。アルペンスキー競技が行われた「旌善(チョンソン)アルペン競技場」だ。この競技場は貴重な植物がある原生林を伐採し造られた競技場で、建設費用は約190億円にも上る。韓国政府はもともと大会終了後「原状回復」するとの前提で競技場としての使用を承認していた。しかし五輪終了後、地元自治体と住民らが反発。「観光資源としての競技場保存」を訴え議論はいまも平行線をたどっている。

実はこの問題、半年前に記事にしていたのだが、1年が経った今も何の進展もない。むしろ、国と地元自治体の協議の場に住民が押し寄せ現場が大混乱に陥るなど、時が経つにつれて事態は悪化の様相を呈している。

南北融和に突き進む文大統領は「大成功」アピール

平昌五輪開幕からちょうど1年を迎えた9日、文在寅大統領は自身のフェイスブックを更新した。

「これまで私たちが一緒に転がした小さな雪だるまが平和の雪だるまになった。アイスホッケー南北合同チームはカヌー、ハンドボール、卓球など多様な種目で南北をひとつにしている。南北間で3回の首脳会談があり、歴史的な北朝鮮と米国のハノイでの2回目の会談に続いている」

現場で起きている“競技場問題”を知ってか知らずか、平昌五輪をきっかけに南北融和が進み、その結果が米朝首脳会談につながったと猛アピール。「五輪を政治利用したのでは?」という批判を意に介さず、このような文章を書くのは「さすが…」としか言いようがない。南北融和に突き進む文大統領にしてみれば五輪は「大成功」と言えるものだったのであろう。

東京五輪に向けて「ひとつの教訓」に

いま韓国では、いわゆる徴用工問題やレーダー照射問題、慰安婦財団の一方的な解散に加えて韓国国会議長による「昭和天皇は戦犯の主犯」「天皇が謝罪すれば慰安婦問題は解決」発言など“到底、理解できない”ことばかりが頻発している。一方で2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控える我々にとっては、都市の規模や夏季・冬季の違いはあるものの、直近の五輪開催国であることに違いない。東京オリンピック・パラリンピックを「成功だった」と振り返ることができるよう、直近の五輪開催国が抱える問題を「ひとつの教訓」として注視する必要があると感じる。

【執筆:FNNソウル支局 川村尚徳】

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