帰宅すれば家事が終わっている!? 遠隔操作で「家事支援ロボ」どんな仕組みか聞いた

カテゴリ:ワールド

  • 遠隔操作のロボットによる家事代行サービス
  • オペレーターの動きとシンクロするアームで細かな作業も実現
  • 開発者「将来的には全ての家事を自動化したい」

日常生活を送る上で避けては通れない作業が家事である。掃除、洗濯、洗い物...挙げるときりがないが、共通するのは「面倒くさい」ということ。

平日の仕事終わりにするのは疲れるが、さぼれば日ごとにたまっていく。休日にまとめて行おうとすると、終わったころ、時計の針はすでに夕方で「休みが終わってしまう...」と絶望した経験は誰しもあるのではないだろうか。一人暮らしや高齢者の生活環境であれば、負担はなおさら大きいだろう。

思わず投げ出したくなってしまう

こうした需要に応えようと、ロボット開発を手掛ける「Mira Robotics株式会社」はロボットによる家事代行サービス「ugo(ユーゴー)」を開発。2020年5月ごろをめどに提供を始めると発表した。このサービスではなんと、自宅に設置した家事支援専用ロボットが遠隔操作で動き、家事を行ってくれるという。

「帰宅すれば、家事が終わっている」も夢じゃない

家事を代行するロボットには、作業用のハンドを持つアームが2本あるほか、通信用のカメラ3つとセンサー、マイク、スピーカーを備える。
大きさは幅45cm、奥行き66cm、高さは110cmから最長180cmまで伸縮するが、ロボット胴体部分の降下やアームの長さを考慮すると、実際は高さ約20cmから約2mまでの作業に対応可能という。重量は約72kgで、約4時間の連続稼働が可能だ。

高さは最長180センチまで伸び、高所での作業も可能

留守中にロボットに家事を任せることで心配なのは、正確性ある作業ができるかどうかだが、同社の専門オペレーターがカメラの映像を見ながら遠隔操作を行うことで対応する。
オペレーターの手の動作は専用コントローラーを通じてロボットに反映されるため、ロボットでありながらヒトに近い動きが可能になるという。

スマートフォン向けの専用アプリで指示するだけで利用できるため、「帰宅すれば、家事が終わっている」という状態を実現することも可能だ。
従来の家事代行サービスが普及する障壁となっていた「見ず知らずの他人が自宅に入る」ことをせずに、家事を任せることができる。
自分は料理をしながら、ロボットに気乗りしない家事を任せるなんてことも夢ではない。

洗濯物を畳むロボット

家事代行サービスに新たな形を提唱している「ugo」だが、安全性やプライバシーの確保など気になる点はまだまだ多い。「Mira Robotics株式会社」の松井健代表取締役に話を聞いた。

「身軽な生活の実現に役立てたい」

――家事支援ロボットを開発した経緯は?

私たちが目指したのは「まいにち ありがとう」と言われるロボットです。日本は共働き世帯や単身高齢者の世帯が年々増え、超高齢社会を迎える国です。
こうした現代社会の価値観から見た「幸せ」とは、お金や消費行動ではなく、健康で充実した毎日を送れることではないかと考えました。
もし身近な作業である「家事」を気軽に誰かに頼めれば、新たな挑戦をしたり、身軽な生活の実現に役立つのではと開発しました。


――ロボットはどこまでの家事に対応できる?

現段階では、家事の中でも敬遠されがちな「洗濯」の対処に取り組みます。ロボットは洗濯機に洗濯物を投入するところから、干して乾いたものを畳むまでの作業を行えるため、朝、洗濯物を洗濯カゴに入れたまま仕事に行っても、帰宅すると洗った洗濯物が畳まれている状態を実現できます。

作業は遠隔操作したロボットが行うため、実際は洗濯に限らず、部屋の片付け、ペットの世話、留守中の荷受け、風呂掃除などにも対応できます。
将来的にはこのようなメニューも、ウェブを活用したアップデートで追加する予定です。


――ロボットはどのようにして操作される?

「インバース・キネマティクス」という技術を使い、専用オペレーターの手の動きとロボットのアームをシンクロさせています。
この技術では直感的でありながら、正確な動作を実現することができます。例えるなら、ヒトとロボットのハイブリッドといったところでしょうか。

さまざまな角度から見たロボット

プライバシー保護の機能も搭載

――個人情報などのプライバシーはどう守る?

ロボットと遠隔操作システムには、プライバシー保護機能が搭載され、利用者が登録した「入ってほしくない場所」にロボットは入れません。
また、ロボットのカメラにはプライバシー保護を目的としたフィルターも搭載しています。オペレーターがカメラで見る映像は、業務に支障がでない範囲でぼやけるように設定するため、下着の模様や銀行通帳の数字などを見られることはありません。


――専用アプリはどのように使う?

まだ開発中なので、実物の画面をお見せすることは出来ませんが、専用アプリでは家事代行の依頼、ロボットの作業状況の確認などができます。
このほか、自宅のロボットを遠隔操作することも可能です。例えば、外出中に雨が降っていた場合、ロボットを起動させて窓を閉めるなんてこともできます。


――開発で苦労したところは?

家庭向けロボットをゼロから設計・開発したため、複雑な住環境でも人間と同じように細かな作業ができるロボットにすることを重視しました。
今回発表したロボットにたどり着くまで、何度も試作を繰り返し研究を続けてきました。


――作業中に充電が切れることはないのか?

充電が切れそうな場合は、操作中のオペレーターに通知がいきます。その場合、オペレーターはロボットを充電してから、作業を再開します。

将来的にはロボットが自動で家事を行えるように

――階段などの段差や障害物には対応できる?

現在の試作機では、階段や大きな段差を乗り越えることはできません。そのため、当初はマンションに住む世帯をターゲットとしています。
将来的には、階段のある一軒家でも利用できるようなロボットも開発したいと考えています。


――今後の展望は?機能追加などの予定はあるのか

「ugo」は「①遠隔操作」「②アクションの自動化」「③プロセスの自動化」の3段階でサービスを進化させる予定です。
現在は①の段階で、遠隔操作のログの収集を目指しています。このデータが蓄積すると、対象作業でどんな行動を繰り返しているかが分かってきます。

例えば、洗濯なら「この靴下は、毎回このように干している」といったデータですね。
この作業をコマンド化することで、作業効率の上昇につなげます。これが②の段階です。

③の段階では、どのコマンドをどのように実行するかなどの判断もAIに分析させ、家事を完全に自動化するつもりです。
最終的にはロボットが自動で家事を行い、オペレーターはその業務を見守り、イレギュラーがあれば即座に対応する形を考えております。

「ugo」の進化予定
「ugo」の今後の展望

「ugo」は2019年の夏、実際の家庭で利用してもらう「βテスト」を行い、フィードバックを基にロボットの改良を進める予定だ。利用価格は月2~2.5万円程度を想定しており、一般的な家事代行サービスよりは割安な相場だという。ロボットが家事作業の頼れる相棒となる日は、そう遠くないのかもしれない。