「買い物弱者」もこれで解決!笑顔溢れる“最高の4時間”【長野発】

カテゴリ:地域

  • 住民と行政がタッグを組み高齢者と町に“お出かけ”するツアーが注目されている
  • 10年ぶりに繁華街を訪れ、笑顔になるおばあちゃん…
  • 100均やサイゼリヤで、日本のモノの豊かさや物価の安さを改めて知る

片道1時間30分の“小旅行”

日本各地で、深刻な社会課題となっている“買い物弱者”。そんな中、長野県内では、年寄りの「お出かけツアー」が広がりを見せている。市街地でみんなで食事をとったり、買い物などをして心身をリフレッシュしてもらう事を目的として長野市の鬼無里(きなさ)地区でも始まっている。今回、その「お出かけツアー」に密着した。

朝9時過ぎ、長野市の鬼無里支所にお年寄りたちが続々集まってきた。その後、バス停に移動し市街地に向かうバスに乗り込んでいく。

2019年1月から試験的に始まった「お出かけツアー」。2018年11月、地域のスーパーが閉店したことを受けて鬼無里地区住民自治協議会が、お年寄りたちの買い物の機会を確保しつつ、みんなで出かけて心身をリフレッシュしようと企画したツアーだ。このツアーへの参加条件は「自力で公共交通機関に利用できること」。協議会の職員1人がツアーに付き添う。参加者は往復400円のバス代を支払うが、ツアーの参加費は無料だ。この日は、70代から80代の8人が参加した。

今回、お出かけツアーを主催するのは鬼無里地区住民自治協議会。この「住民自治協議会」とは、行政から委託を受けた住民がスタッフとなり、地域の人々のために、様々なイベントなどのお世話をする組織。

男性参加者:
歳をした皆さんが触れ合うというのが一番いい。疎遠でなかなか合えないから…
通院で時々、市街地に行くけど、こうやって団体で行くのもいい…

出発からおよそ1時間半、一行は長野市内の繁華街、権堂町に到着した。
ツアー参加者たちは、これから4時間余り繁華街で買い物をしたり、散策したり思い思いの自由な時間をすごす。

今回の「お出かけツアー」の狙いについて企画した、住民自治協議会の樋口さんは、こう話す。

鬼無里地区住民自治協議会 樋口 綾さん:
自分たちから出かけてみるという形にして、繁華街に出てきてお話したり、誰かとご飯食べれると言う時間が参加者の方にとって“いい時間”になれば…

今回のツアーに参加した、小林春子さん87歳。夫や子どもを早くに亡くし20年近く1人暮らし。
権堂に来たのは10年ぶりだという。

一行は、映画館の前で、足を止めた。上映していたのは、 年老いた両親の認知症、老々介護の様子を娘が撮影した話題のドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくおねがいします。」上映時間も一行の繁華街の滞在時間にぴったりだったので鑑賞した。

映画を見終わった小林さんは…

小林春子さん:
夫婦が、介護をお互いに二人でやってたけどすごい。

---Q:映画を見てよかった?

小林春子さん:
うん,十何年も見ていない、映画は。きょう良かった…

ランチは、イトーヨーカドー内にあるサイゼリヤでとることに…

40分後、食後の小林さんにランチの感想を聞いてみた。

---何を食べましたか?
小林春子さん:
ご飯とスパゲッティ…。(種類が)いっぱいあって何をたべればいいかわからねえんだよ…でも、いつもは自分で1人で作ってたべているから、こういう風に街に出て食べるのおいしい!(笑)

ランチの後は、お買い物タイム。100均や商店街のお店を巡る…。
10年ぶりに繁華街に来た小林さん、100均の豊富な品ぞろえに戸惑いを隠せない様子。
しかし、住民自治協議会の付き添いの人のアドバイスを受けながら買い物を満喫した。

洋品店の軒先のワゴンで売っていたカバンを手に、どっちにしようか迷う小林さん…
普段、地元の店ではなかなか経験することのできない“選ぶ”贅沢を久々に満喫した。

迷った挙句、小林さんは結局、複数のカバンを購入した…

ほかの参加者も、ひ孫のために可愛い手袋などを購入…
地元の鬼無里では3件の商店が営業しているが、食品が中心で衣料品や雑貨はほとんど扱っていないという。

参加者が、購入した品物は、協議会のメンバーが預かり、別の職員が乗ってきた車に積んで鬼無里まで運ぶ。

住民自治協議会 樋口綾さん:
荷物を持ってバスに乗るとなったらここまで買えないし…

午後2時40分、およそ4時間の繁華街での滞在を終えて、一路、鬼無里へと帰路に就いた。

帰宅後、小林さんの自宅で今日の“戦利品”を見せてもらった。
結局、この日、小林さんは、バッグやヘアピンなど10点を購入していた。

87歳になる小林さんは、今でも車の免許を所持しているが、周囲から運転を控えるように言われ、去年の夏に車を手放した。以来、遠出の機会がめっきり減っていたので、今回のお出かけツアーには大満足だったようだ。

小林春子さん;
私は出かけるのが好きだから…月に一回でもよいので、ツアーに行ってもらえると嬉しい…

鬼無里地区住民自治協議会では、希望者がいれば実施してきたいとしている。

住民自治協議会 樋口綾さん:
1人でバスに乗るというのが難しかったり、1人で長野に来てもお昼どうしようかと考えたりしても、誰かと一緒ならその不安も和らぐし…住民同士の助け合いで続いていくような行事になればいい

(長野放送)

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