「昭和天皇は戦犯の主犯」…天皇陛下に謝罪要求した韓国国会議長の言い訳

「発言の主旨は違う」と言い訳も、謝罪要求は正当化する議長サイド

カテゴリ:ワールド

  • 韓国国会議長「昭和天皇は戦犯の主犯」「天皇が謝罪すれば慰安婦問題は解決」と発言
  • 議長のスポークスマンは「そういう主旨ではない」と言い訳も、謝罪要求は正当化
  • 皇室に敬意を抱く日本人を敵に回した韓国との関係改善は一層難しくなった

韓国国会議長が「昭和天皇は戦争犯罪の主犯」と発言

私は現在韓国・ソウルで記者をしているが、2007年から1年間は宮内庁担当記者として天皇陛下の取材をさせて頂いた経験がある。この発言を耳にした時、真っ先に頭に浮かんだのが、陛下の行く先々で大歓迎する、多くの日本人の姿だ。韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は今月8日に公開されたアメリカメディアのブルームバーグによるインタビューで、慰安婦問題についてこう発言した。

「日本を代表する首相か、あるいは私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっかり解消されるだろう」

 昭和天皇は「戦争犯罪の主犯」であり、「その息子」である天皇陛下が、元慰安婦に直接謝罪すれば、慰安婦問題は解消されるというのだ。確認しておくが、発言者は韓国国会の議長という公人中の公人であり、三権の長の1人だ。日本国憲法に記載された「日本の象徴」に対する発言としては、無礼極まりない。そもそも昭和天皇は「戦争犯罪の主犯」なのか。当たり前だが、日本の「戦争犯罪者」が裁かれた極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)において、昭和天皇が被告席に座られた事実などない。東京裁判が全て正しいとは言わないが、いったいどんな根拠があって、韓国の三権の長の1人が、友好国である日本の象徴を「戦争犯罪の主犯」、つまり犯罪者呼ばわりしたのか。発言の真意を問い合わせたところ、アメリカに出張中の文議長に代わり、議長のスポークスマンがこう答えた。

議長のスポークスマンは「そういう主旨ではない」

韓国国会の文喜相議長

「秘書官達の記憶によれば、似た話をされたことは明らかなようだ。ただ議長は昭和天皇が戦争犯罪の主犯だと話すつもりではなかっただろう。戦争当時の天皇であり当時天皇はとても重要な位置だった。そのような認識。」

昭和天皇を「戦争犯罪の主犯」と言った事は暗に認めている。そして、当時の昭和天皇が重要な位置だったからという認識から出た言葉だという。まともな根拠とは到底思えない。根拠無しに誰かを「犯罪者」呼ばわりしたら、通常は名誉棄損に当たる。一線を越えた発言と言えるが、謝罪するつもりは全くないようだ。その上で、スポークスマンはこうも語っている。

「当時の天皇の息子が現在の天皇なので、そのような方が直接被害当事者である元慰安婦のおばあさんと会って手を握って悪かったと率直に話せば、その一言で被害者おばあさんの凝りがすべて解消されるのではという主旨の言葉だった。」「日本は政府間協定と合意によって問題がすべて解決されたと言うが、被害当事者が受け入れることができないならば、これは解決されていないという事だ。いくら政府間協定をしても実効性がない。」「今まで安倍総理や他の方々がおばあさんに向かって、心の籠った真正性が感じられるそのような話をしたことが一度もない。まもなく退任する天皇がおばあさんの手を握るならば、とても率直なことではないか」

あくまでも言いたかったのは、天皇陛下が元慰安婦に謝罪すれば問題は解決するという事なのだと主張し、議長発言自体は正当化している。日本国憲法上政治的な権能を有しない天皇陛下に対して、併合時代の出来事に対する謝罪を要求しているが、そのおかしさには気が付いていないようだ。陛下への敬意や親しみを感じている日本国民からすれば、受け入れるのは難しい発言なのは言うまでもない。また少なくとも、この議長発言は文在寅政権と同様に、2015年に「最終的かつ不可逆的」な解決で合意した、日韓合意を全面的に否定するものだ。日韓合意で日本政府と安倍総理は明確に謝罪している。改めて日韓合意の当該部分を書く。

「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」(2015年12月の日韓合意より)

誰がどう読んでも謝罪しているのは明らかである。韓国政府はこれで「解決した」と約束したが、文在寅政権に代わると「解決していない」とちゃぶ台をひっくり返したのはご案内の通りだ。そして韓国国会の議長は、総理や陛下に慰安婦の前で直接謝罪すれば解決すると、追加謝罪を要求した。「最終的かつ不可逆的」というゴールポストを平気で動かした当事国が、「こうすればゴールインだよ」と言ったわけだ。万万が一陛下が謝罪されたとしても、結局それでは終わらず、韓国はさらなる謝罪要求や賠償要求をすると考えるのが、通常の感覚だ。そう思わせるだけの事を、韓国は行ってきた。

韓国国会議長はこの発言を軽視すべきではない

文議長は本当に「戦争犯罪の主犯」などと発言したのか?
私たちがブルームバーグに確認したところ、その発言は確実にあったという事だ。ブルームバーグはTwitterで実際のインタビュー音声をアップした。議長が、昭和天皇は戦争犯罪の主犯だと発言したのは、紛れもない事実だ。

発言の主である文議長は、日韓の議員交流の中心である「韓日議員連盟」の会長を務めた事もある人物で、決して日本の事を知らない人ではない。昭和天皇を「戦争犯罪の主犯」と表現し、「その息子の天皇陛下が元慰安婦の手を取り謝罪するのが望ましい」との発言を、多くの日本人がどんな気持ちで聞くのか、分からないはずはない。

隣国とは仲良くすべきと思っていた日本人でも、象徴である陛下を愚弄するようなこの発言で、考え方を変える人が出てくると思われる。陛下の行く先々で手を振って大歓迎していたあの日本人たちは、この議長発言を一体どんな気持ちで聞いたのだろうか。皇室への敬意を持つ日本人にとって、一線どころか二線も三線も超えたこの発言は、過去最悪とも言われる日韓関係が、さらなる底なし沼に落ち込むきっかけになりうる。文議長は、自らの発言の影響を軽視すべきではないだろう。

【執筆:FNNソウル支局長 渡邊康弘】

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