元民主・細野氏の自民党入りに相次ぐ“NO!” “平成最後の変節?”に幹部間でさや当ても

カテゴリ:国内

  • 自民党入りを目指す細野氏に反発の声
  • 静岡県連は“細野相手にせず”作戦か?
  • 細野氏の総括は?萩生田氏「説明を」二階氏「不要」

二階派入りの細野氏「自分の政策実現を目指す」

自民党の二階派に電撃的に入会した元民主党で現在無所属の細野豪志元環境相。2月4日、都内のホテルで自身の政治資金パーティーを開催した。その場で細野氏は、自らの志として「政治は常に弱い立場の人のそばに」「現実主義による外交」という2点を挙げた上で、「政策をわずかでも前進させる」と二階派入会の目的を語り、併せて将来的な自民党入党への強い意欲を示した。野党よりも与党にいることによって、政策実現を果たしたいということを随所に滲ませていた。

一方で、現在の野党については「今の野党の軸が立憲民主党になるのは明らかだ」と指摘し、共産党も含めた野党間の選挙協力が進められている中で「憲法改正についての考え方が合わない。野党という選択肢はあり得なかった」と述べた。

細野豪志元環境相の政治資金パーティー(2月4日)

現在、自民党の目指す憲法改正の主軸として、安全保障の根幹をなす9条の改正が掲げられる中、細野氏は2015年当時には、国会で大紛糾の末に成立した集団的自衛権の行使を一部容認する安全保障法制について「廃案」を主張し安倍政権を痛烈に批判してきた。

また、今年の経済・財政上の最重要政策となる「消費税増税」ついても「凍結」を訴え、安倍政権の方針とは異なる主張をしてきた。それだけに自民党内から細野氏の行動に対する次のような疑問の声が挙がっている。

「細野さんは発言が180度転換、仲間も置き去り。これで理念・政策を実現するためと言われても、大抵の人は『ふざけるな!』となるでしょ」

“ポスト安倍”への手腕が試される岸田政調会長

この細野氏の行動に悩まされる1人が、岸田政調会長だ。細野氏の選挙区・静岡5区には、細野氏に敗れて落選したが、岸田派に所属する吉川赳元衆院議員が支部長として今も活動している。

細野氏が自民党に入党すれば、現職の細野氏と、落選中の吉川氏が同じ選挙区に存在することになり、自民党が分裂選挙に突入する可能性もある。また、次の自民党総裁、総理大臣を目指す岸田氏としては、自らの派閥に所属する仲間をどう守り抜くかで、“ポスト安倍”としての資質を問われる状況となっているわけだ。

2月7日に行われた岸田派の会合には、その吉川氏も出席し、岸田氏は次のように訴えた。

「吉川赳さん、静岡5区の選挙区において、自民党が厳しい状況の中にあっても、今日まで歯を食いしばって頑張ってきました。そして現に、静岡5区の自民党の支部長は吉川赳さんです!我々は同志としてしっかり力を合わせて応援していきたい」

岸田派の会合で挨拶する岸田政調会長(2月7日)

岸田氏は会合後に記者団に対して、「吉川さんの議席復活に向けて、しっかりとみんなで協力していこうと確認した例会だった」と述べ、吉川氏も「非常に心強い、励みになる言葉を頂いた」と感謝の意を示していた。

岸田氏はこれまで、細野氏の二階派入りについて、二階氏から「何も聞いていない」と述べるなど、控え目に不快感を示すにとどめている。対応を一歩間違えれば、二階幹事長と岸田政調会長による全面戦争にもなりかねない事態だけに、慎重に推移を静観する構えだ。

細野氏の選挙区を抱える静岡県連は“細野を無視”作戦?

細野氏の二階派入りについて、さらに複雑な状況におかれているのは細野氏の選挙区を抱える自民党の静岡県連だ。細野氏これまで約20年間、「非自民」として活動してきた。

その細野氏に対し、選挙や政治活動の最前線で戦う自民党支部組織は、自民党が優位な時も、2009年の政権交代選挙のように猛烈な逆風に晒された時も、常に激しく対峙してきた。

2017年の総選挙に至っては、細野氏は小池東京都知事とともに、希望の党を結党した中心人物だ。静岡県内でも結党大会を開催し、自らの秘書も候補者として擁立するなど、自民党に対して徹底的に対抗し選挙戦を戦った。そうした過去を考えればわずか1年半前にあれだけ敵として戦った相手が、自民党に入りたいなどと言うことは、静岡県の自民党支持者からすれば、信じられないという気持ちになるのは当然だろう。

こうした中の2月4日、衆院・静岡第5選挙区支部は、細野氏の将来的な自民党入りを「断固拒否」する考えを表明。それを受けて2月6日には自民党本部で、静岡県国会議員団会議が開催され、今後の対応を協議した。

自民党静岡県連代表・牧野京夫参院議員(2月6日)

牧野県連会長は会議終了後、記者団に対して「5区支部の結論と同じく、自民党静岡県連は、これまで頑張ってこられた吉川支部長を引き続き支援することを全員一致で決めた」、と二階派に所属する勝俣孝明衆議院議員も含めた全員の総意として、吉川氏を支持していく考えを明らかにした。

一方で、細野氏が自民党へ入党への意欲を示していることについては「党として(細野氏が)入る、入らないという話を公的にやっているわけではない。もちろん党に関わる話になった時には、当然我々に話もあるでしょうし、今はとにかく今まで通り吉川さんを支援していく」と述べて、細野問題を入党とは別問題と切り離していることを強調した。

ただ、静岡県選出議員の1人は「細野氏は自民党には入党させない」と私に断言し、仮に細野氏が本格的に自民党への入党を画策し始めれば、徹底的に戦う考えを示していた。

国民を説得できるのか、細野氏の本気度が試される

自民党内では細野氏が二階幹事長の派閥に入ったことについては、静観する意見も多い。政界で孤立し、行き場を失っていた細野氏に対して「来るもの拒まず」で助け舟を出した二階幹事長の懐の深さを理解する向きもある。

一方で、萩生田幹事長代行が2月4日の記者会見で発言した内容は、ある意味的を射ている。萩生田氏は、細野氏の二階派入りについては、あくまで「特別会員」として認識して、無所属議員が勉強のため自民党の政策集団(派閥)に入ることは「構わない」とした上で、自民党入党については次のように述べた。

「仮に自民党入りを目指すのであれば、この安倍政権の6年間だけでも野党の幹部として政権批判をしてきたわけですから。そういったことが自分の言動としてどうだったんだということを国民に説明をしたらいかがかなと。要は政治理念ですとか信念ですとかあるいは政治信条ですとか、こういったものや政策が政治家というのは大事なので」

自民党・萩生田幹事長代行の記者会見(2月4日)

わずか1年半前の衆院選で小池都知事とタッグを組み政権交代を狙った細野氏の行動は、静岡県連のみならず、東京をはじめ全国に禍根を残している。東京選出の萩生田氏としても大いに振り回された過去があるだけに、細野氏の自民党入党に疑義を呈した形だ。

自民党関係者からは「萩生田さんは語気こそ抑えていたが、都連幹部として、小池と組んだ細野をほいほい入れるわけにはいかないでしょ。都連の議員からも『萩生田さんはよく言ってくれた』と言われている」との解説が聞こえてくる。

一方、細野氏の説明を求めたこの萩生田氏の発言に対して、二階幹事長は次のように異議を唱えた。

「私は喜んで入党を歓迎すると同時にいろんな意見、また自民党に今日まで自民党になかったそういう新鮮なご意見等を積極的に注入していることを期待している。私は自民党に籍を置いてそう日が長くないが、結党以来その中で見ていて、過去にそんなことを説明したり報告したり審議したりというのは聞いたことない」

自民党・二階幹事長の記者会見(2月5日)

細野氏の説明の必要性を否定したこの発言は、自民党の柔軟性を中から外から見続けてきた大ベテランの二階氏らしい発言と言えるかもしれない。

とはいえ、政治理念重視を強調したうえで自民党入りを目指す細野氏であるならば、これまで自らが発言してきたことを、1つ1つ国民に説明し、疑問を清算していく必要性は否定できないだろう。

自民党入りを目指すにあたって、これまでの訴えが間違っていた部分があるなら、素直に当時の発言を訂正し、方針を変えた理由を説明した方が、有権者の理解を得られるかもしれない。野党議員よりも与党議員の方が政策実現できるという主張のみが先行するようでは、今までの約20年間、細野氏を支援してきた人たちがあまりにも報われないのではないだろうか。

(政治部・与党担当キャップ 中西孝介)

取材部の他の記事