お金を最も使うのは「アイドルオタク」…世界のマーケットが狙える“オタク文化”は?

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  • 矢野経済研究所がオタクに関する消費者アンケートを実施
  • 日本で多いオタクは「漫画」「アニメ」「アイドル」
  • アイドルオタクの特徴は「生活に余裕があってもなくても消費する」

矢野経済研究所がオタクに関する消費者アンケートを実施

矢野経済研究所は1月30日、オタクに関する消費者アンケート調査を実施し、「分野別のオタクの人数の推計」や「1人当たりの年間消費金額」を発表した。

調査の対象は、15歳から69歳までの男女1万408人。
「あなたは自分を何のオタクだと思いますか、もしくは人からどんな分野のオタクと言われたことはありますか?」という質問への回答者数をもとに、“分野別のオタクの人数”を拡大推計(母集団拡大集計)したところ、1位は「漫画」で約640万人、2位は「アニメ」で約598万人、3位は「アイドル」で約280万人だった。

“1人当たり年間消費金額”の1位は「アイドルオタク」で10万3,543円、2位は「メイド・コスプレ関連サービスオタク」で6万8,114円、3位は「鉄道模型オタク」で6万3,854円。

「アイドルオタク」は、2016年、17年度の調査でもトップを占め、3年連続で1位だった。

矢野経済研究所

また、この調査では、オタクの分野別に、「世帯年収」、「年齢」、「性別」などとの相関も分析しているという。

なぜ、オタクの中で最もお金を使うのが「アイドルオタク」なのか?
そして、分野別のオタクの実態についても「矢野経済研究所」の主席研究員・松島勝人さんに話を聞いた。

生活に余裕があってもなくても消費

――1 人当たりの年間消費金額で「アイドル」が一番多い理由は?

コンサートや会員費、グッズ等、楽しむにはそれなりの費用が掛かる仕掛けがある(=平たく言えば、他のオタク分野より、お金がかかる構造)ということと、「のめり込みの度合い」が強い方が多いからです。


――「アイドルオタク」にはどのような特徴がある?

世帯年収が高い・低いに関わらず、消費額が平均して高いです。

通常、お金に余裕があれば、それだけ消費額が増えるというのが道理でしょうが、「アイドルオタク」は世帯収入にあまり左右されず、高い消費額という傾向があります。

生活に余裕があってもなくても、アイドルにそれだけ人生を賭けている人が少なからずいるのでしょう。

「アイドルオタク」の平均年齢は30.6 歳。既婚率 22.0%。未婚かつ過去にも恋人がいない方の出現率 39.6%。男女比は、男性34に対し、女性は66。

特に、未婚率や恋人がいない人の率が高そうに世間では見られやすい「アイドルオタク」ですが、実際にはそれほど極端ではないです。


――2016 年、2017 年の調査と比較して、2 年連続でオタクの人口が増えているのは「アイドルオタク」のみ。この理由としてはどのようなことが考えられる?

本調査では、あくまで自分でオタクと思っている、または人からオタクと言われたことがある、人を「オタク」と定義しております。

客観的には「オタク」と呼べる程のヘビーユーザーでなくとも、アイドルファンの裾野が増えた(ライトユーザーが増えた)ことで、自称オタク(ライトユーザーでも自分をオタクと称する人)が、アイドルに関しては増えていることと推察されます。

「漫画オタク」はオタク歴が長いのが特徴

――オタクの人数で「漫画」が一番多い理由は?

他のジャンルと比べて、昔からあるコンテンツで、老若男女が楽しめるものであるとともに、手軽に誰でもアクセスできるからではないでしょうか。


――「漫画オタク」の特徴は?

「漫画オタク」の男女比は52.1:47.9で、若干、男性が上回っていますが、男女がほぼ拮抗しております。

アニメ、模型、フィギュア、プロレス、ゲーム等、男性の比率が女性を大きく上回る分野がオタクには多いのですが、漫画は男性中心でないということです。

オタク歴が比較的長い人が多いのが特徴の一つでもあります。
オタク歴の平均は21.2 年。
これは、アニメ(平均16.9 年)、鉄道模型(平均20.4 年)、アイドル(平均10.3 年)よりも長いです。

おそらく、自我が確立する前の幼児、小学生の時期から漫画にハマる人が相対的に多いのではないしょうか。また、他のオタク分野はある程度、自我が確立してからハマるものなのでしょう。

「プロレスオタク」は既婚率が高い

――「分野別のオタクの人数」と「1 人当たりの年間消費額」以外にも調査で分かったことはある?

本アンケート調査では、オタク分野別の世帯年収、年齢構成、性別構成、利用するSNS、友人・性格、運動好きか、酒・たばこ・ギャンブルとの相関等も分析しております。

一部、公開できるデータを申し上げますと、プロレスオタクの 51.4%は既婚者で、既婚率が最も高いオタク分野です。
ちなみに、アニメオタクの既婚率は 26.0%、漫画オタクは29.5%

平均年齢の最も高いオタク分野は「鉄道模型オタク」で42.8歳。
ちなみに、アニメオタクの平均年齢は 32.8 歳、漫画オタクは34.2歳です。


――「プロレスオタク」の既婚率が最も高い理由は?

40 代後半以上の男性は、子どもの頃、プロ野球と同様に、地上波のテレビで日常的にプロレス中継を見ていた世代です。

その男性が、大人になっても濃いプロレスファンであり続け、付き合う女性、生まれた子どもも皆、濃いプロレスファンになってゆく、という構図がプロレスにはあるようです。

「オタク」が侮蔑的に捉えられることが減った

――オタクのイメージは一昔前と比べて変わった?

従来、「オタク」という言葉は、ある種の侮蔑語に近いニュアンスがありました。

「オタク」は社会的に信認されていない趣味を持つ人々、というニュアンスが強く、切手集めや楽器好きの人は「マニア」と呼ばれる一方、アニメ好きは「オタク」と呼ばれ、その違いは、学校・職場等の公の場で公開できる趣味(=マニア:社会的に信認されている)、仲間内にしか公開できない(=オタク:社会的に信認されていない)、という違いでした。

それが昨今では、「アニメ」「漫画」等は、社会的に地位のある大人や、ライトユーザーの方も、自らそれらのオタクと自称することが増えたので、侮蔑的に捉えられることが減っているかと思います。

アニメや漫画はもはや、その意味で「オタク」ではなく、社会的にも信認されている、普通の趣味・マニアに近い存在です。

一方で、例えば、「美少女フィギュアのコレクション」「コスプレイヤーの撮影」のような趣味は、学校・職場で公にできるものではまだなく、「オタク」そのものであり続けているかと思います。

つまり、「アニメ」「漫画」「ゲーム」等は、相当に社会的な信認を得てきているので、「アニメオタク」「漫画オタク」のイメージは従来と違いますが、分野によっては、従来と全く変わらないイメージで、やや侮蔑的に「○○オタク」と捉えられている分野も数多くある、ということになります。

今後、世界のマーケットで通用しそうなオタクは?

最後に、“オタク文化”は日本の魅力を海外に発信するクールジャパン戦略の1つだが、今後、外国人に選ばれるマーケットとして期待できるのはどの分野なのか、聞いてみた。

――今後、世界のマーケットで通用し、ビジネスになりそうなのは、どの分野のオタク?

漫画、アニメ、ゲーム、模型、トレーディングカードゲーム等はすでに世界マーケットに通用するどころか、海外市場がメインになりつつありますし、アイドル、ボーカロイドも世界市場に進出しております。

「オタク」に関する、ソフトコンテンツのクオリティーは、日本は世界でも群を抜いており、かつ、学生であろうが、50 代、60代 であろうが、オタク趣味を持つ人が相当に存在する国は恐らく日本だけでしょう。

そのため、日本は“オタク先進国”として、どの分野も(宗教やその国の文化・慣習に抵触しない限りにおいては)世界に出て行けるものと思われます。


今回の調査では、「アイドルオタク」が最もお金を使うということだったが、少子高齢化が進む今後の日本を考えると、是非、“オタク先進国”として世界にもマーケットが広がることを期待したい。

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