LGBTの人の気持ちをVRで体験研修 企業の半数超はサポート制度なしの現実も
- LGBTの人のつらさなどをVRで体験研修する企業も登場
- 一方でLGBTの人へのサポート制度を取り入れている企業は半数未満
- 企業で研修を行う際は相談できる環境などメンタルヘルスケアにも注意
LGBTの人のつらさなどをVRでリアルに体験
2月5日、日本生命の社員向けに開かれたLGBTセミナー。
会場の机に置かれていたVRのゴーグルとヘッドホンを装着すると、見えてきたのは…
「そろそろ結婚ですか?」と言ったランチ時の会話のシーン。
これは、職場で自分がレズビアンであることをカミングアウトしていない女性の視点に立ち、LGBTの存在を気づかない人の中にいるつらさなどを体験することができるセミナー。
体験を受け、各グループはLGBTの人の気持ちになってみることで、これまで気にしていなかった部分や、新たに気付いたことなどについて意見を交換していた。
「VRになるとすごくリアルに体験できた」
参加者は…
「VRになると、感情移入というか『こういうふうに聞こえてくるんだな』とか、『こういうこともあるんだな』というのが、すごくリアルに体験できた」
「いろんな方がいらっしゃるので、その方々に対して、自分がどういうふうに支えることができるかということを今回の研修を通じて、より一層強く思った」
日本生命でLGBTに関する取り組みを行っている、日本生命 輝き推進室・笠原陽子担当課長は、
「VRを使うというのが新しい試みで、『自分事』としてしっかりと落とし込むことに今回のVRが最適かなと思った」と話す。
LGBTの人たちへのサポート制度は半数未満
こうした取り組みが広がる一方で、同性パートナーに対する配偶者手当といった福利厚生や勉強会の実施など、企業内でのLGBTの人たちへのサポート制度などを行っている企業は、まだ半数に満たないという調査結果もある。
研修を行う際はメンタルヘルスケアにも注意
LGBTに関する企業研修などを行っているNPO法人「虹色ダイバーシティ」代表で、LGBT当事者でもある村木真紀さんは、地方や現場まで、まだまだ広がっていないのが現状だという。
NPO法人 虹色ダイバーシティ 村木真紀代表
「取り組みが進んでいないというか、身近にいるように感じられないというのも大きいのかなと思います。当事者は必ず数%いますので、研修を受ける人たちの中にもいます。なので企業で研修する際には、参加者のメンタルヘルスのケアにしっかり注意すべきだと思います。例えば、そのあとでも相談できるとか、その気持ちを誰かに話せるとか、そういう機会が合わさると、よりいいかなと思います」
LGBTに対する世代間のギャップ
経営コンサルタントの松江 英夫氏は、
「浸透させるには、世代間の感覚の違いがあると思う。デロイトトーマツグループが行ったダイバーシティに関する企業が取り組むべき施策の調査を見ると、LGBT分野を重要と感じる人の割合が世代間で違う。ミレニアル世代(25~36歳)とその下のZ世代(19~24歳)を比較するとギャップが非常に大きい。つまり若い世代ほどLGBT分野を重要だと感じる人が多い。これを経営としてどう取り入れるのか。この辺に普及のポイントがあると思う」と話していた。
(「プライムニュース α」2月5日放送分)