画期的?ガス抜き?“小泉進次郎の45分間”に割れた評価 予算委で統計不正を追及

カテゴリ:国内

  • 進次郎氏が6年ぶりに予算委で質問 冒頭は安倍首相称賛 
  • テレビも意識…厚労省批判を連発し組織改革迫る
  • 与党からは高評価も野党からは「ガス抜き」「小泉神話の限界」

小泉進次郎氏、6年ぶりの予算委員会質問に立つ

2月4日午前、国会では、衆院予算委員会で今年度第2次補正予算案をめぐる実質審議が始まり、与党の3人目の質問者として自民党の小泉進次郎厚生労働部会長が質問に立った。

小泉氏が予算委員会で質問に立つのは実に6年ぶりで、統計不正問題に揺れる厚生労働行政に関する自民党の部会の責任者として、どんな質疑を展開するか大きな注目を集めた。

「おはようございます。小泉進次郎です」

野田聖子予算委員長に名前を呼ばれた小泉氏は安倍首相と全閣僚を前にこう挨拶すると、統計不正問題を質問する前に、違う話題から切り出した。

衆院予算委員会で質問に立った小泉進次郎氏(2月4日)

TPPで安倍首相を称賛

小泉氏が切り出したのはTPP=環太平洋経済連携協定について。6年前の予算委員会で自らが安倍首相に「TPP交渉に参加すべきだ」と迫ったことに言及し、安倍首相がTPP参加に踏み切ったことについて、「後世振り返った時にあの時決断してよかったとなると思う」と安倍首相の判断を称賛した。安倍首相も「自由貿易の旗手として役割を果たしていきたい」と胸を張った。

安倍首相

そして小泉氏はTPPに関連付ける形で、「あの時やっていてよかったなあと思われるためにも、これから私が触れる厚労省の問題、毎月勤労統計、そして賃金構造基本調査、こういったことも含めて、あの問題があったから統計改革ができた、あの問題があったから厚労省の改革ができた、そういったことにしなければならない」と統計問題に触れつつ、「やっておいてよかったと思われる」もう1つのテーマとして「国会改革」に議題を切り替えた。

肝いり「国会改革」を生中継でアピール

小泉氏は、テレビの生中継を見ている国民を意識し、次のように持論を展開した。

「平成が終わろうとしている今、本当にこのままの国会を続けていいのか。この(予算委の)基本的質疑は目の前のテレビを見ている方も、この景色を見ているように、全ての大臣が出席しなければいけないことになっている。一方で、一問も質問を受けない大臣もいっぱいいる。朝の9時から夕方の5時まで、昼の休憩をはさみ1日7時間。官房長官は記者会見があるので、少し抜けられると思うが、記者会見で抜けられるのであれば、なぜ質問通告が一問もない大臣もほかの大事な仕事で抜けてやることができないのか。質問に答えることがないのに、7時間この部屋に座っていることを国民が望んでいるのか。私は望んでいないと思う。平成が終わる前に、このルールも変わるべきではないか」

小泉氏はこのように訴え、同じく国会改革に積極的な河野外務大臣の見解を求めた。そして河野大臣が、過去の経緯に触れた上で「この問題は与野党で将来を見据えたご議論をしていただけたらと思う。問題提起ありがとうございます」と答弁すると、小泉氏は「画期的なやり取りだと思う。ここまで国会改革のやりとりが予算委で展開されることはなかったと思う」と自画自賛した。こうしたやり取りを経て本題の厚労省の統計不正問題に突入した。

河野外相

追加給付の工程表 大臣より詳しくアピール

小泉氏は、根本厚労大臣に対して歯切れよく矢継ぎ早に質問を繰り出した。まずは、統計不正により、雇用保険や労災保険の給付を本来より少なく受けていた対象者への追加給付をめぐり「実害が発生している約2000万人にいつ追加給付がどのようにできるか明らかにすること」が大事だとして、根本大臣に質問した。

小泉氏「根本大臣にお伺いする。工程表、役所の中で協議したと思うがメドは見えたか?」

根本大臣「給付の種類ごとに現時点でのスケジュールの見通しを示す工程表を公表する。内容は厚労省のホームページでも案内する」
小泉氏「工程表を公表するということで(国民には)安心していただきたい」

根本厚労相

さらに小泉氏は、根本大臣に給付の具体的なスケジュールについての答弁を求めたが、根本大臣が大まかに説明すると、既に厚労部会長として詳細を把握済みの小泉氏が根本大臣よりも詳しくスケジュールを説明し直してみせるという光景が繰り広げられた。

そして小泉氏は、不正に関する大臣への報告の遅れや、その後の調査のあり方をめぐり、厚労省を追及する質問を続けた。

「アウト」「隠ぺい体質」厚労省の対応を厳しく批判

小泉氏「20日に大臣に第一報があがっている。私が非常に疑問に思っているのは、なぜ翌日21日の毎月勤労統計の確報の公表があるという事実を、厚労省の官房の幹部の説明が、2回は入っているにも関わらず、それが大臣に上がらないのか?私はそこが不思議でならない」

根本厚労相「報告までに時間がかかりすぎていると思うし、毎月勤労統計の確報値の情報についても、あがっていなかった。大変遺憾だ」

小泉氏「厚労省本当に大丈夫か、厚労省の未来については、私はまだ全然見えていない。大臣、厚労省の中でやる調査にもかかわらず、第三者性ということを強調しすぎた点は、率直に反省した上で、いかに理解を得られるか考えた方がいいのではないか」

根本大臣「ご指摘のように、第三者性を強調しすぎたのではないかということについては、私は反省をしている」

小泉氏「毎月勤労統計は危機管理上アウト、ガバナンス面でも欠如している。賃金構造基本統計については組織の隠ぺい体質の表れだ」

小泉氏の厚労省改革要求に根本大臣は…

その上で小泉氏は、根本大臣に厚生労働省の組織改革を求めた。

「年金、医療、介護、子育て、次々に大きな課題が降りかかる幅広い業務を、1つの大臣、1つの役所、1つの委員会で本当に回るのか。国民生活に責任を持っている組織として信頼されたと思うように、厚労省改革に取り組んでもらいたい」

 これに対し根本大臣は小泉氏の要望に応える答弁をしてみせた。

 「私も厚労省改革が必要性だと思っています。厚労省改革に何が必要かを考えていきたい」

大臣自らが厚労省改革の必要性に言及した瞬間、会場にいた野党議員からは、大臣はそこまで小泉氏に花を持たせるのかと言わんばかりのどよめきが起きたほどだ。その後、小泉氏は国会審議の資料等のデジタル化などについて安倍首相らに質問し、45分間の質問を終えた。

45分間の質疑を「画期的」と自画自賛

小泉氏の質疑は与野党から特に注目されていたようで、自民党内からは「明解な内容だったよ。大臣の元気のなさが逆に目立ったくらいだ。(自民党中堅議員)」「厚労部会長としての思いも込められていた(自民党若手議員)」など高い評価が聞かれた。

質問を終えた小泉氏は、報道陣から感想を求められると「画期的だった」とその内容を自画自賛した。

「最大の成果は工程表が明確になったこと。厚労省改革が必要だと思うと(大臣が)率直に答弁されたことは、今後このテーマは間違いなく上がってくると思いますね」

委員会後 記者団の質問に答える小泉進次郎氏

厳しい追及の一方で安全運転の質疑?

この日のやりとりを見ると、政府に対しての厳しい追及を重ねたように見える小泉氏だが、「大臣の責任も一連の中であると思うが、野党の方が言うように、大臣を替えて済む問題かといったら、それは違うと思う」と根本厚労大臣の続投に理解を示すなど、あくまでもブレーキに足を置きながらの安全運転だったとの見方もある。実際、統計問題で安倍首相に質問することはなかった。

自民党幹部は「大臣に厳しく言いすぎるんじゃないかと気にしていたけど、余計な心配だったね」と述べている。政府与党としては、小泉氏という身内が厚労省を追及することで、自浄能力をアピールしたかった面もあるようだ。

野党は冷ややかに批判「小泉神話の限界」

一方、立憲民主党の辻元国対委員長は、小泉氏の質問を次のように批判した。
「ガス抜き質問でしょうか。がっかりしました。小泉進次郎さんも、このままだと単なる人気モノで終わってしまうなと。小泉神話の限界を見た」

立憲民主党・辻元国対委員長

今回質問に臨んだ小泉氏は、国民感覚に基づき政府を厳しく追及しなければいけない一方、政権全体へのダメージになることは避けなければという、いわば寸止めの質問が求められたわけで、それに対する評価が与野党で分かれた形だ。

小泉氏は、質問終了後、報道陣から統計問題解決に向けて必要なことを問われ、「疑念を持たれないようにとよく言いますが、疑念を持たれてもいいからありのままを出してくれ」と今後も厚労省側の誠実な対応が重要だとの認識を示した。

この国会最大の火種となっている統計問題に自民党がどう向き合うか、小泉進次郎氏の厚労部会長としての手腕が引き続き問われる。

(フジテレビ政治部 自民党担当 福井慶仁)

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