なぜ心愛さんを救えなかったのか 10歳女児虐待死 “親に言えないメッセージ”が父親に

  • 女児虐待死 担任教師に「首を蹴られる」など詳細な告白
  • アンケートを見た父親が逆上、虐待がエスカレートしたか
  • 一時保護解除の条件は満たされていなかった

母親も逮捕 暴行に関与した“共犯”か

1月24日、小学4年生の栗原心愛(みあ)さん(10)が、父親である栗原勇一郎容疑者(41)に首付近を両手でわしづかみにされたり、冷水のシャワーをかけられた後に死亡した事件。

4日、母親である栗原なぎさ容疑者(31)も、暴行になんらかの形で関与した“共犯”として、傷害の疑いで逮捕された。

FNNの取材では、なぎさ容疑者が心愛さんに十分な食事を与えていなかったとみられることも新たにわかった。

通っていた小学校にSOSを発していた心愛さんを救うタイミングは、本当になかったのだろうか。

「拳で殴られる」「首を蹴られる」…詳細な告白

(アンケートの質問)あなたは、今いじめられていますか。

(心愛さんの回答)はい

(アンケートの質問)あなたは、いじめをだれからうけましたか。

(心愛さんの回答)かぞく


(自由記入欄)お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか。

心愛さんが小学3年生だった2017年、学校のアンケートに綴っていたSOS。
さらに、アンケートをもとにした聞き取り調査では「口をふさいで床に押し付ける」「昨日たたかれた。頭、背中、首をけられて今も痛い」「父親から怖い言葉をぶつけられる」「頭を10回こぶしで殴られる」「母親がいない間にも背中を蹴られた」など、担任教師に暴行被害のつらい実態を明かしていた。

アンケートの開示で「虐待がエスカレートした」可能性

このアンケートの翌日に児童相談所に一時保護されたものの、保護から2か月も経たず一時保護は解除となり、その後親族のもとへ預けられた心愛さん。
この一時保護をめぐり、父親である勇一郎容疑者が激怒し、市の教育委員会に対し心愛さんのアンケートを見せるよう要求。執拗に迫られた教育委員会はアンケートのコピーを提出してしまったという。

児童相談所は同席していなかったという、この面談。
心愛さんの“親に言えない”メッセージが、勇一郎容疑者の手に渡ったことで最悪の事態を招いた可能性も指摘されているが、果たしてこの対応は正しかったのだろうか。

児童心理司として19年間児童相談所に勤務した経験のある山脇由貴子氏は、「アンケートは見せては絶対にいけなかった」と語る。

そして、一時保護に関する問題を学校という場で対処しようとしたこと自体に問題があると指摘する。

山脇由貴子氏:
(アンケートは)見せては絶対にいけなかったと思うんですね。それ(虐待)を告白した心愛さんに対する激しい怒りが湧いて、虐待がエスカレートする
そもそも一時保護に対する苦情、不満を学校が受ける必要は全然なくて、(一時保護を)決定したのは児童相談所なので「一時保護の不満については児童相談所に言ってください」と。

島田彩夏キャスター:
そもそも教育委員会が学校の現場で対処しようとしたのが間違いだった?

山脇由貴子氏:
そうですね。少なくとも児童相談所の同席はお願いするか、主体は児童相談所であるべきだという風に思います。

満たされていなかった「一時保護」解除の条件

心愛さんを救うタイミングは何度もあった」とする山脇氏。
そもそも一時保護された子どもを家に戻すには「暴力を振るった者が虐待を認めること」が条件であるという。

暴力を振るった者が虐待を認めた上で反省し、児童相談所との約束を受け入れて初めて「一時保護解除」となるにもかかわらず、勇一郎容疑者は暴力すら認めていなかったという。

保護解除の条件が満たされないままに、エスカレートした虐待が死へとつながってしまった事件。
正しい対応がとられていれば、救えた命があったのではないだろうか。

(「プライムニュース イブニング」2月4日放送分より)

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