親の支援も、公的支援もない。施設を巣立った18歳に必要なのは「頼れる大人」が周囲にいる社会

<SDGsのランナー>林恵子さん

  • 児童養護施設で生活する子どもは3万人。
  • ほとんどが、18歳で施設を出ないといけない。
  • 仕事も家計管理も急に一人でやるのは困難なので、寄り添ってあげる人が必要。

「働くとはどういうことかわからない」

貧困や虐待などの理由から児童養護施設で生活する子供たちは全国に約3万人。
 
普段も決して楽ではない生活を送っているにも関わらず、彼らは18歳になると、厳しい現実に直面する。

多くの場合、児童養護施設にいる子どもたちは高校を卒業すると施設を巣立たなければならないのだ。

施設退所後は、仕事や家事、家計のやりくりなど、全てを自分ひとりで行なっていかなければならない。しかも、社会経験が浅く、親のサポートが得られない状態であるにもかかわらず、生活のすべてで自己責任が問われる。

10代の若者にとっては厳しい環境だが、親の支えがないだけではなく、公的な支援もほとんどないのが現状だ。

そのため、施設出身の若者が社会的に孤立し、ホームレスになるケースが少なくないという。

NPO法人ブリッジフォースマイルの林恵子理事長(45)が、その現実を知ったときは、何とかしなければと心が動いたという。

「児童養護施設職員は、目の前にいる子供たちの対応で手一杯で、『退所した子どもたちの対応までは、できないんです』という話を聞きました。これは何とかしなくちゃいけないと」
 
18歳で社会に巣立つ子どもたちのために、何ができるのか?

彼らが直面する問題は多岐に渡る。

「生活するための知識がない」
「相談相手がいない」
「家がない」
「お金がない」
「働くとはどういうことかわからない」

そうした自立に不安を抱える子どもたちのために、林さんは、衣食住から進学・就職、心のケアまで、ボランティアと一緒に支援する活動をしている。

児童養護施設を出たすべての子どもが、夢と希望を持って社会で生きていくために何ができるか、ボランティアと一緒になって全力で考え、行動することで、継続的に支え続けていくのが目標だ。

この日、ボランティアの講習会に、こうへいさん(仮名)という24歳の男性が参加していた。こうへいさんは、児童養護施設の出身。18歳の時にこの支援を受け、「今度は支える側になりたい」と志願したという。

こうへいさんは、当時のことをこう振り返る。
 
「金銭的な面での悩みは絶えずありました。大人たちが自分たちの話に興味を持って、聞いてくれたことが嬉しかったんです」 

林さんは、未来に向けて、こんな夢を描いている。

 「自分の子どもだけじゃなくて、子どもたちをみんなで育てる。そういう社会になったらいいなと思う。そうすると子どもたちは自分の親が頼れなくても『他にも頼れる大人がいるかもしれない』って笑顔になれる」
 
ひとりでも多くの笑顔を生み出すために、林さんは走り続ける。

(認定NPO法人ブリッジフォースマイル https://www.b4s.jp

SDGs

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」。2030年を年限とした17の国際目標がある。その一つに「10人や国の不平等をなくそう」という項目がある。

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