「先生、どうにかできませんか」…虐待訴える女児のSOSはなぜ父親に渡ってしまったのか

カテゴリ:国内

  • 虐待告白した女児のアンケートが父親の手に渡っていた
  • アンケートには「秘密を守ります」の文章が…
  • 教育委員会「父親から精神的に追い詰められて」

なぜ破られた?「ひみつをまもります」の約束

1月24日、千葉県野田市の小学4年生・栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅の浴室で死亡し、父親の栗原勇一郎容疑者(41)が傷害容疑で逮捕された事件で、衝撃の事実が明らかになった。

野田市の教育委員会は、心愛さんが2017年11月、学校が行ったアンケートで「父から暴力を受けている」と回答したコピーを、容疑者である父親に渡したことを明らかにしたのだ。

アンケートの目的は、“いじめに関する調査”。
ひみつをまもりますので しょうじきにこたえてください」という一文も添えられ、ここに書くことは絶対に秘密だと信じたであろう心愛さんは、アンケートにこう回答していた。

<心愛さんが書いたアンケートの自由記述の部分>

「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか」


 
必死の思いで心愛さんが発した、初めてのSOS。
秘密にされるはずのアンケートが、なぜ父親に渡ってしまったのだろうか。
「直撃LIVEグッディ!」が市教育委員会の担当者を取材したところ…

 
市教育委員会の担当者:
精神的に追い詰められて、やむにやまれず(アンケートのコピーを)出してしまったというのが正直なところです。
 

父親の威圧的な態度に屈してしまったという、市の担当者。
グッディ!のスタジオでは、教育評論家の尾木直樹さんをお招きし、教育委員会と小学校の対応について徹底検証した。

安藤優子:
心愛さんが、自分のお父さんから暴力を振るわれているということを、学校のアンケートに勇気をふるい起こして書いたんですよ。それをなぜ、暴力を振るっている父親の手に渡してしまうことができるのか…
 
広瀬修一フィールドキャスター:
「どうにかできませんか」という必死のSOS、心愛さんはどんな思いで書いたのか…これが父親の手に渡ってしまって、その後に影響がないはずがありませんよね。

安藤:
学校は、このアンケートを受けて児童相談所に相談をしているわけですよね。

広瀬:
そうです。このアンケートがきっかけで心愛さんは一度児童相談所に保護されています。しかし、この対応に対して怒りがあった父親は、このアンケートの存在をどこかのタイミングで知ったようなんです。そして、小学校側に詰め寄ってくるという場面がありました。

父親の態度に「これまでにないような恐怖」

<去年1月12日 小学校にて話し合い>

・メンバーは心愛さんの両親、学校側と教育委員会側の職員

・栗原容疑者は「家族を引き離された気持ちが分かるか、名誉棄損で訴えるぞ」と大声を出す

・さらに「アンケートの実物を見せろ」と詰め寄るが、学校側は「本人が書いたから見せられない」と毅然とした対応をする

・栗原容疑者は「念書を書け」と要求

・学校側と市の職員は、容疑者の大声にこれまでにないような恐怖を感じたそう

 

広瀬:
学校側に「念書を書け」と、そんなことを言う保護者ってあまりいないと思うのですが…

尾木直樹氏(教育評論家):
聞いたことないですよね。(学校側が)念書を書くということは、その親御さんの支配下に置かれるということでしょう。学校と同時に教育委員会の了解も得ていれば、教育委員会を配下に置いたと同じですから、怖いものなしですよ。

安藤:
しかし学校は、アンケートは見せられませんと一度は突っぱねているんですね。

尾木:
でも、断り方が変ですよ。「本人が書いたから見せられません」って聞いたら、父親は「本人が書いたんだ」と確信を持つでしょう。この言い方もまずいですよ。


小学校での話し合い後、学校と教育委員会は栗原容疑者が口頭で述べた内容を参考に念書を作成した。

無茶な要求繰り返され「やむにやまれず…」

<念書(一部抜粋)>

教職員一同は、「栗原心愛の一時保護に関する件」に関して通告の義務における責任について、児童復帰後は、保護者及び親族一同が安心して児童を任せられる様、具体的な対応、方法を提示し、知識、技能の限りを尽くすことを誓う。

また、今後、児童への対応等が必要となった場合、保護者及び教育委員会への情報開示を即座に実施し、協議の上決定する。

以上のことを遵守し、保護者及び親族一同に対して信頼される組織として学校づくりに取り組むことを誓う。


 

安藤:
これはどういう意味ですか?

木村太郎(ジャーナリスト):
「提示」というところに意味があって、「何をやったかちゃんと言いますよ」ということを言ってるんですよ。
 
安藤:
学校側が心愛さんに対して何をしたか明らかにしろと言っているんですね。尾木さん、こんな念書ってあるんですか?

尾木氏:
あるわけがないですよ。守秘義務があるし、すべてを見せられるわけがないですよ。学校も教育委員会もおかしいですよ。何を考えているんですかね。

安藤:
恫喝まがいのものすごい勢いで、恐怖があったということでしたが、恫喝まがいのことをされたなら、そこで警察を呼べば良かったですよね。

尾木氏:
今回の問題は、全国の子供たちも見ているんですよ。ものすごく関心が高いんです。「秘密って言っても先生は言っちゃうんだ、見せちゃうんだ」「先生も脅されたら念書を書いちゃうんだ」と、まったく頼りにならないですよ。


学校での話し合いの後、栗原容疑者は去年1月13日に開かれた教育委員会でも「アンケートの実物を見せろ」と要求。教育委員会は「本人の同意書がないと見せられない」と答えたという。
するとその2日後…

<去年1月15日 教育委員会にて>

・栗原容疑者は心愛さんの字で「アンケートをお父さんお母さんに見せても構わないです」と書かれた同意書を持ち込む

・当時の栗原容疑者の様子は、静かで矢継ぎ早な質問が多く、鋭い目つきだったそう

・教育委員会側は、今までに感じたことのない恐怖を感じ、「精神的に追い詰められてやむにやまれず(アンケートを)出してしまった」そう。


 
安藤:
尾木さん、まず同意書って何なんでしょうか。

尾木氏:
「同意書がないとだめ」なんて言ったら、「同意書があればいい」と逆に教えてるようなものですよ。すごく稚拙だと思いませんか、この対応の仕方が。すごくおかしい。
 
安藤:
恐怖を感じたと言っていますが、そういう父親にアンケートを手渡したら何が起きるか、とか想像しないんですかね。

高橋克実:
想像しても、とにかくその場が怖かったんでしょうか。

尾木氏:
そしたら、子供を見捨てるのと一緒ですよ。警察を呼ぶなり弁護士を呼ぶなりいろいろ出来るはずなのに、その知恵が回らない教育委員会というのが信じられないです。

安藤:
私は、やはり教育委員会がアンケートを渡したことが、暴力がエスカレートするきっかけになったと思います。そのような人間に心愛さんの心の叫びが回ったときにどうなるのかって、想像力を巡らせてほしかったですね。


(「直撃LIVE グッディ!」2月1日放送分より) 

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