射撃で2020年東京パラリンピックを目指す期待のホープ、水田光夏選手は21歳の現役女子大生。
全日本ライフル選手権で2位、2018年のW杯にも出場した日本を代表する選手だ。
 

「なってしまったものは仕方がない」

 
 
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水田選手は中学2年の時に、指定難病の四肢の筋力や感覚が低下していく「シャルコー・マリー・トゥース病(※)」を発症。完治する治療法が見つかっていない病に冒された。

普通ならふさぎこんでしまうところを水田選手は「なってしまったものは仕方がない」と気持ちを切り替え、何か出来ることはないかと探し始めた。

「17歳の時に(パラリンピック3大会連続出場の)田口亜希さんが射撃の話をしていて、面白そうだな」と感じ、19歳で射撃を始めた。

すると水田選手は驚きの成績を収めるようになった。
 

動かすことが出来ないことに“手応え”

 
 

「射撃はとにかく動かないで止まっているスポーツなので、ちょっと特殊なスポーツだと思います」と射撃について話す水田選手。

水田選手は現在、右手の感覚がほとんど無く、左手は握力が約4kg、両足とも膝くらいまで感覚が無いというが、射撃の極意は「動かないこと」だとも語る。

左腕以外は健常者のように動かす事が出来ない水田選手にとって、「これほど向いているものはないのでは」と手応えを感じたという。

 
 

本格的に始めてたった1年で全日本選手権準優勝。
2018年にはW杯に出場し、その年の全日本選手権でも3位と、日本トップレベルの成績を収め続けている。
 

射撃を通じて自身の成長を実感する

 
 

コーチの鳥居健さん(埼玉県ライフル射撃協会所属)は、「水田選手はあまり自分の感情を表に出さないんですよ。だから大人しい印象を受けてしまうんですけど、一緒に練習をやってみると、落ち着いて、物事に動じず、無理な力を入れずに構えることが非常に上手な選手だと思っています」と水田選手を評価する。

競技生活は2年半。日々成長を続け、伸びしろは計り知れない。

 
 

水田選手は射撃は自分の体と心と向き合うスポーツだと考えている。

「自分の体とメンタルに向かい合ってコントロールするって、言葉を変えれば自分が成長していくっていうことですよね。射撃はちょっとずつ成長していることを実感できるスポーツなんですね」

「人と比べるスポーツだと思っていないので、ベストを尽くすことができればそれなりに点数は出るだろうし、集中して自分の中の最高点を超えるとか、そういうスポーツだと思います」と、淡々と語る水田選手は、内に秘めた闘志を燃やし、2020年東京パラリンピックの代表をつかみ取る。

(※シャルコー・マリー・トゥース病…四肢の筋力低下と感覚障害、筋萎縮が進む病気)
 

水田光夏(ミズタ・ミカ)

 
 

1997年8月27日 東京都生まれ 21歳。SH2クラス
2017年 全日本ライフル選手権 2位。
2018年 W杯(フランス)出場、全日本ライフル選手権 3位。

(PARA☆DO!:毎週水曜夜10時54分放送
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