“二大政党やめた” 元プリンス細野氏の自民二階派入りの弁 記者の「政治的信頼を損ねる行動では」との質問に答えは…

政治部
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  • 細野氏の「自民二階派入りの弁」を詳報
  • 二大政党制やめた?かつての発言との整合性は?
  • 各方面からの批判で、険しい道のり

元民主党のプリンス細野氏 自民・二階派入りへの批判にどう答えた?

民主党政権で環境大臣を務め、プリンスとして民主党の将来を背負うと目されていた細野豪志衆院議員が、自民党入りを目指し、まずは自民党の二階幹事長が率いる二階派に入ることが1月31日決まった。

二階派の総会で、特別会員としての派閥入りが認められた細野氏は、派閥事務所前で報道陣の取材に応じた。民主党の中核にいて二大政党制を標榜し、自民党から政権を奪うことを目指していた、細野氏がなぜ一転自民党入りを目指すことになったのか、説明に注目が集まった。細野氏は次のように口を開いた。

「ただいま志帥会(二階派)の例会で特別会員としての入会を認められました。志帥会の皆さんとの縁は二階会長というのがある。二階先生と話す中で私が考えていることを実現できるのではと入会をお願いしたという経緯です」

細野氏はこのように二階氏との縁を強調した上で、二階派入り決断の経緯と理由に言及した。

「正直申してこれまで非自民で長く活動してきたので、私自身がこの判断をするというのは相当私なりに決断が必要だったし、何度も自分の中で反問したというのがある。その中で私がやりたいこと・理念を本当にやるためには、一歩踏み出すべきではないかとこういう判断をした」

自民党・二会派の総会(1月31日)

細野氏が二階派入りして前に進めたいと強調した「理念」とは

細野氏が二階派入りの理由としてあげた“私のやりたいこと・理念”とは何のことなのか?

「内政においては弱い者の立場に立つ、そして多様性を大事にする、外交安全保障については、しっかりと現実主義に立って物事を前に進めていくという考え方だ。こういう考えを志帥会の皆さんと勉強させていただいて、前に進めることができるのであれば、難しい判断だが仲間に入れていただきたいとお願いをした。いろいろ厳しい批判はあると思うが、そこも含めてしっかり受け止めて、しっかり勉強していきたいし、政策の実現に努めていきたい」

ついに明言した自民党入りへの思い

細野氏は、二階派の「特別会員」になるものの、当面は無所属での活動になる。一方で、自民党内には、かつて野党の中心人物の1人として自民党政権を攻撃してきた細野氏を迎え入れることへの反発の声が根強い。それでも細野氏は次のように、自民党入りを目指す考えを明言した。

「当然だが非自民でやってきたので地元も含めて厳しい意見の人がいると思う、そういった方々の理解をいただく必要があるのでそこは私が努力していかないといけない。政策を実現するという意味で自民党の皆さんと一緒にやっていきたい、自民党入りを目指していきたいという思いは持っている」

自民党岸田派や静岡県連との調整は?

しかし、自民党内でもとりわけ細野氏への反発が強いのが、岸田派と静岡県連だ。細野氏の選挙区である静岡5区には、細野氏とこれまで戦ってきた自民党岸田派所属の吉川赳元議員がいる。そして静岡の自民党県連関係者は、落下傘候補でありながら選挙に強い細野氏に、これまでさんざん煮え湯を飲まされてきたため、仮に細野氏が自民党入りするにしても、細野氏が静岡5区に居座ることは許容できないスタンスだ。しかし細野氏は次のように言い切った。

「私は静岡5区の出身ではないが、ちょうど20年前に全くゼロからスタートして20代だったが皆さんに育てていただいて政治家として鍛えていただいた。私の思いは選挙区で政策を実現する上でも一歩を踏み出したいという思いで決断した。選挙区を動くというのは私の選択肢には全くありません。選挙区を出るということは私が政治家を辞める時だ」

細野氏のこれまでの発言との整合性を記者が質問

一方で、細野氏の今回の決断は、これまでの自らの政治行動を一変させるもので、過去の発言とも整合性が取れない。その点について記者からの質問が相次いだ。まず、政権交代可能な二大政党制を目指すとしてきた考えを変えたのか聞かれると「率直にその通りだ」と答えた上で、こう続けた。

「もともと私は保守二大政党論者だ。外交安全保障はお互いに話し合えるような状況を作ったほうがいいと言ってきた。残念ながら民進党の安全保障政策が私の考えと合わなくて党を出て希望の党をつくった。ただ残念ながら希望の党は消滅する中で、私はやりたい政策をやるためには二大政党というやり方ではなくて、まずは志帥会に入って実現していくべきだと判断した。したがって二大政党と言っていたことを変えたではないかという批判はその通りで率直に受け止めるしかない。私の思いは政策理念、やりたいことは変わらないしこれからも変えない。それをやる手段として二大政党ではない選択をしたということ」

二階幹事長肝いりの国土強靭化はバラマキ?

続いて、細野氏が、二階幹事長の看板政策である国土強靭化政策を「公共工事のバラマキだ」と批判してきたこととの整合性を聞かれると、こう答えた

「長く自民党以外の立場で活動してきたので様々な発言をしてきたと思う。そこは出直しのつもりでやらないといけない。理念としての災害対応、災害に強いまちづくりという意味では考え方に賛同できる。もともと私は阪神淡路大震災の時、現地でボランティアをして政治家を志した。あとは政治家として一番私が問われたのは東日本大震災。ああいう災害対応をどうやるのかが政治の最大の課題、それを二階会長が国土強靭化と仰っているのだろうと理解している。そこはしっかりやらなければならない」

自民党・二階幹事長

政治的信頼を損ねる行動ではとの問いに細野氏は…

そして記者からは、細野氏の行動を問う、この日もっとも厳しい質問が飛んだ。

記者「細野さんの方針転換については、細野さんは民主党・非自民の中核的存在だった。それが自民党側に急遽一転してくるのは政治的な信頼を損ねる行動ではないか」

痛いところを突かれたのかもしれない。硬い表情で質問を聞き終えた細野氏は質問にストレートに答えずに、前日の国会での代表質問でのエピソードで切り返した。

「昨日代表質問を聞いていて感じたが、枝野代表も玉木代表も思いを述べていて、立派な代表質問だったと思う。ただ、んっと思ったのは、(児童)虐待のことに触れたのは二階会長だけだった。政治の役割は何かと考えた時に本当に弱い立場の人に手を差し伸べることが大事。虐待はもっとも弱い子供たちですから。それを野党ではなく与党でやれるのであれば、政治家として大きな役割だと思った。私の理念は変えずに前に進めることでいろんな思いを寄せていただいた皆さんに応えていきたい」

その上で細野氏は、現在の野党の状況を問われ、「友人も多いし、いま私の立場で野党について論評するのは控える」とした上で、「外交安全保障は現実主義でやっていかなければ、政権を担うというのは難しい。そういったことも含めて私の考え、理念と合致する政党が今の野党にはどうしてもない。そのうえでの今回の判断だ」と安全保障政策をめぐる野党の現状も、自民党入りの理由だと説明した。

そして派閥事務局が設定した質問数を超えた時点で、細野氏が原発事故担当閣僚などとして向き合ってきた原子力政策について聞かれると、時間がないと告げ、取材は終わりとなった。

各方面からの批判に細野氏の今後の説明と行動は…

細野氏の行動については、野党から「本当に節操がない」「18年間言ってきたことは何だったのか」との批判の声の一方で、立憲民主党の枝野代表らは「関心もない」と冷ややかだ。

自民党の静岡県連関係者も「絶対おかしいし都合がよすぎる。選挙民も裏切っている」と批判し、地元の有権者を取材しても、支持する声もある一方で、やはり厳しい声が多かった。

細野氏の弁がこうした批判に対する説明として十分だったかどうかはともかく、厳しい声を払しょくして自民党の政治家としてかつての輝きを取り戻すまでの道のりが険しいのは間違いない。

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