「新旧『元号』の商標登録できません!」基準改定で便乗商法防げる?特許庁に聞いてみた

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  • 特許庁が1月30日に商標審査基準を改定
  • もちろん「新元号」も商標登録できない
  • ひらがなやカタカナは?特許庁に聞いてみた

「平成」も残すところ、あと3カ月。
今年5月1日からは新元号へと改元されるが、巷では「平成31年」の貨幣に申し込みが殺到したり、「昭和→平成」と書かれた切符が話題になったり、平成のプチブームが各所で起きているようだ。

そんな中、特許庁は1月30日に新旧の「元号」を商標として使えないよう商標審査基準を改訂した。

出典:特許庁

そもそも商標とは、「事業者が使用するマーク」「自己の商品・サービスと、他社の商品・サービスを区別するために使用するマーク」という2点を満たすもののこと。
この「マーク」と「商品・サービス」を合わせて登録して商標権を得ることで、他の人が似た商標を使うことを禁止することができる。
しかし逆に言えば、他の会社のマークでも先に商標登録してしまえば、自分の物として使うことができる。

つい最近も、「The Tiramisu Hero」というシンガポール発祥の瓶入りティラミスが、日本でブランドロゴを使えなくなったことが話題になったが、日本の別の店が「The Tiramisu Hero」というロゴマークを先に登録していたことが原因だった。

今回の改定は、新元号が4月1日に公表される予定のため、改元前に新元号の駆け込み申請が殺到する事態を防ぐ狙いがあるのか?
そして、「元号」の商標使用ができなくなるということは、「平成」だけでなく「へーせー」も「HeySay!」もダメなのか?
今回の改定の意図に加えて、商標登録自体についても特許庁の担当者に聞いてみた。

実は、昭和46年から現元号以外も登録できなかった

――なぜいま商標の審査基準を改訂したの?

これまで審査基準には、現元号(現代の元号)は登録できないと記載されていました。
ですが、現元号以外も登録を認めてなかったんです。
そのような審査基準が明確ではないという事情があったので改訂をしました。


――元号が変わると申請が殺到するのを回避するためでは?

それは、あまり想定していませんし、申請が殺到するかも分かりません。
ただ、「現元号でなくなれば登録できる」と思われていると、改元によって旧元号にちなんだ商標をたくさん考える方がいると思います。
せっかく考えていただいても、登録できないと判断されてしまいますので、正しい理解の元で申請していただきたいです。


――改元の前に発表される新元号も商標に使えない?

もちろんそういうことになります。
原則、元号であると認識されるものは認められません。


――現元号以外も登録を認めなくなったのはいつから?

商標の審査基準を最初に公表したのは昭和46年です。
その時から「現元号」に関しては登録できないと書かれていましたが、実際は現元号以外も登録できませんでした。
例えば、平成になってからも「昭和」という商標は認めていません。



特許庁公式サイトより

平成29年4月1日に施行された商標審査基準〔改訂第13版〕では、「現元号」は商標に認めないと書かれている。
それが平成30年6月、特許庁公式サイト公開した文書では「現元号であるか否かを問わず商標登録できない」という方針は示されていた。
そして今回1月30日の商標審査基準〔改訂第14版〕で、現元号に限らず「元号」を商標に認めないと明文化したのだ。

「平成まんじゅう」がダメな理由

特許庁によると「平成」などの元号は、それが自分の商品・サービスなのか、それとも他の商品・サービスなのかを区別する「識別力がない」そうだ。

すなわち、単に元号として認識されるにすぎないため「平成」「昭和」など元号単体では商標として認められない。
さらに「識別力がない」とされる、例えば「まんじゅう」などの文字等と組み合わせて、「平成まんじゅう」という名前にしても、やはり識別力がないという理由で商標登録はできないという。

ただし「平成まんじゅう」でも、名前を長年使い続けて多くの人が認識できるようになると、識別力があるものとして商標登録できる可能性はあるという。(他の拒絶理由に該当しない場合に限る)
大正製薬やお菓子の明治なども、世間に広く知られているため、商標として認められたそうだ。


――では「平成フジテレビ」なら商標登録できる?

フジテレビはもうそれ自体が一つの商標として、どういう会社がどういうサービスをしているのか分かります。
当然「平成」を付けても「識別力がない」とはならないので、登録できる可能性はあります。
別に「平成」がつくから全部登録できないというわけではないんです。

ひらがなやカタカナの場合は?

ざっくりとまとめると、元号に何か言葉を足せば登録できる可能性はあるが、他の人も使いそうな一般名称をつけ加えて、商標ビジネスを企んでも認められないということだ。
それでは、ひらがなで「へいせい」とかカタカナで「ヘーセー」とか、アルファベットの名前にすれば登録はできるのだろうか?

――アルファベットなら登録しやすいのでは?

例えば「大正」をローマ字やカタカナ書きした場合は、元号以外にも「大将」「対称」「大賞」などいろんな意味に捉えることができます。
そうなるとローマ字を見ただけでは、元号だと思わない可能性は当然あるので、場合によっては登録される可能性があります。
また文字をデザイン化したロゴマークのようなものであれば、登録の可能性はあります。
ただし、デザイン化したローマ字で商標を得ても、「平成」や「へいせい」という文字の権利は別で、権利があるのはロゴマークだけになります。

こうしてみるとなかなか複雑な商標の世界だが、改元を前に新旧すべての元号を登録できないよう明文化したことは、元号を使った便乗商法の抑止力にはなりそうだ。

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