“生涯未婚率”の増加自体は、大きな問題ではない。

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  • 「結婚するのが当たり前」という時代が終わりを迎えつつある
  • 「個人の結婚」と「国の未来」が奇妙に結びついている日本
  • 今の日本の結婚制度は、あまりにも窮屈だ

「結婚するのが当たり前」という時代が終わりを迎えつつある。

2015年の生涯未婚率は、男性が23.4%、女性が14.1%。この割合は2030年代には男性が約3割、女性が2割になると見込まれている。つまり4人に1人が結婚しない時代が訪れるということだ。
少し前までの日本はこうではなかった。戦後しばらくの生涯未婚率は、何と1%台。日本人が「世界一結婚好きの民族」なんて呼ばれていた時代もあった。

しかし、結婚は国民の義務でも何でもない。結婚したい人はすればいいし、そうでない人はしなければいい。家制度も廃止された日本で、結婚するかしないかは、個人の自由に任されている。

「個人の結婚」と「国の未来」が結びついている日本

ではなぜ、未婚化が問題になるのだろうか。

大きな理由は、日本では「個人の結婚」「国の未来」が奇妙な形で結びついてしまっているからだ。政府の白書などを読むと、少子化の理由として未婚化が挙げられていることが多い。確かに日本では、未婚化・晩婚化が進展した時期と、出生率が下がった時期がある程度一致している。

だから、結婚しない若者が増えると、子どもの数も減り、この国の少子高齢化がますます進むという命題は、一見すると正しい。税金を使って、自治体がお見合いパーティーを主催するのも、理屈が通っているようにも思える。

しかし海外まで目線を広げてみると、「結婚」と「出生率」の関係は必ずしも自明ではないことがわかる。

たとえばヨーロッパでは、パートナーシップ制度を導入することで、結婚をしなくても、子どもを産み育てやすい環境を整備している国が多い。実際、フランスやスウェーデンでは、婚外子の割合が5割を越えている。結婚している母から生まれた子どもより、未婚の母から生まれた子どものほうが多いのだ。

日本で婚外子の割合は約2%。世界的に見て、非常に低い数値だ。それだけ日本で「結婚・出産・育児」がセットで考えられていることの証拠だろう。

「生涯未婚率」の増加自体は、大きな問題ではない

子どもが減ることは大問題だ。
出生率が減れば、未来の消費者や納税者が減る。あまりにもいびつな少子高齢化は、国の経済に大きなダメージを与える。

しかし、結婚はそうではない。出生率の低下という「国の未来」と、「個人の結婚」がセットになってしまっているから問題なのだ。

籍を入れずに子どもを産み育てたい人。結婚はしてもいいが名字を変えたくない人。同性同士で結婚して、子どもを欲しい人。精子バンクを使って未婚のまま子どもを欲しい人。

そのような希望を持つ人に対して、今の日本の結婚制度はあまりにも窮屈だ。生涯未婚率が増えること自体は、大きな問題ではない。できるだけ多くの生き方を認め、個人が自由な選択をとれる社会になることこそ、重要だと思う。

さっさと同性婚や選択的夫婦別姓を認め、パートナーシップ制度を導入すべきだ。「国の形が変わる」とか適当な理由でこれらの提案を拒否する人は、この国の未来を本気で考えていないのだと思う。

執筆:古市憲寿

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