“同棲”以上 “結婚”未満の新しい形 「PACS」がフランスで人気なワケ【中村江里子】

カテゴリ:ワールド

  • パリ在住の中村江里子さんがフランスのカップル最新事情を報告
  • 結婚より規制が緩く、同棲より法的権利が強い “PACS”という民事連帯契約が人気
  • 結婚が大きな人生の選択になっている日本での課題は?

それぞれの価値観で生きる

パリに住み始めて、“自由”という言葉を実感しました。自由は他人が決めることではなく、自分自身が感じるもの…。勿論、ここではまだまだ私は“外国人”であるから、“外国人”であるがゆえの自由というのも大いにあるのでしょうが。

それぞれの価値観で生きていく。

例えば、“結婚”もそう。形がいろいろあることに驚きました。役所に届け出をだして国から婚姻関係を認めてもらう。さらに教会で式を挙げて、神によって祝福をいただく。まあ、これが日本でいう“婚姻”ですね。

友人たちの中には事実婚のカップルも多くいます。彼らは子供もいます。でも、子供たちは両親それぞれの姓を名乗り、私たちと同じように暮らしています。生きていくうえで全く不自由はありません。

カップルの選択です。

PACSというカップルの形

撮影:中村江里子

“PACS”(パックス)という形もあります。民事連帯契約のこと。異性、または同性カップルが婚姻よりは規制が緩く、でも事実婚(つまりは同棲)よりももっと法的権利があるというもの。

事実婚の友人たちも子供に関しては税制含め、法的に守られているというので細かい違いは正直、私もよくわかっていませんが、いずれにしても自分たちの責任において“自由”にその形を選択できる。

フランスでは結婚における手続きが気が遠くなるほど大変です。フランス人同士でも嫌がるくらいですから、日本人である私は結婚をやめたくなるほどでした。

対してパックスは手続きが比較的楽で、離婚も双方の同意があればOKといわれています。婚姻カップルは仮に双方が同意していても、離婚に弁護士と長い時間が必要となります。パックスは税制上は婚姻カップルとほぼ同様に権利を得られます。

パックスと結婚の締結数 ~Insee(フランス国立統計経済研究所)のHPより~

本人たちが自分たちのスタイルに合わせて“かたち”を選ぶ。事実婚やパックスを経て、結婚する友人たちもいます。

上記グラフは、2000年から2016年にかけてのパックスと結婚の締結数の変化を表しています。ピンクが異性との結婚、緑が同性との結婚、ブルーが異性とのパックス、グレーが同性とのパックスの数です。結婚はどんどん減り、パックスが増加しているのがわかりますね。

どうして結婚をためらってしまうのか?

だって、今、仕事が楽しいから!!
子供が出来たら今の職場にいられなくなるかもしれない。
家庭と仕事、両立できるかなあ?
う~ん何だか面倒くさい…。

日本女性よ!もっと欲張りに

The Global Gender Gap Report 2018より フランスは12位、日本は110位

日本ではまだまだ女性が人生の中で大きな選択を迫られることが多くあります。
フランス人の友人に言われました。
「結婚も仕事も出産も…全部自分がやろうと思えばできるのよ!!」

そんな風に言い切れる社会になったら…女性たちは欲張りになって、大きな一歩を踏み出せる気がします。

「ジレジョンヌの状況次第で…」

11週目に入ったジレジョンヌ

フランスではご存知のようにジレジョンヌ(イエローベスト)と呼ばれるデモが11週連続行われました。現時点では春先まで継続されると言われています。

燃料税値上げ反対のデモから、打倒マクロン政権など様々な思惑が含まれ、長期化しています。破壊行為を伴うため、今でも土曜日はお店の入り口やウィンドウにべニア板を打ち付けて、閉店するところもあります。経済的な影響は大きく、また正直、毎週土曜日は落ち着かない1日となり…子供たちの送迎なども「土曜日のジレジョンヌの状況次第で…」なんて会話を友人たちとしています。

ジレジョンヌによって破壊された銀行の窓や入口 撮影:中村江里子

フランスではデモやストはとてもよく目にする光景ですが、今回のジレジョンヌはフランス人も初めて体験するもので、長期化による影響が本当に心配されています。

とにかく1日も早く、穏やかな土曜日が過ごせるようになって欲しいと願っています。

撮影:中村江里子

【執筆:フリーアナウンサー・タレント 中村江里子】

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