居酒屋の年齢確認はAIにお任せ! “未成年”を見極めるカメラが登場…詳しく聞いた

カテゴリ:ビジネス

  • 3か月間に渡り、居酒屋で6万人の顔を識別。検知率は96.1%
  • 入店後の数秒で、未成年か成人かのみを見極める
  • 「何か起きる前に識別する」という社会の実現を目指す

実際の居酒屋で実証実験

AI(人工知能)の進化が目覚ましい。今やAIに仕事をとられるのではないかと危惧してしまうほどに、ここ数年でみるみる性能をあげている。

各種業務システムのクラウドサービスを展開する株式会社チャオは1月21日、居酒屋チェーンを展開する養老乃瀧株式会社が経営する「一軒め酒場 新橋店」で実施していた、AI搭載のクラウドカメラ「Ciao Camera(チャオカメラ)」を活用した認証で未成年を識別する実証実験結果を発表した。

実験は2018年7月下旬から10月末にかけて行われ、概算で約6万人の顔を識別したという。

もともと養老乃瀧側の悩みとして、“未成年への飲酒提供撲滅”というものがあり、通常のオペレーションでは、店舗スタッフが来客者の顔から未成年と思われると判断した場合に、身分証の提示を求めるという運用をしているが、スタッフごとの感覚の違いや、繁忙時間帯などでは運用の徹底が難しいといった課題があった。

そこで今回、AI搭載のカメラで機械的に判定する実証実験を行うことになったそうだが、詳しい話をチャオの大久保衞さんに伺ってみた。

入店時の数秒で見極める

ーーどのように成人か未成年かを見極める?

当社スタッフまたは養老本部スタッフの“目視判定結果”教師データとして、AIの学習モデルに投入し、そのモデルから判定を行う形です。

顔認識機能により、AIが画像に写っている人物の顔を識別し、推定年齢結果を出します。年齢が低いと推定されると、“要年齢確認”として通知を行います。推定結果は画質・顔の角度によっては、誤検知することもあるため、入店する数秒間の短い間に、複数の顔画像を撮影し、それらの結果を総合的に判断することで、年齢推定の検知率は90.7%となりました。

さらに、精度向上と通知にかかる時間を短縮するため、独自の識別エンジンを構築し、AIが大量のデータを学習(ディープランニング)し続けることで、入店から即座に検知が可能となり、今回の実験では96.1%の検知率を実現しました。


ーー実験中に検知率が90.7%から96.1%にあがったということ?

おっしゃる通りです。


ーー検知率96.1%とは具体的に何人中何人?

簡単にご説明いたしますと、約6万弱(延べ人数)のデータに対して、無作為に2つのグループ分けをします。そのうち、1つのグループ(A)にて学習モデル(AI)を作成し、もう1つのグループ(B)で解析した結果が、96.1%という事になります。つまり、Bで判定した検知率が96.1という事です。具体的な数字は非公表とさせてください。

識別するのは、未成年か成人かのみ

ーー学習モデルは成人・未成年、それぞれ何人ほどのサンプルが必要?

多いに越したことはないのですが、今回のケースで言いますと、それぞれ1000人程度のデータでも十分と考えております。


ーーチャオカメラは具体的に〇歳という年齢を識別する?日本人以外も識別は可能?

未成年か成人かのみを見極めます。それは、教師データなどから導かれる推論値です。また、日本人以外の識別も可能ですが、現状は日本人に合わせた作り(教師データが日本人のため)となっているため、外国人の場合は、現段階で言いますと、やってみないとわからない(おそらく精度は落ちる)と思われます。


ーーマスクや帽子・サングラスをしていた場合も識別は可能?

多少、精度は落ちると思いますが、検知自体は可能だと思われます。

「何かある前に識別する」という社会の実現へ

ーーチャオカメラを開発した背景は?

約10年前より防犯カメラのクラウド化を進めてまいりました。当時はクラウドに対する信頼性の低さや、画像をネットに上げることの不安感などから、なかなか普及しませんでしたが、3年ほど前に特許(差分転送)を取得したことを契機に、ご利用者数が増えてまいりました。

クラウドにこだわった理由ですが、将来的にAIによる画像解析の世界が広がるとの考えを当時より持っており、そのためにはオンプレミス(サーバーやレコーダータイプ)ではAIが使えない(使いづらい)ためです。
 
クラウドにデータを転送する際のネックが回線負荷となるのですが、それを解決したのが差分転送の特許技術です。差分転送とは動いたところだけを切り取って、クラウドに転送する技術でして、簡単に申し上げるとデータを小さくできるため、回線に負荷をかけることなく、画像をクラウド化できます。

弊社では従来の防犯カメラの使い方である、「何かあった時に確認する」という利用方法から、「何かある前に識別する、今起きている事を検知する」という社会を、AIを使うことで実現することを目指しています。

差分転送

ーー既にチャオカメラは居酒屋に導入している?予定は?

現在導入はしておりません。オペレーション方法(判定結果をどのようにスタッフに伝えるのか?など)を現場負担の無いような形にすることや価格などを検討の上、今後の展開を模索しております。


ーーチャオカメラは特徴的な見た目をしている?

弊社のシステムはクラウドシステムとなりまして、ハードウェア(カメラ)はフリーとなっています。従いまして、各メーカーが出しているネットワークカメラを利用しますので、見た目は普通の防犯カメラです。防犯カメラの画像を弊社のクラウドシステムにて解析する(もしくは現地のエッジデバイス上で一次解析し、その後にクラウドで収集する場合もあり)仕組みとなります。

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未成年の飲酒は法律で禁止されているが、提供する店側に判断させるのは現状では限界があるのも事実。こうしたAI技術を駆使して防ぐ取り組みは是非進めてほしいものだ。

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