草津白根山噴火から1年…「噴火に遭ったらどうすべき?」を改めて考える

カテゴリ:国内

  • 草津白根山のひとつ、本白根山の噴火から1年
  • 登山中などに噴火に遭ったら「風上へと逃げる」ことが重要
  • 火口から2キロ以上離れている場所でも火山灰や土石流に注意

群馬県に位置する草津白根山のひとつ、本白根山の噴火から23日で1年。この噴火では、噴石や雪崩により、近くの草津国際スキー場にいた自衛隊員やスキー客ら死傷者12人を出す惨事となった。

また今月17日午前、鹿児島県の口永良部島・新岳で爆発的噴火が発生し、噴煙が火口から6,000メートルの高さまで達した。この爆発により火砕流が発生し木が燃えたが、住民が住んでいる集落には達しなかった。

気象庁は噴火警戒レベルを入山規制のレベル3で継続し、今後も、同じ規模の噴火が起きるおそれがあるとして、火口からおおむね2キロの範囲で、大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけている。

火山は時として大きな災害を引き起こす。噴石や火砕流、溶岩流、火山灰、土石流、火山ガスなどで、人間の生命を奪うこともある。そしてこういった災害は忘れたころに突然やってくる。

そこで改めて、登山中や住んでいる地域で噴火が起きたらどうすればいいのだろうか? 防災科学技術研究所で火山防災研究部門長を務める棚田俊収氏に話を聞いた。

噴火したら「もう逃げるしかありません」

天井を突き破った噴石

――登山に行く場合には、噴火への備えは必要か?

まず一つ目として、訪れる山が「火山であるかどうか?」「活火山なら今の噴火レベルがどうか?」を、気象庁のHPなどで調べておく必要があります。訪れる山が火山かどうかを知らない人も多いのが現状です。噴火が起きてからではいろいろ考えている余裕はありません。ですので、まずは「噴火する可能性がある山かどうか」を意識することが重要となります。

次に、登山中に噴火に遭遇してしまった場合、まず命を守る行動を取らなければなりません。登山で必要な知識と装備で対応しなければなりません。持ち物で言えば、噴石などから身を守るため、ヘルメットはあった方が良いでしょう。

ただヘルメットがなくても、荷物が入ったリュックサックで頭を覆うことなどで、代替は可能です。実際、御嶽山の噴火の時は、リュックサックで命拾いした方もいたと言われています。

またラジオがあれば、噴火情報などが入手しやすくなります。山の場合、電波がとても悪い場所だと想定されますので、携帯電話よりも有効でしょう。


――そして、噴火した場合はどのような対応を取るべきか?

もう逃げるしかありません。噴石が飛んでくるのでしたら、ヘルメットやリュックで頭を守るべきですし、ガスや火山灰があったらタオルで口や鼻をタオルで塞ぎながら逃げることになります。

この時、乾いたタオルよりは水やお茶で濡らした方がより効果的です。SO2(二酸化硫黄)などは液体に溶けやすいので、濡れたタオルで鼻と口を押さえることで呼吸が楽になるからです。また、降灰がひどいと、真っ暗になりますので、懐中電灯も必需品です。

火山ガスや火山灰から逃げるには“風上”へ

イメージ

――そうすると、ポイントは「どこへ逃げるか?」になるか?

はい、噴火口からなるべく離れることです。地形図を持って山歩きをしているでしょうから、自分がどこにいるのかという認識はあると思います。そして、自分の現在地と噴火口の位置や方向も把握しているはずです。とにかく、噴火口から離れるという発想が重要となります。


――「隠れて待つ」という行動はダメ?

「噴石ならばシェルターや岩陰などの物陰に隠れて直撃を避けましょう。噴石が飛んでこなくなったら逃げましょう」とは言えます。しかし、火山ガスだけならば、風上の方に逃げるべきですし、火砕流は流れていく方向が予測が難しいので、「とにかく早く逃げるという意識は持っていましょう」としか言えません。

そして溶岩流に関しては、谷などの凹地形に沿ってゆっくりと流れます。凹地形に沿って逃げるのではなく、尾根側の登山道を選ぶという発想が大事となります。

火山ガスや火山灰から逃げるキーワードとなるのが「風下」です。噴石でもやはり風下の方に飛びやすいですし、火山灰や火山ガスも風下に流れていきます。これらを避けるように、風上へと逃げて下さい。もちろん、風上だからといって噴火口に近付くわけにはいきませんが、そういう意識は持って下さい。この風向きというキーワードも、天気予報という情報から得られます。

噴火した鹿児島県の口永良部島・新岳(2019年1月17日)

――近年は地震や集中豪雨など災害が多い。「想定外」の噴火というのはある?

草津白根山の噴火や箱根大涌谷の小さい噴火、広範囲の地域が利用できなくなるなような噴火までいろいろと知られているので、「想定外」ということは言い難いです。ただこの20年の火山活動をみても、火山活動は各地で起きています。

10年に1回程度の小規模な噴火から1000年や1万年に1回という規模の大きい噴火もあることとは、火山学者などには常識のことです。しかし、一般の方にとっては体験が無いことから“想定外”と思い込んでしまうかもしれません。

2キロ以上離れていても火山灰などへの注意が必要

――噴火した火山の周囲の市町村に居住している場合は?

街を全て飲み込んでしまうような大規模噴火ではなく、小から中規模な噴火でいうと、例えば「火口から2~3キロ以上離れている場所にいれば、噴石が飛んでくる可能性は低い」場所だと考えられます。

しかし、この場合でも火口近辺では火山灰は飛んできて積もりますので、大雨となると土石流が起こります。上流側で土石流が発生すると、下流側の街にも泥水が一気に流れてくることがありますので要注意です。

また、火口から10キロ以上離れていていも風下の街では、火山灰に要注意となります。噴火すれば気象庁から降灰予報が発表されますから、そういう情報もしっかりと収集してください。さらに危険が迫ってくると避難誘導もでます。

例えば、火山灰が1ミリ以上積もると電線が切れるなどライフラインに影響がでてくることもあります。たった1ミリの積灰でも、日々の生活が困難な状況に陥るのだというイメージを持ってください。噴火が続き、火山灰が積もり続けるようならば、離れた場所に避難するなど考えてください。

鹿児島市街地と桜島

噴火という事態に突然遭遇したら、確かにいろいろ考えている暇はないだろう。
万一に備え、登山の際には噴火の可能性などをしっかり調べて準備し、活火山の周辺地域に住んでいる方は今一度避難方法などを確認しておく必要がありそうだ。

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