キラキラネームで悩む子へ…名前を変えるのは意外と簡単かもしれない

  • “キラキラネームの改名”についてのツイートが6万いいね
  • 名前の「読み」は何を名乗ってもいい
  • 東京都の場合、名前を変える手数料は1168円

「キラキラネームで悩む子へ」
こんな呼びかけで始まるツイートが6万を超えるいいねを集めている。

「私は2年前に下の名前を改名しました。15歳からは1人でできます。それまでは保護者つきです。まず、読み方だけなら届出出さなくても自分で変えていいです。『光=しゃいん』から『ひかり」に今日から変えていいんです。」

もはや誰もがご存じだろうが「キラキラネーム」とは、漢字に一般的ではない読み方をつけた名前のことで、2000年代ごろから様々なメディアで取り上げられてきた。
今でも検索すれば、実在する名前かは不明だが、驚くようなキラキラネームがいくらでも見つかる。

・光宙(読み:ぴかちゅう)
・泡姫(ありえる)
・翔馬(ぺがさす)
・心(ぴゅあ)
・黄熊(ぷう)

こういったキラキラネームがつけられた子供の中には、成長とともに自分の名前に悩んだりいやな思いをしたりしている人がいるかもしれない。
話題となったツイートの投稿者は、名前が正しく読まれないため2年前に本名を改名し、その経験が名前で悩んでいる人の助けになればいいと思い、投稿したという。

では実際に、戸籍に書かれた姓名の「名」を変えるためには、どのような手続きをすればいいのか調べてみると、必要となる書類や費用は以下のようになる。

出典:東京家庭裁判所

【必要書類】
・上のように必要事項を書いた「名の変更許可申立書」
・申立人の戸籍謄本(全部事項証明)1通
・名前を変える正当な事情を証明する資料(後述)


【必要金額】
・申し立て手数料 800円(申立書に貼る)
・連絡用の郵便切手(裁判所によって必要額はまちまち、東京家庭裁判所の場合は368円)

これらの書類を、住んでいる場所を管轄する家庭裁判所に提出し、名前を変える正当な理由があると認められると許可が下りる。
手続きは15歳以上なら誰でも自分だけで申し出ることができ、15歳未満の場合でも本人に代わって親権者などの法定代理人が申し立てを行うことができる。


ただ、冒頭のツイートにもあった通り、名前の「読み」の変更についてはこの手続きは必要ない。
名前の読みは戸籍には書かれていないので、違う読み方を使っても戸籍法上はなんの問題ないそうだ。

では、文字を変えたい場合は、書類提出後、誰がどうやって許可するか否かを決めているのか?
そしてキラキラネームは“名前を変える正当な理由”として認められるのか?
東京家庭裁判所の担当者に聞いてみた。

判断するのは原則的に裁判官1人

――名前変更の申し立てはどう処理される?

名の変更は、家事事件手続法の別表第1審判事件になり、一般的には参与員という人が裁判所の許可を得て、申立人から名の変更を求める理由や事情などを伺います。
そのうえで参与員は一般常識に照らし合わせて、正当な理由があるかどうかという意見を、裁判官に具申します。
裁判官は、申立人や参与員の意見をはじめ、いろいろな資料から心証形成して許可を出すか否かを決めます。
ただし、すべて名の変更事件で参与員が申立人の意見を伺うのではなく、判断が難しくない場合は申立書のみで判断するかもしれませんし、判断が難しい場合は裁判官が申立人を直接審問することもあります。

(※別表第1審判事件とは、名の変更、相続放棄、養子縁組の許可など、一般的に当事者が対立することのない性質の事件で、もっぱら審判のみによって扱われる。)
(※参与員とは、非常勤の裁判所職員で、社会人としての健全な良識のある人から選ばれ、裁判官が判断をするのに参考となる意見を述べる。)


――ドラマで見るような裁判が開かれるの?

判断するのは原則的に裁判官1人です。
もちろん3人の裁判官による合議もできますが、名の変更事件の場合は通常、単独の裁判官が判断します。
正式裁判と違って判決を言い渡すような概念もないので、裁判官室で審議をして審判を作成するわけです。
申立人が出廷する必要はありません。


――申し立てた人は審判の結果をどうやって知る?

申立人に審判書の謄本が届きます。
名の変更が認められた場合は「名前を変更することを許可する」という主文で、認められなければ「本件申し立てを却下する」という形になります。

――裁判所で可否が決まるまでには、だいたいどのぐらいかかる?

東京家庭裁判所の名の変更の場合、おおむね20日から1か月ぐらいですね。
早いものであれば、申し立てから2週間というものもありましたし、逆に長いものでは3か月、4か月かかるものもあります。


――判断が難しいと長くなるの?

それもありますし、東京家裁の場合はだいたい先ほど申し上げた参与員が事情をお聞きしますので、申立人に裁判所へお越しいただく日程調整を行います。
例えば、今日申し立てがあった場合、だいたい翌日から動き出しますが、その直後の2日ぐらいで事情を聞くのは繁忙度から言って無理です。
また、お話を伺う部屋の都合や、裁判所の業務がない土日祝日、もちろん申立人のご希望などを加味するため、長くなる場合があります。


――必要書類の「名前を変える正当な事情を証明する資料」とは?

通称として永年使用した名前に変えたい場合は、希望する名前をいつから、恒常的に使い続けていることを示す資料ということになります。
例えば、光熱費の領収書を持って来られる方もいれば、年賀状をお持ちになる方もいます。
他の理由の場合は、先ほど申し上げた事情聴取などで、こういう資料があれば出してくださいと具体的にお願いする場合もあります。


基本的には、書類の提出と参与員に事情を話した後は、裁判所の決定を待つだけになる。
そして、裁判所からの書類が届いただけでは名前を変えたことにはならない。裁判所が出した許可を市区町村役場に提出し、受理されて初めて戸籍の名前が変えられる。
一連の流れを理解したところで、今回のキラキラネームについて聞いてみた。

キラキラネームは正当な理由になる?

――「キラキラネームがイヤだから変えたい」は認められる?

厳密に言うと、個人的な趣味嗜好や姓名判断などを理由に名前を変えたいというだけでは、原則的に正当な理由として認められません。
しかし、漢字が難しくて正しく読まれないとか奇妙な名前であるとか、名前のために生活に支障が出ていることを証明・主張すれば、正当な理由であると認められる可能性が高くなります。
他には、小さいお子さんが名前のためにいじめられたりしているケースも名前を変える理由になりえるでしょう。

――許可されなかったら、もう名前は変えられない?

名の変更事件の審判に不服がある場合は、審判告知を受けてから2週間以内に即時抗告を申し立てることが認められています。
即時抗告は、審判をした家庭裁判所に提出し、再審理を高等裁判所で行います。

正当な理由さえあれば名前の変更は、意外にも簡単に行えるようだ。
自分の名前に悩みがある方は一度裁判所などに相談してみてはいかがだろう。
ちなみに姓名の「姓」を変える場合は、申し立ての条件などが変わってくるので、こちらも裁判所の公式サイトなどで確認していただきたい。