アマゾンギフト券などで「ふるさと納税」249億円! 総務相“苦言”の静岡・小山町に真意を聞いた

カテゴリ:国内

  • ふるさと納税受入額249億円の静岡・小山町に総務相が苦言
  • 週末限定でクオカードを掲載した理由は「試験的」
  • 「急に3割・地場産品という考え方が出たので困惑した」

「非常に良識ある行動とは思えないと、はっきり申し上げたいと思います」
石田真敏総務大臣は11日、「ふるさと納税」の返礼品にアマゾンのギフト券などを使用した静岡県小山町を厳しく非難した。

ご存知の通り「ふるさと納税」は、応援したい地域に寄付することで、税金の一部が控除されて、返礼品ももらえる制度。

しかし自治体の“仁義なき返礼品競争”の様相となり、去年4月、総務省は「ふるさと納税の趣旨に反する」として、返礼品は原則地場産品にすることと、返礼率は3割以下に抑えるよう、全国の自治体に見直しを求めた。
2017年度のトップとなった大阪府泉佐野市は、地元以外の名産品や返礼率(寄付額と返礼品価格の割合)が45%の返礼品で人気を集め、一つの自治体として初めて100億円を超える135億円の寄付を集めたが、総務省のお達しなどについての見解を編集部で以前取材した。

こうした中、小山町は去年4月以降も返礼率が4割のクオカードなどを「週末に限定」して特定のサイトに掲載したり、やはり返礼率4割のアマゾンギフト券などを扱うなどして、去年4月から12月までに、なんと249億円の受入額となり、冒頭の総務相の発言となった。

改めて「ふるさと納税の趣旨」とは何なのか?
総務省の公式サイトでは「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた『ふるさと』に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」という思いから導入が決まり、次に挙げる3つの大きな意義があるとしている。

第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。



小山町は、総務大臣の発言前の今年1月1日から、ふるさと納税の受け付けを一旦中止しているが、いったいなにがあったのか?
そもそも、なぜ総務省の通知があったにもかかわらず返礼率4割を変えなかったのか?
小山町シティプロモーション推進課の勝又徳之課長に聞いてみた。

「週末限定」は試験的に掲載

――249億円も寄付が集まったことをどう思う?

例年より受け入れ額が多いとは思っていましたが、ここまで伸びるとは想定していませんでした。
皆さんから寄付をしていただくことは、ありがたいと思います。
頂いた寄付は、もちろん有効に活用させていただこうと考えております。


――人気があった返礼品は?

もともと取り扱っていたサーティワンアイスクリームやリンガーハットの商品券と、今回いろいろ報道されているアマゾンギフト券やJCBのギフト券などが人気です。


――なぜ「週末に限定」でクオカードなどを扱ったのか?

それは本当に色々な方に聞かれますが、試験的に週末だけクオカードなどを掲載しました。
どれぐらいの反響があるのか分からなかったので、とりあえず週末限定で出してみようという感じです。
すると本当にたくさんの反響をいただいたので、週末ごとに実施したということです。
特に他の理由はありません。

ふるさと納税は文化遺産の修繕費を集めるためだった

ふるさと納税は2008年から始まったが、実は小山町が導入したのは2015年9月とかなり遅い。
さらに小山町の町長が公開しているエッセイにはこんな消極的な思いが書かれている。

「わが町にはこれといった返礼品があるわけではないし、事務は煩雑だしと、当初はあまり乗り気ではなかった。」
(2016年02月01日 「ふるさと納税物語」より)


――そもそも、ふるさと納税に力を入れたのはなぜ?

小山町の歴史に残る遺産を、何とか昔の形に復元できないかというところがありました。
ここまで寄付が集まったおかげで文化財の修繕は、おそらく31年で完了します。

「富士紡績工場」 出典:小山町

ふるさと納税を導入した理由は、町にある国登録文化財を修復する財源を確保するためだった。
小山町は、B.V.D.ブランドなどで知られる富士紡績が明治29年に創業した場所で、織物を作る紡績の町として大きく発展した。

当時作られた「森村橋」「豊門公園」「豊門会館」などは、のちに町へ譲渡され、国の登録有形文化財に指定されている。
小山町は現在、これらの施設を修繕や再整備することで、交流人口の拡大や雇用機会の創出を目指しているという。

「森村橋」 出典:小山町
「豊門会館」 出典:小山町

「急に3割・地場産品という考え方が出たので困惑した」

――総務省は、返礼率が3割以下で地場産品であることを求めているが?

返礼率については、町が始めたときは、なにも決まっていませんでした。
とにかく初めてのことだったので、どうやって事務を進めて行けばいいのかなどを知るため視察に2か所ほど出かけましたが、2か所とも返礼率は5割だったんです。
他にも5割のところが多くて、3割のところはほとんどありませんでした。
「5割だとちょっと多いかな」「地元の事業者さんが潤うには3割だと少ないかな」などを議論して、他に送料なども決まりがなかったので4割で送料込みにしようと決めました。

国から3割だとか地場産品でないといけないと言われる前は、アンケートみたいな調査が来ました。
それが、だんだん「町の返礼品を全部挙げなさい」とか「どこで加工しているのか」とか細かくなってきて、本当に急に3割・地場産品という考え方が出たので、その時はちょっと困惑したところはありました。

うちはとにかく4割でずっとやっていましたが、早い段階から見直そうとしていて、アンケート調査にもそう答えたり、備考に「年度内には見直します」と書いたりしていたんです。
去年の9月に「地場産品以外のものを挙げなさい」という指示があったんですが、当時はアマゾンやJCBは扱う前で、小山町と関係ない企業返礼品があったので、それを取りやめました。
しかし9月末に、またいろいろ考えてギフト券などを始めてみたところすごい反響をもらったんです。
今回のことで、いろいろ批判されたり議論されていることは重々承知はしています。

――1月1日で受付をやめたのはどうして?

中止ではなく一時中止です。
一回しっかり整理しようということで一旦止めました。
もう一つは結果論なんですが、やはり事務が膨大なので、事務処理に集中できているという実感もあります。


――「ふるさと納税」は今年6月、高額返礼品の制限などの改正が予定されているが、小山町はこれからどうする?

私たちは、どこかのタイミングで再開しようと思っています。
一時中止している間に議論・検討を重ねて、もしかしたら4割のまま年度末まで行くかも知れません。
その後、6月以降はどうなるかについては、もう少し具体的に示されてから決まっていくことになると思います。

取材では、アマゾンギフト券については地場産品ではないことを承知の上で返礼品としたということだった。
ふるさと納税の本来の趣旨に戻したい総務省と、財源として期待する自治体や、魅力的な返礼品を求める利用者とのギャップはまだまだ埋まりそうにない。

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