出版の新たなカタチ 「SNS発漫画」とは
「αism」。
漫画の発行部数は、ピーク時の半分にまで減少。
縮小する市場にあって、SNSがヒットを生む新たな鉱脈になっている。
累計50万部突破。
累計70万部突破。
景気のいい数字が並ぶ、その書籍コーナーは。
一瞬で話題作が生まれる、出版社の新たな可能性だった。
5月の出版に向け、準備が進められていたのは、「俺、つしま」という漫画の新作。
猫の描写がリアルと話題を集める、この作品。
しかし、ヒットの理由はこれだけではない。
実はこの漫画、もともとはツイッターで配信されたSNS発の漫画。
SNS発のため、作りも変わっている。
1話、1コマから数コマという長さ。
秒単位で読めてしまうことも、大きな特徴。
小学館 サライ編集部・今井康裕副編集長
「あっという間に、一駅(移動する間に)読めるのは、『俺、つしま』もそうですが、逆にあっという間に読めちゃうからこそ、ずしりと響くコマがあったり、フレーズがあったり、そういうのが時折、ずしりと来るシーンっていうのがあると思うんです」
通勤中など、ちょっとした電車移動の時間に読み切れると人気を博し、配信1年余りで、フォロワー数は7万人を超えた。
そんなSNS発漫画の瞬発力に、熱い視線を送ったのが出版社だった。
漫画の国内発行部数は、1995年に年間18億部を超えたが、その後は右肩下がり。
近年は、ピークの半分以下まで減少している。
しかし2018年、「俺、つしま」が小学館から書籍化されると、15万部を売り上げるヒット作に。
その訳も、SNSにあった。
今井副編集長
「1回ツイッターで新作を発表すると、たくさんのフォロワーからリプライがつく。『俺、つしま』でいうと7万人(のフォロワー)。みんな仲間意識・身内意識。極端にいうと“家族”。それが例えば書籍になったときに、皆さんがツイッターで拡散してくださる。それが基礎票になる部分もあるので」
SNSからの書籍化は、出版社の生き残りにとって、なくてはならないプラットホームになってきているようだった。