鉄道博物館で悪質いたずら…“公開中止”はいつまで続くのか?聞いてみた

カテゴリ:暮らし

  • 新年最初の開館日の1月2日から一部公開中止
  • 電車の扉が開いて転落する危険な状態だった
  • 「展示車両についてはいずれも価値があるものばかり」

「【謹告】車両部品の盗難及び展示車両への悪質ないたずらの発生について」
「車両の公開と定期イベントの一部中止について」


さいたま市にある「鉄道博物館」は、新年最初の開館日となる1月2日に上記のお知らせを相次いで発表した。
それは、新年のあいさつとは程遠い内容だった。

鍵をこじ開け運転台に侵入し盗難も

鉄道博物館によると、去年12月28日に実物の車両を36両展示している最大の展示室「車両ステーション」で、2車両が盗難及び悪質ないたずらを受けたという。
「クモハ 455」と「クハ 481」という電車で、模擬ホームを挟んで並ぶように展示されていた。

並んで展示されているクハ 481(左)とクモハ 455(右)

被害としては以下の4つが挙げられている。
【クモハ 455 形電車】
1、通常は施錠している(立ち入ることのできない)乗務員室扉をこじ開けられ、車両正面の列車種別方向幕を「急行」から「普通」へ転換された。
2、ホームと反対側の乗降ドアの封印を破り、鍵がこじ開けられ、乗降ドアが 1 ㎝程度開いていた。
3、ホーム側乗降ドア脇に掲出していた列車愛称板「まつしま」(レプリカ)が盗難に遭い、別の列車愛称板が掲出されていた。

クモハ 455 形電車 (写真提供 鉄道博物館)

【クハ 481 形電車】
4、 通常は施錠している(立ち入ることのできない)トイレの引戸をこじ開けられ、行先表示器が「ひばり 仙台行」から無地の状態に変更されかつ皺が入っていた(無理矢理回転させたことにより、送り部に表示幕が噛み込んだため)。

クハ 481 形電車 (写真提供 鉄道博物館)

館内はスタッフが定期的に巡回しており、16時20分頃に車両の異変に気が付いたという。
いたずらされたと確認した博物館は、警察に被害届を提出。
年明け最初の開館日となる2日から被害車両への立ち入りを禁止し、さらに電気機関車4両の運転室など展示内容の一部が公開中止となった。

今回の悪質ないたずらのターゲットになったのは「列車種別方向幕」や「愛称板」など専門用語が多い。電車に詳しくない人でも分かるよう、何が起きたのか改めて担当者に聞いてみた。

「もし落ちたら危険な状態でした」

――鍵はどうなっていた?

鍵穴は通常は封印しているんですが、ふさいだ部分が破られ、鍵が開いた状態になっていました。
また「クモハ 455」の運転室の扉は、結束バンドで開かないようにしてあるんですが、それが切られていました。

――「列車種別方向幕」とはなに?

車両前面の上部中央にある、通常は「急行」という表記が見えるようになっていた部分です。
方向幕は乗務員室に入らないと変えられませんが、操作されて「普通」に変えられていました。

――あけられていた「乗降ドア」というのはどれ?

お客様が乗り降りするドアです。
通常公開しているときは、ホーム側は開いている状態で、ホームの反対側は閉められています。
その鍵が開いており手で力を加えれば開く状態になっていたので、もし落ちたら危険な状態でした。


――「列車愛称板」というのはどこにあって、どのぐらいの大きさ? 例えばコピー用紙のB5ぐらい?

扉の横の上部にありました。
もうちょっと小さいかもしれませんが、それぐらいの大きさですね。

愛称板がとられたあと

――この愛称板は取り外せる状態だった?

そうです。
差し込むような形で入れていました。
そのレプリカに代わって当館のものではない愛称板が入れられていました。


――もう一つの車両の「行先表示器」はトイレの中から操作する?

そうです。
クハ481のトイレドアも鍵穴を封印して結束バンドで入れないようにしてありました。
普段は「ひばり 仙台行き」という表示なんですが、発見時は文字が書かれた幕が最後の部分まで巻き取られ、白い部分になっていました。

9月に「展示中止の検討」の“警告”をしていた

実は、鉄道博物館では以前から展示物の破損が問題になっていた。
去年9月には「鉄道博物館からのお願い」と題した文書を公開し、パーテーションの中の展示物に手を触れたりしないなど理解を求め、今後も破損が繰り返されるなら展示の中止を検討するとしていた。
残念ながらその願いは届かず、平成最後の年明けは最悪の事態となってしまった。

――今回、公開中止にした理由は?

ここまでひどい被害はスタッフの記憶にもありません。
当館としては看過できないという認識です。
今後の展示物の保護等についても、今までと違う方法を検討しなければなりませんので、被害に遭った2車両と、機械類が多いため被害が拡大する恐れのある電気機関車4車両の運転室は公開を中止させていただきました。


――イベントへの影響や、お客さんの反応は?

イベントの影響は今のところは特にございません。
また、かなりメディアに取り扱っていただいたので、お客様の中にも今回の出来事をご存知で「愛称板なくなってるね」とおっしゃっている方もいらっしゃいます。


――被害車両の価値は高い? 新幹線より高い?

展示車両についてはいずれも価値があるものばかりです。
重要文化財に指定された車両などもあり、それぞれ価値があります。
どの価値が高いというのは、ご覧になる方それぞれで受け取り方が違うものだと思います。


――盗まれた「列車愛称板」の価値は?

こちらのレプリカは当館で作成したものです。
文字が書かれた紙をパウチして金属板に貼り付けたもので、価値といえば制作したときの材料費になるかと思いますが、具体的にいくらかはちょっと不明です。


――1月12日からは連休だが、いつまで公開中止は続く?

基本的には、今行われている警察の捜査に一通りの区切りがついて、その結果を受けて、博物館として今後防犯などの対策をどうするのか決めることになります。
公開するしない、もしくは公開するのであれば、どのような方法をとるのかを検討します。
その間は非常に残念ですが、公開中止とさせていただければと考えております。

現在、被害にあった2車両は、盗まれた「愛称板」以外は以前の状態に戻されているが立ち入りは禁止されていて、公開再開のめどもたっていない。
この悪質ないたずらのために多くの鉄道ファンが悲しんでいるのは間違いない。