あのバズ動画「湯~園地」クリエイターが語るネット動画の未来

カテゴリ:国内

  • 「湯〜園地」の舞台は「シンフロ」動画の候補地だった 
  • 「ボクらはよそ者」だから思いついた
  • これからの動画制作は「はみ出ていい」 

大分県別府市のPR動画「湯~園地」や、同じく大分県の温泉をシンクロナイズドスイミングでPRする「シンフロ」。
数々の反響を呼んだこれらの動画制作に携わった音楽作家の清川進也さんをスタジオにお招きし、制作秘話を伺った。

「音楽」を「映像」で表現する

鈴木理香子アナウンサー:
清川さんは、数々の話題になった動画で総合プロデューサーなどをしていましたが、肩書は「音楽作家」なんですね。

清川進也(音楽作家):
僕はもともと作曲家で、今も毎月十数曲 作っていますよ。

速水健朗:
それは映像作品で使うための音楽ですか?

清川氏:
そうです。映像につける音楽だったり、CMの音楽だったり。そういうことをコンスタントにやりながら、「音楽」を「映像」で表現しているんです。

鈴木:
音楽が先にあるんですね。

「湯~園地」制作秘話

鈴木:
清川さんが、この動画を作ったのは、どういうきっかけがあったんでしょう。

清川氏:
この動画を作る一年前くらいから、大分県にはちょくちょく行ってました。温泉の中でシンクロナイズドスイミングをする「シンフロ」っていう動画を制作するため、大分各地を何ヶ月も回っていたんです。そこで、たまたま別府の市長さんとお会いする機会があって「別府市のオリジナル動画もどうですか?」みたいなところから話が始まったんです。

「ボクらはよそ者」だから思いついた

清川氏:
最初からこういう動画を撮ろうという企画があったわけじゃないんです。まずは、どういう場所で撮影するのがふさわしいのか、ロケハンをやりますよね。その候補の中の一つに、この「ラクテンチ」という遊園地があったんですよ。

P.K.サンジュン記者(ロケットニュース24):
知らない人が見ても、豪華すぎず、どことなく大分の遊園地っぽいですもんね。

清川氏:
そうなんですよ。すごいスリルのあるアトラクションがあるわけではないけど、なんか家族連れでお弁当持ってきたりするような雰囲気があるなと。

鈴木:
こういう動画にしようというインスピレーションはどこから来たんですか?

清川氏:
僕らって、別府市の人たちからすると「よそ者」なんですよね。別府市の人たちが当たり前だって思ってるものが、僕らにとってはすごく真新しかったり、珍しかったりとかするんです。この遊園地も僕らにとっては新鮮で「こんな猫のケーブルカーなんて見たことないよ」とか、そういうところからどんどん企画を詰めていきました。

速水:
この遊園地って、たぶん地元の人たちにとっては日常の中にあって、わざわざ撮影するほどのものじゃないっていうぐらいだったのが、外から見ると「いやこれってすごい面白いじゃん」と。

清川氏:
そうそう。そして別府市の人たちと実際に触れ合ってみると、観光都市だけあって、色んなものを受け入れる寛容性があると感じたんですよね。ラフな雰囲気が町中に漂っていて、なんか面白い企画をやると町の人たちも一緒になって楽しんでくれるんじゃないかな?と思いました。

町の人と協力すること自体が「観光PR」

鈴木:
下世話な話ですが制作費は幾らぐらいかかったんですか?

清川氏:

行政の仕事は、制作費って公開するので新聞とかにも載ったんですよね。これね、総予算はびっくりすると思うんですけど、500万円です。

鈴木:
安っ!

清川氏:
なんでこれを作れたかっていうと、キャストとか、温泉を運ぶとか、場所の確保とか、全部行政の方々がやってくれたんです。
本来、予算はちゃんと掛けるべきだと思うんですが、これって観光PR動画じゃないですか。となると町の人たちと協力しながら一本作るっていうことも、観光PRに結び付くやり方だと思ったので、とにかく町の人たちに一人でも多く参加してくださいって声を掛けました。

速水:
何か面倒くさいことはなかったですか?「協力したから映してくれ」みたいな意見が出てききそうですけど。

清川氏:
正直、そういうのも多少はありました。けれど、この動画を介していろいろなプロジェクトが始まり、今度は町の人たちが主人公になっていろいろやっているわけです。

鈴木:
クラウドファンディングでお金を募って、実現しようという話も出てきましたもんね。

サンジュン:
もう実現することは決定したんですよね。絶対行きたいっていうか行きます!

鈴木:
それで取材したら面白くなりそう。

清川氏:
是非みんなで来てください!

(2017年7月29~31日に開催)

これからの動画制作に大切なこと

速水:
ネットのPR動画は、いろんなアイディアが出ていて、作るのもドンドン難しくなっているんじゃないですか?

清川氏:
そうですね。いろんなところがPR動画を作りたいというところから始まって、ここ2~3年ぐらいで一気に数が増え、アイディアは もうだいぶ出たんじゃないですか。大事なのは、僕みたいな音楽作家がちょっと映像をやったりとか、企画をやったりしたみたいに、はみ出ていくことだと思います。動画にこだわらず、どんどん「はみ出ちゃっていい」と思うんです。

「湯~園地」も動画から始まった企画ですが、クラウドファンディングをしたり、町の人たちが観光客のおもてなしを考えたり、いろんなことが動画を「はみ出て」います。だから動画に固執するというより、もっと幅広くいろんなことを思い切ってやっちゃっていいんだと思います。