与野党幹部の「年頭の辞」に見る思惑 ダブル選挙への警戒も

カテゴリ:国内

  • 菅長官「参院選の勝敗ラインは与党過半数維持」
  • ポスト安倍意識?岸田政調会長は「一強脱却」
  • 野党は参院選に意欲も、すれ違い露呈?

1月4日、与野党幹部が“第一声”

正月3が日を終え、政治の世界も4日から本格始動した。

平成から次の元号へと引き継がれ、夏には参議院議員選挙という大きな政治決戦を迎えるほか、消費税率引き上げなど多くの政策課題に直面する2019年。

政府・与野党の幹部が述べた「年頭の辞」から、各党が何を重視し、何を成し遂げようとしているのかを読み解きたい。

菅官房長官が示した参院選勝敗ライン

まず政府側は、安倍首相の“女房役”菅官房長官。

内閣官房の職員を前にした訓示では、天皇陛下の退位やG20サミット、ラグビーワールドカップなどを挙げ、「日本にとって大きな節目の1年になる」と述べた。

そして、政権の成果として働き方関連法や改正入管法が去年、成立したことに触れたうえで「今年も少子高齢化社会という最大の壁に立ち向かうために全世代型の社会保障制度の実現、働き方改革の推進に全力で取り組まなければならない」と政策実現への強い意欲を示した。

また、FNNの単独インタビューでは、夏の参院選について「与党で過半数を獲ることがまず大事だ」として、勝敗ラインは自民党と公明党での過半数維持とする考えを明らかにした。

目標達成に向けては「やるべきことを1つ1つやっていくことが一番大事。そうすれば自然に国民の審判をいただけると思う」と述べた。

自民・岸田政調会長は「安倍一強脱却」

一方、自民党幹部からは、首相官邸主導で政権が運営される「安倍一強」の政治状況から「脱却すべきだ」との声もあがった。

「ポスト安倍」候補の1人、岸田政調会長だ。

岸田氏は、広島市で記者団に対し「政治の安定、信頼回復問観点からいわゆる一強状態からの脱却といったことを考えていかなければならない」と述べた。さらに、官邸主導の政策決定のあり方についても「官邸としても党としても決して好ましい状況ではない」と指摘し、「自民党として存在感を示すことが状況の改善につながる」と訴えた。

また、年始の株価の大幅下落を踏まえ、10月に行われる消費税増税については「税率の引き上げを行える経済環境を維持していく努力は大事だ」と強調した。

公明・山口代表は参院選必勝を強調

自民党と連立を組む公明党は、東京都内で新春幹部会を開催した。

冒頭、山口代表は今年行われる統一地方選と参院選について「これからの日本の政治における公明党の役割を意義付ける大事な選挙」と位置づけたうえで、「先んずれば選挙を制す。この心意気で、全力でがんばろう」と鼓舞した。

参院選の目標については、選挙区で前回同様の7議席、比例については6議席以上を掲げた。

立憲民主・枝野代表&国民民主・玉木代表はすれ違い?!

対する野党は、立憲民主党の枝野代表と、国民民主党の玉木代表が三重県の伊勢神宮を参拝したが、双方が約1時間の間隔を空けたスケジュールを組み、年明け早々、両党の「すれ違い」を象徴するかのような参拝となった

参拝後の会見で枝野代表は、統一地方選と参院選について、「草の根の仲間を増やすボトムアップの春、立憲主義をもう一度鍛えなおす立憲の夏を実現するべく全力で努力する」と打ち出し、玉木代表も「勝負の年だ」と意気込んだ。

ただ、参院選に向けた野党間の候補者調整については、玉木代表が「野党第一党のリーダーシップを発揮してもらいたい」と注文を付けたが、枝野代表は「県の単位で努力が重要だ。野党第一党ではあるが、県組織がないところもある」と述べた。

さらに玉木代表が、すでに野党間で一致している1人区での候補者一本化だけでなく、2人区の一部についても候補者調整すべきとの考えを示したのに対し、枝野代表は「2人区以上の野党間連携は全く考えていない」と強調した。 

自民党が目指す憲法改正をめぐっても、枝野代表が「長年積み重ねてきた良き慣習が破壊されたと思っている」と与党側を批判したの対し、玉木代表は「わが党も考えをまとめて憲法審査会に堂々と提案したい」と独自の改正案に意欲を示すなど、両党の隔たりが改めて明らかになる形となった。

共産・志位委員長 「安倍政治さよなら」の年に

共産党の志位委員長は党本部での「党旗びらき」であいさつし、「今年を戦後最悪の安倍政権の最後の年、『安倍政治さよなら』の年にしようではないか」と気勢を上げた。

志位委員長は、参院選について野党全体での過半数獲得を目標とする考えを示したうえで、「どんな困難があっても粘り強く乗り越え、本気の共闘をとことん追求する」と述べ、野党候補一本化に向けた具体的な協議を速やかに始めるよう改めて呼びかけた。

また、党内に対しては、「統一地方選必勝作戦」と銘打ち、統一選前の3月1日までに党員数の拡大などの目標を実現するよう求めた。

ダブル選挙はある?野党は警戒

ちなみに、一部で取りざたされている、衆院解散による衆参同日のダブル選挙について、安倍首相は年頭会見で「頭の片隅にもない」と否定したものの、与野党幹部から発言が相次いだ。

岸田氏は「少なくとも私の周りではそういったダブル選挙に向けた動きがあるということは感じていない」と慎重な見方を示したものの、野党側からは枝野代表が「内閣の長が常識的な判断をしない方なので、いつあってもおかしくない」玉木代表が「衆参同日選もそれなりに高い確率であるかと思っている」と警戒感を示した。

(フジテレビ野党担当キャップ 古屋宗弥)