結婚しない子ども…晩婚・未婚時代の“親の見守り方”

カテゴリ:暮らし

  • 恋愛至上主義だった親世代は子どもの未婚を心配しがち
  • 「自己責任」ではなく親が味方になってあげることが大事
  • ついやってしまう…?NG行動とOK行動をチェック!

年末年始に実家に帰省している若者も多いだろう。

そして、久しぶりに食卓を囲んだときに、「結婚は?」なんて親からお決まりの質問を聞かれる人もいるはず。

親としては、もう大人だし、自由にすればいい。そう思う一方で、「結婚適齢期なのに…」と我が子に不安を抱く気持ちもわかる。

というのも、「50歳まで一度も結婚したことがない人」の割合が男性の約4人に1人、女性の約7人に1人と、生涯未婚率が過去最高となっているのだ。(2015年国立社会保障・人口問題研究所調査)

「若者の未婚・晩婚が増えるワケ」について前回特集したが、恋人がいるのか、将来的にどうするつもりなのかなど、聞きたいことはあるものの、なかなか聞けない…。

そんなモヤモヤした親たちは、子どもの恋愛をどう見守ればいいのか、『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などの著者・牛窪恵さんに話を聞いた。

心配する親は多い

現代の恋愛事情に詳しい牛窪さんにまず聞いたのは、「どれだけの親世代が子どもの恋愛で悩んでいるか」ということ。牛窪さんは、「あくまで肌感」と前置きしつつも、「結婚しない子どもを心配する親御さんからのお問合せを多く頂きます」と話す。

「結婚適齢期を30歳とすると、現在の20~30代の親御さんたちは、40代後半~50代のいわゆるバブル世代にあたります。この世代は、恋愛トレンディドラマなどの影響もあり“恋愛至上主義”。自分たちの頃は約7割に恋人がいたにもかかわらず、今や真逆で約7割には恋人がいない状態で、それを比較して『なんでうちの子が』『うちの子だけなのか』と悩んでおられたりします」(牛窪さん、以下同)

また、そうした親の焦りから、「早く結婚しなさい」「相手がいるなら捕まえておいたほうがいい」など、口うるさくしてしまうこともあるのだとか。

親が気を付けるべき言葉は「自己責任」

親が子どもの恋愛に対して意見をいうときに、場合によっては反発されてしまうことも予想できるが、何か注意点はあるのだろうか?

「親子の関係性にもよると思います。『あの人とはどうなったの?』と聞いた時に、そのまま話にのってくる人がいれば、『うるさい』と反発してしまう人もいますから。ただ、どちらの場合でも一番大切なのは『親はいつでも味方だ』と伝えることです」

「親はいつでも味方」というのは、子どもからすればほとんど意識しないほど当たり前のことのようにも思えるが、どうやら「自己責任」がキーワードらしい。

「『草食系』が流行りだす少し前の2004年、小泉内閣が『自己責任』という言葉を使い、話題になりました。先日の安田純平さんの件でも、注目されましたよね。この頃から、『何があっても自己責任』という考えが自然と根付いていき、失敗すること・しそうなことには近寄らないようになったと感じます。

もちろん恋愛にもストーカーやDV、浮気などリスクはあり、メディアでも取り上げられるようになったことで、したい気もするけど、『失敗するくらいなら』と、一歩踏み出せない人は多い印象です」

「自己責任」という言葉の出現でリスクを負わない若者が増えたことに加えて、「いつクビになるかもわからない」「この貯金じゃ結婚は…」という経済の不安や前述の恋愛リスクなどが重なると、結婚に対して物怖じしてしまう気持ちもわかる。何か新しいことを始めるには、トラブルが発生した時に頼れる人がいるというだけで心強く、前進力となるだろう。こうした背景から、親からの「いつでも味方だから」という言葉の重要性が増してきたようだ。

「親としては難しいかもしれませんが、結婚に関して『早く籍を入れなさい』『子どもを作りなさい』と急かすのではなく、『思い切ってやってみたら?』『何かあったら相談にのるよ』くらいの距離感で見守ってあげることが何より大事だと思います」

ついやってしまいがちなNG行動とは…

そのほか、OK行動・NG行動をそれぞれ教えてもらった。

【NG行動】
・「結婚はいいぞ」とあからさまにアピールする
多くの家庭では、自分の親がパートナーの文句や愚痴をこぼすシーンを何度も見てきています。それなのに「結婚はいい」と言われても、ピンときませんよね。なかには、「どの口が言う」と感じてしまう人もいるので、あからさまなアピールはやめた方がいいです。

・同級生の恋愛事情を話す
たとえば親世代が集まったとき、「孫が生まれた」「子どもが結婚した」といった話になることは多いもの。しかし、それを自分の子どもに伝えるのはNG。親としては悪気がなかったとしても、本人にとっては遠回しにプレッシャーを掛けられているように感じてしまうものです。

【OK行動】
・親の幸せそうな姿を見せる
最近では、還暦などの節目にもう一度結婚式をする「バウ・リニューアル」が流行しています。「(親が)幸せそう」「自分たちがこの親の元に生まれてよかった」と思えることは、大事なことです。

・さりげなくパートナーを褒める
先ほど、「自分の親がパートナーの文句や愚痴をこぼすシーンを何度も見てきている」と言いましたが、時々、パートナーの“いいところ”を言ってあげるのも効果ありです。いつものように愚痴をこぼしてしまっていたとしても、「じつはそれでもいいとこあるのよ」とフォローするだけでも結婚や夫婦というものに対する印象が変わります。ただし、あまりにも多すぎると白々しいので要注意です!

今や、下着もクリーニングでき、コンビニで食事を済ませ、なんでもひとりで解決できる時代。終身雇用制度の衰退や女性の社会進出推進、テクノロジーの進歩など様々な影響もあり、恋愛や結婚が“必需品”から“嗜好品”のようになりつつある。

親としては心配かもしれないが、「親」の字のごとく、ガミガミ言わずに遠くからそっと見守り、さりげなくフォローする程度がちょうどいいようだ。

取材・文=明日陽樹/考務店
取材協力=牛窪恵

【関連記事:「増加する“生涯未婚”のホンネ」すべての記事を読む】

増加する“生涯未婚”のホンネの他の記事