「100円みぞれ」は終了したけど…“進化系かき氷”など冬アイスが人気!その戦略を聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 夏のイメージが強い氷菓(かき氷)も「冬アイス」として人気
  • 「部屋が暖まると冷たい食べ物を食べたくなるから」 
  • 森永乳業とフタバ食品の担当者が語る、“進化系かき氷”の戦略

アイスの年間売り上げは年々上昇

めでたく年も明け、2019年が始まったが、依然として年末から続く寒さが堪える。
こたつでミカンでも食べながらのんびり、という定番の風景は各家庭で見られているだろうが、近年では、こんな底冷えする冬にアイスクリームを食べる、いわば「冬アイス定着化してきているということをご存じだろうか。

日本アイスクリーム協会によると、2017年度全体としてのアイスクリーム販売金額は5,114億円(前年比103.5%)で、年間売り上げが5,000億円を超えたのは初めてだという。

1世帯当たりの支出額は2013年が8,115円なのに対し、2017年は9,047円となり、932円増加。月別で見てみると、特に11月~1月にかけての冬期が100円を超える増加となっており、「冬アイス」が浸透しつつあるのだ。

アイスクリーム類及び氷菓販売金額の推移

ただ、1口にアイスと言っても、アイスクリームは以下の4種類に区分されている。

・アイスクリーム
・アイスミルク
・ラクトアイス
・氷菓


厚生労働省によると、乳固形分と乳脂肪分の割合によって種類が分かれており、ざっくり言ってしまえば、多いほど「アイスクリーム」、少ないほど「氷菓」に分類される。

今回、注目したいのは「氷菓」だ。
年末には販売開始から50年以上愛されてきた森永乳業「100円みぞれ」の2018年での販売終了というニュースが話題になったが、特に夏のイメージが強い「かき氷」などの氷菓。
こちらも「冬アイス」の定番になりつつあり、しかも“進化系かき氷”に変貌を遂げているというのだ。

一体、どういうことなのか。氷菓の代表的商品を持つ会社の担当者に、「冬アイス」について聞いてみるとその戦略が見えてきた。

98.4%が「冬にアイスを食べたい」と回答

まずは森永乳業だ。森永乳業の氷菓といえば、やはり「100円みぞれ」。「練乳がけイチゴ」や「宇治金時」など、夏のド定番だったという人も多いのではないだろうか。

練乳がけイチゴ(左上)練乳がけ金時(右上)コーヒーフロート(左下)宇治金時(右下)

その販売終了の理由について、森永乳業の鬼塚さんに聞いた。

ーー「100円みぞれ」の販売を終了したのはなぜ?

みぞれは長年販売してきた商品ですが、2000年を最後に、売り上げが年々右肩下がりで、そこから2017年にかけては1/4以下にまで落ち込んでいました。また、購入者の40%が60代以上男女となっていて、新しい層の獲得が課題となっていました。

ロングセラーブランドが中心で、変化が少ない氷菓カップ市場に対して、新しい価値を持った新ブランドを投入することで、市場を活性化させたいと考えました。そこで、6月に発売を開始したのが「蜜と雪」です。バリエーションは「いちご」「抹茶」「レアチーズ」の3種類です。

蜜と雪(いちご)

ーー「蜜と雪」はどんなアイス?氷菓?

いちごと抹茶は「氷菓」です。レアチーズは乳分が強いため、種類別では「ラクトアイス」になります。香り立ちがよく、フレッシュな味わいの自家製上掛けソースと、細かく砕いて食感がなめらかな微細氷の2層構造で、かき氷の特長(さっぱりとした爽快な感覚)とアイスクリームの特長(濃厚でなめらか)の両方の良さをもつ「濃厚氷」です。 

また、高級感があるパッケージも好評で、当初のターゲット(30-50代女性)より若い層(20代女性)からも新感覚を評価するお声をいただいています。

蜜と雪(レアチーズ)

ーー冬におけるアイスの売れ行きは?

弊社が、20~60代の男女1,074名を対象に行った意識調査によると、実に98.4%が「冬でもアイスを食べたい」と回答し、ニーズの高さがうかがえます。また、冬アイスにおける支出額も増えており、氷菓の冬の売上構成比もあがっております。「蜜と雪」は6月の発売から2カ月で計画比200%を売上げ、11月まででも150%を維持しています。

冬アイスに関する意識調査(森永乳業調べ)

森永乳業が行ったアンケート意識調査では、冬にアイスを食べたいと回答した理由の1位は「部屋が暖まると冷たい食べ物を食べたくなるから」(54.9%)で、「純粋にアイスクリームが好きだから」と回答した人も37.3%となっていて、季節を問わずアイスクリームが好まれている実態が見えてきた。

そして、「100円みぞれ」に変わる“進化系かき氷”として「蜜と雪」(税別160円)を登場させ、高級感のあるパッケージで付加価値を狙う戦略もわかった。

「アイス=夏の食べ物」ではなくなった

続いて、スライスレモンが入ったさっぱりかき氷の「サクレ」で有名なフタバ食品だ。「サクサクレモン」の略…と思いきや、フランス語の「sacre(神聖な)」とサクサク食感の響きを合わせて、「サクレ」と名付けたというこの商品。1985年から販売を開始し、現在に至るまで多くの種類が発売されてきた。

サクレレモン

そんなフタバ食品が、新たなサクレシリーズとして販売を開始したのが「サクレスイーツ+」だ。
「サクレ」は氷そのものを削った砕氷とシロップをミキシングした氷菓だが、「サクレスイーツ+」はクランチやソースを混ぜ込んだ濃厚スイーツアイスに、サクレの氷粒を混ぜ込み、濃厚ながらさっぱり感をプラスしたラクトアイスだ。まさに、“進化系かき氷”をカップで気軽に楽しめる商品となっている。
フタバ食品の担当者にその戦略を聞いてみた。


サクレスイーツ+ ラムレーズン

ーー「サクレスイーツ+」販売の経緯は?

夏だけではなく、春夏秋冬いつでも美味しく召し上がって頂ける商品を目指して、2014年から「サクレスイーツ」商品を販売し始めました。2018年には秋冬商品として、サクレスイーツをさらに進化させた「サクレスイーツ+」を販売し、10月1日に最新作のラムレーズンの販売を開始しました。


ーーアイスは夏の食べ物というイメージはもう古い?


アイス業界的には季節(春夏秋冬)商品としてのアイス開発を目指す傾向があり、アイスも冷凍スイーツ菓子の方向に進んでおります。(夏の天候に左右されない商品、冬のアイスとしての濃厚アイスクリーム等)また、各家庭の冷暖房設備の充実も、通年の冷凍菓子として拍車をかけていると思われます。


ーー冬におけるアイスの売れ行きは?

他社と比べて、大きく販売が伸びているとは思われませんが、弊社は夏場の氷菓商品が強く、秋冬場の商品が少ない為、サクレスイーツは秋冬の売上にかなり貢献しております。



編集部では以前、平成の時代に移り変わってきたものとして、「かき氷の進化」について伝えた。食べていると、頭がキーンとなる「アイスクリーム頭痛」を残したままの、昔ながらのかき氷では、「冬アイス」として定着するには厳しかっただろう。

暖房の効いた部屋で食べる“進化系かき氷”。今後も各メーカーの熾烈な競争が見られそうだ。