【西日本豪雨から半年へ】 1000世帯以上がまだ自宅へ戻れず 生活再建の岐路に立つ被災者

カテゴリ:国内

  • 広島県内で109人が犠牲になった西日本豪雨から5か月
  • 「大規模半壊」で自宅取り壊し、マンションでの生活は期限つき
  • 自宅「全壊」でも「仮設住宅」へ入居しない人も・・・

1256世帯が自宅へ戻れず

広島県三原市にある仮設住宅

西日本豪雨災害から5か月が過ぎた。広島県内の犠牲者は109人。5人が未だ行方不明のままだ。1万5000棟以上にのぼる住宅が被災し、現在、『応急仮設住宅』に入居しているのは169世帯。『みなし仮設住宅』には749世帯、公営住宅などには338世帯と合わせて1256世帯が自宅に戻れず、今後の暮らしに不安を抱えながら年を越すことになる(12月13日現在)。

『大規模半壊』で自宅を取り壊し

広島市安芸区矢野地区で被災した土井さん一家。土井俊広さん(57)と妻、80歳代の両親、長男夫婦とその子ども、そして次男の4世代8人家族だ。そこを襲った土石流。家族はかろうじて無事だったが、1階は土砂で埋まった。

『大規模半壊』と認定された土井家。1世帯あたり100万円前後の解体費用を市が負担するというので、生まれ育った家を取り壊した。

家の解体作業を見ながら土井さんは。「もしあの豪雨さえなければ,まだここに住んでいた。怖いよね・・・ここに家を建てるとなったら、また同じことが起きないとは限らない。」

壊される自宅を見つめる土井さん

被災前は一つ屋根の下で暮らしていた土井さん一家は、今『みなし仮設住宅』のマンションに入居し、1階と3階の別々のフロアで生活している。長男夫婦の間には被災後にもう一人子供が生まれ、一家は9人となった。

広島市の被災者支援策により、マンションの無償貸与期限が、来年2月から来年7月まで延長されることが最近決まった。更地となった自宅跡は、将来子供たちがそこに家を建てる可能性もあるかと、とりあえず駐車場にしようと考えている。

土井さんは将来の不安をこう語る。「マンションを無償で借りられる期限が来年7月までとなったので、少し心の余裕ができた。しかし短期間で、決めなければいけないことはたくさんあるので家族と話し合っていきたい。」土井さん家族の生活再建はまだ道半ばだ。

『被災者生活再建支援制度』だけでは・・・

およそ400棟が浸水被害などにあった三原市本郷町船木地区で被災した山下伸恵さん。

『大規模半壊』の認定を受けた山下さんがまず申請したのは、国の『被災者生活再建支援制度』だ。基礎支援金として全壊で100万円。大規模半壊で50万円。さらに住宅の再建方法に応じて加算支援金として住宅を建築・購入すると200万円。補修で100万円など最大で300万円が支給される。

年内には自宅に戻りたいと話していた山下さん

山下さんは12月に入りようやく、『みなし仮設住宅』から自宅に帰ることができた。『被災者生活再建支援制度』に申請し150万円を受給。また義援金90万円、県地域福祉課から10万円と合わせて250万円の公的支援を受け、自宅の修理費にあてた。

お金がかかるのは、修理費だけではないと山下さんは言う。「冷蔵庫も買わないといけないし、それこそ洗濯機からテレビ、机もダイニングキッチンとか全部ですよね。もう何もないので・・・これからどうしようかと言う感じです。」

自宅「全壊」でも「仮設住宅」へ入居せず

土砂が埋まった1階の改修の完成を待つ宗原さん

山下さんと同じ船木地区で被害にあった宗原芳輝さん(71)は自宅が『全壊』と認定された。仮設住宅へは入居せず自宅の2階で生活している。「仮設に入ったら被災者住宅の応急処理58万4000円がでないんですよ。」災害救助法のもと、応急修理制度では水周りやトイレなど、生活に必要な修理費用58万4000円が支給されるが、自宅に戻ることが前提のため仮設住宅に入居すると支給を受けられない。このため宗原さんはやむを得ず『全壊』と認定された自宅での生活を決めた。ただ、工事を請け負っている業者は、他の被災地復旧作業にも追われていて、山下さんの自宅の修理が完成する目途はたっていない。

広島県によると、これまでに『被災者生活再建支援制度』の基礎支援金を受給したのは1527世帯。そのうち加算支援金が認められたのは、わずか347世帯だ。未だ多くの被災者が『自宅を修理するのか、別の場所に建て直すのか。マンション等を購入するのか、借りるのか・・・』将来への不安が尽きない中、生活再建への岐路で迷っているのだ。

(執筆:テレビ新広島 広島市政担当キャップ 三上絵里)

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