衝撃! CNNが選んだ“年間最優秀記者”が「嘘ニュース」を連発

カテゴリ:ワールド

  • 欧州最大の雑誌の花形記者が「嘘ニュース」を連発
  • 「取材を受けていない」という世界各地からの声で不正が発覚
  • 捏造の衝撃は世界中へ・・・

花形記者が捏造記事

「フェイクニュース(偽ニュース)」退治を標榜する本コラムだが、今年最後のテーマに「偽」どころではない「嘘ニュース」の話を取り上げる。

ドイツの週刊誌でヨーロッパ最大の雑誌とも言われる「デア・シュピーゲル」電子版に、今月20日「デア・シュピーゲル、内部の不正を暴露」という記事が掲載された。

掲載記事の訂正とお詫びなのだが、その「不正」なるものが並大抵ではない。CNNが世界中から選ぶ「年間最優秀ジャーナリスト」として表彰された同誌の花形記者の記事の多くが捏造されたものと分かったというのだ。

世界中から届いた“不審”への声

シリア東部 写真:時事通信

それは33歳のクラース・レロティアス記者のことで、今年もシリア内戦中に廃墟の壁に抵抗を訴える言葉を書き続けた少年の話が賞賛され、四度目のドイツの優秀記者賞を12月3日受賞した。しかし、授賞式の17時間前「デア・シュピーゲル」社に米国のジャネットという女性から問い合わせの電話がかかっていた。

彼女はアリゾナ州で密入国者を監視するボランティア団体の広報担当者で、2週間前にレロティアス記者がこの団体について書いた記事について「私たちにインタビューもせずにどうして記事になったのだ」とクレームをつけたのだ。

「デア・シュピーゲル」誌の編集部で調べたところ、この記事の共同執筆者でメキシコ側の取材をしていた記者の話から、レロティアス記者は現地を訪れてもおらず同記者が執筆した部分は全くのでっち上げであることが分かった。

レロティアス記者は「デア・シュピーゲル」に7年前に採用され、これまでに60本のルポルタージュ記事を書いているが、不審に思った幹部が同記者を問い詰めると少なくとも14の記事について捏造があったと認めたという。

「取材」なき記事

2018年の優秀記者賞を与えられたシリアの少年の話もその描写の多くが捏造であったことがわかったが、他にも記事全体が作り話だったものもあった。

2018年3月に掲載された「最後の目撃者」という記事は、米国テキサス州で行われた死刑執行に立ち会うことを希望した女性に同行取材したものとされたが、実はテキサス州では死刑執行に女性の立ち会いは認めていなかった。

国歌斉唱の際に膝をついて抗議の意思を示したコリン・キーパニック選手(中央) 写真:時事通信

アメリカンフットボールの試合前の国歌斉唱の際に、膝をついて抗議の意思を示したキーパニック選手の両親にも電話で同選手の生い立ちなどを詳しく取材して記事にしたが、同選手の弁護士はそのような電話取材はなかったと否定した。

捏造の衝撃 世界へ広がる

「デア・シュピーゲル」社はレロティアス記者を解雇し、彼の書いた全ての記事について真偽を確かめる作業を続けているがその衝撃は同誌に留まらない。

「CNNが褒めちぎって年間最優秀ジャーナリストに選んだ記者が記事を捏造して辞職」

米国のFOXニュースはこう伝えた、その波紋はドイツ国外にも及んでいる。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)
(イラスト:さいとうひさし〉
(写真:時事通信)

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