ゴーン容疑者“保釈ムード”一転して再逮捕…何があった?各専門家が分析

  • 元裁判官「海外的な反響が無かったとは言えない」
  • 刑事訴訟法に詳しい教授「特捜部はすごく苦しくなる」
  • 元特捜部「再逮捕スケジュール前倒しせざるを得なくなった」

なぜ?“ゴーン容疑者再逮捕”専門家3人分析

21日にも保釈の可能性があった中、東京地検特捜部は、私的な株の投資による損失など、約18億5000万円の評価損を含む契約を、日産側に付け替えるなどして、会社側に損害を与えた特別背任の疑いでゴーン容疑者を再逮捕した。

この急転直下の事態に、フランスメディアの女性はインタビューで次のように話した。

フランスメディアの女性:
こんなにも勾留期間が長いというのも話題です。

長期に渡る勾留を批判してきた海外メディアの関心が、さらに高まる事態に…。
勾留請求の却下から3度目の逮捕。その舞台裏では何があったのか。「元裁判官」「元特捜部」そして「刑事訴訟法」の専門家3人が分析した。

元裁判官「海外的な反響が無かったとは言えない」

まず、「特捜部が求めた勾留請求を裁判所が却下した」異例の決定について、元裁判官の堀晴美弁護士は次のように語る。

元裁判官・堀晴美弁護士:
特捜はてんやわんやだったと思う。「裁判所は第三者的な立場で物事を判断するから、特捜部の言いなりじゃない」というのを見せたかったというのもなかったわけではない。(裁判所の決定の背景は)海外的な反響ですか、その影響が無かったとは言えないと思う。

海外からの批判も影響を与えた可能性に言及。
一方、拘置所前で取材に応じた、アメリカ「ウォール・ストリート・ジャーナル」東京支局のピーター・ランダース支局長は…

ピーター・ランダース支局長:
みんなびっくりしましたね。(勾留請求却下と再逮捕、どちらに驚いた?)う~ん、えっと(笑)どちらも驚きました。日本の場合は特に自白がない限り、勾留が長引くケースが多いと(記事などで)読んでいたし。

ランダース氏が指摘したのは、容疑を否認するほど勾留期間が長くなる傾向にある、いわゆる「人質司法」について。
2009年の裁判員制度開始を機に、勾留請求が却下される率は増加し、この10年で4.5倍となった。しかし依然として5%に満たず、海外から批判の声が上がっていた。

刑事訴訟法に詳しい教授「特捜部はすごく苦しくなる」

こうした中、今回、特捜部の勾留延長請求を裁判所が却下したことについて、刑事訴訟法に詳しい神奈川大学の白取祐司教授は…

神奈川大学・白取祐司教授:
思い切った判断がなされたと思いました。(海外などからの)外圧の影響は直接的にはないと思います。(裁判所は)慎重が上にも慎重に、逃亡の恐れや、身柄拘束の必要があるかというので、慎重な判断が多分、昨日もなされたのではないかと。

ではこの“勾留延長請求の異例の却下”により、保釈の可能性が出てきた中で、対する特捜部は、いかにして再逮捕に踏み切ったのか。

元裁判官・堀晴美弁護士:
予想してなかったと思う、勾留延長の却下は。特捜としてはメンツ丸つぶれですよね。とにかく身柄だけは確保しておきたい。早めに特別背任という“とっておきのカード”を切っちゃったということだと思います。

堀氏は、予想だにしていなかった“勾留延長請求の却下”という事態に、特捜部が勝負に出たと指摘。

元裁判官・堀晴美弁護士:
(特別背任は)各段に重い罪状。もう少し地固めをしてから出そうと思っていた切り札だと思うんです。大丈夫かな?特捜という感じがしました。

では、今回の再逮捕に“死角”はないのか?

神奈川大学・白取祐司教授:
特別背任の立証というのは、相当立証が難しいと言われている。仮にですけど、逮捕勾留したはいいけど特別背任で起訴できなかったとします。あるいは無罪になってしまったら、証拠固めが不十分なまま逮捕勾留起訴したことになりますよね。もし仮に無理に立件して逮捕したとすれば、今後、特捜部はすごく苦しくなる。

再逮捕が特捜部の“勇み足”だった場合、苦しい展開に追い込まれると強調する。

元特捜部「再逮捕スケジュール前倒しせざるを得なくなった」

一方、こうした指摘に対し、元東京地検特捜部の高井康行弁護士は、“特捜部は、勾留延長の却下も想定していただろう”と話す。

元東京地検特捜部検事・高井康行弁護士:
場合によっては延長請求が通らないかもしれないというのは、頭の片隅にはあったと思う。延長請求をして、却下された時点で特別背任で再逮捕できるように準備を始めたと思う。きのう、ああいう事態になったために、(再逮捕の)スケジュールを前倒しせざるを得なくなった。

今回の再逮捕は、特捜部の威信をかけて踏み切ったとの指摘をする。

元東京地検特捜部検事・高井康行弁護士:
保釈されたら、特別背任絡みの証拠について、隠滅工作が行われる可能性がある。今回の捜査が特捜部の“鼎(かなえ)の軽重を問われる捜査だ”、という自覚がある。


(「プライムニュース イブニング」12月21日放送分より)

カルロス・ゴーン カリスマの失墜の他の記事