電車の窓にくっつけてもバレない!? “通勤睡眠”を快適にする「枕」を大学生が開発

カテゴリ:テクノロジー

  • 電車やバスなど、移動中の眠りをサポートする「まどまくら」に熱視線!
  • 電車やバスで使っても恥ずかしくない工夫とは?
  • 「仕事で疲れたお父さん世代の社会人に使ってほしい」

電車で寝たい人に朗報!

みなさんは毎日、どれくらい睡眠をとっているだろうか?

仕事の忙しさや夜更かしで睡眠時間が不足すると、通勤・通学の電車に揺られながらつい眠ってしまうものだが、その眠りは快適とは言い難い。
姿勢が定まらず首や背中を痛めたり、隣の人に寄りかかって迷惑をかけてしまうこともある。

しかし、襲い来る睡魔には抗えない…そんな多くの人が抱える通勤時の悩みを解消してくれる、ある画期的なアイテムが登場した。

それが「まどまくら」
その名の通り枕なのだが、首に巻く形状の一般的なネックピローではない。
なんと、電車の窓ガラスに貼り付けることができるというのだ。

枕の背面には吸着シートが付いていて、これにより枕が窓ガラスに固定され、ずり落ちる心配はない。
首の後ろに「まどまくら」をあて後頭部を委ねると、二重構造のウレタン素材が頭をしっかり支えてくれる。
身体の横に窓があるバスなどでも側頭部や頬を預けることができ、好みのポジションに枕を合わせることで、ラクな姿勢で快適な睡眠を得られるという優れものだ。

ただ、一番のネックは電車で枕を使うのはちょっと恥ずかしいということ。
この枕はその点も考慮していて、設置してしまえば、正面から見ると頭の後ろに枕がすっぽり隠れて、姿勢よく眠っているようにしか見えないのだ。

(左)バスの窓ガラスに設置 (右)正面から見ると、枕が目立たない

今までありそうで無かったアイディア枕に、SNS上では「なんと素晴らしいアイテム」「こういうの待ってた!めっちゃ欲しい」「夜行バスでも使いたい」「寝やすくて寝過ごしちゃいそう」と期待の声が寄せられている。

「まどまくら」は現在、クラウドファンディングサイト「WonderFLY」で支援を募っていて、12月14日のプロジェクト発表からわずか6日で目標金額の10万円に到達し、25日現在で138%の達成率(約13万8000円)となっている。

開発したのは、東京理科大学工学部に在籍しながら、DMM.make AKIBAでアルバイトとして働き、ものづくりのサポート業務をしている水野勇望さん。
窓ガラスに貼り付く便利な枕は、どのようにして生まれたのか? 水野さんに話を聞いた。

「移動を睡眠に変える」通勤時のサラリーマンを見て開発

ーー「まどまくら」を作った経緯は?

私自身が睡眠不足と電車での寝づらさを強く感じていたことがきっかけです。
通勤時間が長いので早起きしなければならず、睡眠時間が十分に確保できませんでした。
その結果、日中眠くなったり、仕事に集中できずにミスが続くこともありました。
スキマ時間に質の高い仮眠をとる必要があると考え、通勤時間や休憩時間を貴重な睡眠時間に充てようとしたのですが、いざ電車でも寝ようとしても、首を痛めたり、頭が揺れて深く眠りにつけなかったりと、寝づらさを感じていました。
電車でネックピローを使うのは恥ずかしいし、目立たず使いやすい枕が欲しいなと考えて、「まどまくら」を思い付きました。

以前からものづくりに興味があって、人の役に立つものを作りたいと思っていたのですが、学生では難しいのではないかとも考えました。
しかし、朝の通勤電車で眠たそうにしているサラリーマンを見て、通勤時の睡眠に対する悩みは、誰もが経験し不便を感じていることなのだと分かりました。
「この人たちに使ってもらえるのではないか」と考え、思い切って開発に挑戦しました。

電車の揺れにも動じない吸着力

ーー「まどまくら」というネーミングの理由は?

シンプルでわかりやすい名前がよいだろうということと、枕には柔らかいイメージがあるので、「窓に貼り付く枕」の意味を込めて平仮名を使いました。
2017年に立ち上げた枕ブランドの名前「FumiLay(フミレイ)」も不眠をゼロにするという目標から、「不眠0(レイ)」の頭文字をとったものです。


ーー背面のシートが窓に貼り付く仕組みとは?

シートには吸着力が強いマイクロ吸盤を使用しているので、平面な壁や窓ガラスにしっかりとくっつきます。
また、マイクロ吸盤は剥がしやすいという特徴もあり、吸着力が落ちてきたらウェットティッシュなどで吹けば元に戻るので、繰り返し何度でも使うことができます。


ーー窓に剥がした跡は残らない?

開発段階でテストを重ね、私も実際に電車内で使っていますが、窓ガラスに傷や汚れなどが付くことはありません。

「理想の寝心地」を追求 寝過ごし防止機能も

ーー特に力を入れた点は?

高さ・硬さ・吸湿性など、枕にはこだわりを持っている人が多いですが、「まどまくら」は寝心地のよさに重点を置きました。
柔らかいだけでは電車の振動で身体も枕も動いてしまって、寝心地がいいとは言えないため、人間工学に基づいて設計し、安定して眠れる形状を追求しました。
そこで、枕の素材であるウレタンを二重構造にして、内部に高反発ウレタン、外部に低反発ウレタンを使用しました。
これにより、高反発ウレタンが頭部の揺れを支え、表面の低反発ウレタンが頭部を柔らかく受け止てくれます。
実際に使用してもらった人からは、「想像以上に柔らかい」「寝心地がいいね」といった感想をいただいています。

また、乗り物での睡眠に適した形状であると同時に、頭の後ろに隠れるコンパクトさもポイントです。
直接触れるカバーにも肌触りのよいものを採用し、髪色に同化する黒色にすることで、見た目にも配慮しています。


ーー快眠すぎて、乗り過ごしてしまう心配はないの?

枕の側面に切り込みが入っていて、カバーを開けて枕の中にスマートフォンを収納できるようになっています。
目覚ましのバイブレーション機能を設定しておけば、寝過ごし防止になります。
アラーム音も枕を通して聞こえますが、寝起きでカバーを開きスマホを取り出してから止めるには時間がかります。
周囲に迷惑がかる可能性もあるので、音はイヤホンを繋いで設定するのがおすすめです。


ーー開発で苦労したことは?

設計面では大学で学んだことを活かせましたが、枕作りの知識や技術、人脈も何もないところからのスタートだったので、試行錯誤の連続でした。
そのため、商品の企画から完成、販売できるようになるまでに2年半ほどかかりました。

(左)「まどまくら」の構造 (右)枕の内部にスマホを収納可能

睡眠不足の人のために、新しい商品も企画中だという水野さん。
自身の経験をもとに開発した「まどまくら」は、「仕事で疲れたお父さん世代の社会人に使ってほしいですね」と話す。

通勤・通学時に使うということでサイズが気になるが、幅16cm、奥行12cm、高さ10cmの通勤カバンに入る大きさで、持ち運びもラクだという。
付属の専用ポーチにはフックが付いているので、通勤カバンに外付けすることもできる。
さらに、手洗いでの洗濯も可能で、重さは約180g。「みかん1個分ほどなので、邪魔にはならないはず」という。
睡眠不足を抱えている家族や友人へのプレゼントにも喜ばれそうだ。

価格は送料を含めて4,800円(税込)で、プロジェクトの支援者の元には2019年4月7日に届く予定。
一般販売に向けては準備中で、大量生産を可能にするためにクラウドファンディングで資金を集め、「いずれは雑貨店や百貨店でも手軽に購入できるようにしたい」としている。

窓ガラスへ設置して使用することを想定した商品だが、机にうつ伏せになって仮眠を取る際や腰当てとして座席の上でも使用できるという。
そして、新幹線や夜行バス、飛行機など、長時間移動の機会が増える来年の10連休GWでも活用できそうだ。

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