ふるさと納税のウラ側④ なんで?千葉製造の“ハズキルーペ”が岐阜の小さな町で大ヒットのワケ

「地場産品ない」町が東海地方2位のワケ

カテゴリ:国内

  • 人口4000人の町がふるさと納税に沸く
  • ガソリンスタンドも衣料品店も…地場産“無視”で勝ち組に
  • 千葉で製造の“人気ルーペ”が岐阜で 大ヒット

廃業考えていた店に「ふるさと納税」の恩恵

人口4000人の町 岐阜県七宗町に何が起きているのか

 ふるさと納税に激震…。政府・与党は来年から寄付の3割を超える「豪華すぎるもの」、「地場産品」以外のものをお礼にする市町村は、ふるさと納税の制度の対象から外すと決めた。

 大きな影響を受けそうなのが、人気の地場産品をもたない市町村だが…

東海3県で2番目に多い寄付を集めた岐阜県・七宗町のページには洗剤やジュースなど、七宗町と関係がなさそうなお礼の品が並んでいる。昨年度、18億円あまりを集めたふるさと納税「勝ち組」の七宗町。しかし、お礼の品は、日用品やスポーツ用品など、国が問題視している地元と関係のない品物がほとんどだ。

七宗町は2017年度 東海3県2位の寄付金を集めた

 岐阜県の七宗町で何が起きているのか…その現場に向かった。

 七宗町は、岐阜県中部の山あいにある人口4000人の小さな町。
まず訪ねたのは、サイトに名前が出ていた「お礼の品」の提供元の一つの店。
外観は昔ながらの衣料品店だ。

Q.商売はやっているんですか?

衣料品店の女性:
もう全然だめなもんですから、もうやめようかなとなったんですが、こういうの(ふるさと納税)であれだもんで…

 薄暗く、ほとんど衣料品は残っていない店内。
今はわずかに学生服などを扱っているだけとう。

 ところが…。

店内には段ボールが並んでおり、缶チューハイやふとん乾燥機と書かれている
これらはずべて“返礼品”だという。

衣料品店にあったのは缶チューハイ これもお礼の品だという

衣料品店の女性:
「今(荷物が)出てっちゃったから何もないです」

Q.これで出した後ですか?

衣料品店の女性:
出した後です…

衣料品店の中に積み上げられた酒類や、電化製品。これらがふるさと納税のお礼の品だという。

“三重県”の企業が製造する「ごま油」 七宗町の衣料品店で最も注文が多い

Q.一番よく出してるのは?

衣料品店の女性:
ごま油ですね。岐阜県のものじゃないですが、三重県のものなんですが、ごま油がいちばんよく出ます

 一番人気はなんと、三重県四日市市のメーカーがつくる「ごま油」。

衣料品店の女性:
ここらへんのものはなにもんですから、高山市のハムとか飛騨(牛)カレーとか。ハチミツは(愛知県の)安城市のものですし…

Q.七宗町のものは?

衣料品店の女性:
七宗町は何も物産がないんです。お米くらいですね

 この店では、町役場からの誘いを受けて「お礼の品」の提供をスタート。もともと衣料品以外にも、贈答品を扱っていたことから、食品や家具など幅広い商品をお礼の品にしている。

 廃業を考えていた店に、突如飛び込んだふるさと納税の恩恵。

 年末のピークには、北海道から沖縄まで1週間に200個ほどの商品を発送するという。

ガソリンスタンドで「売上1億円超」

七宗町のガソリンスタンドでは 地元と無関係のお礼の品を増やしていった

 七宗町でふるさと納税ブームに沸いたのは、衣料品店だけではなかった。

 ガソリンスタンドに積み上げられた段ボール箱。給油に来る車はほとんど見られないが、荷物の周りでは男性が忙しそうに作業していた。

 ポータルサイトで確認すると、このガソリンスタンドでは、ゴルフ用品やキャンプ用品などをお礼の品として提供。カメラでの取材はできなかったが、経営者の男性に話を聞くことができた。
衣料品店と同じように、役場からの呼びかけに応じて「ふるさと納税」に参加。
タイヤメーカーのグループ会社が扱うゴルフボールを仕入れたのを始まりに、徐々に扱う商品を増やしたという。

男性はお礼の品を発送するための作業は連日深夜まで続き、「売り上げは1億円を超える」と明かした。

お礼の品7割が地場産品でなく年内で“見直し”

2017年度の寄付金のうち約5億円が地元業者に…

七宗町が昨2017年度に集めた寄付額は約18億円。
お礼の品を3割とすると、5億円以上が地元の業者の売り上げになった計算になる。

地場産品「完全無視」で呼び込んだこの「ふるさと納税フィーバー」。
果たして、アリと言えるのか?

七宗町役場の担当者:
「そもそも地場産品という話がでてきたのが去年あたりやと思うんですけど、町内すべての事業者さんに協力できたらという考えもありまして、ガソリンスタンドさんとか金物屋さんとか、本来だとふるさと納税らしいものがない事業者さんでも、お店で実際売っているものを返礼品として出してもらうとさせていただいていました」

 七宗町はこれまで、町内のより多くの業者に恩恵がいきわたるよう、店舗で扱うものなら、なんでもお礼の品として採用してきたと説明。

このところ“七宗町”のお礼の品で注文が多いのはあの“人気ルーペ”

たとえば、最近の「ヒット返礼品」は、CMでもおなじみの『ハズキルーペ』。

七宗町役場の担当者:
「706件ですね、ハズキルーペ。町内の事業者さんが706個のハズキルーペを売ろうと思ったら並大抵のことではないと思います」

すでに706件の申し込み。3万円の寄付でもらえ、人気なのが「ハズキルーペ」だ。

「メイドインジャパン」がウリですが、七宗町に工場があるわけではない。

七宗町役場の担当者:
「こういうのが一番見直す対象になる。明らかに地場産品じゃないので…」

七宗町は年内に約7割のお礼の品の扱いを取りやめる

七宗町は国の方針を受けて、これまでのお礼の品のおよそ7割が「地場産品」でなかったと認め、年内で扱いをやめることにした。

七宗町役場の担当者:
これだけ小さい町に全国の方から寄付があるのは、本当はありえない話なので、それぞれの事業者さんの利益もあがったんじゃないかなと。ふるさと納税自体があくまで寄付で成り立っているもので、商売ではないわけですね。ですから、いつなくなってもおかしくない前提で動いてくださいと事業者さんには前々から伝えています

過熱する「ふるさと納税」来年以降、返礼品3割、地場産品の縛りが厳しくなり、これらの市町村はどうなっていくのか?改めて、ふるさと納税の制度の趣旨を国民全体が理解し、あるべき姿を問い直すべき時がいているのかもしれない。

過熱する「ふるさと納税」来年以降、返礼品3割、地場産品の縛りが厳しくなり、これらの市町村はどうなっていくのか?改めて、ふるさと納税の制度の趣旨を国民全体が理解し、あるべき姿を問い直すべき時がいているのかもしれない。

(東海テレビ)

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