異例!ゴーン容疑者らの「勾留延長」認めず…その理由を元東京地検特捜部検事に聞いてみた

  • 長期勾留に海外から批判…ケリー氏の妻も「床に寝ると持病が悪化」
  • 「裁判所の判断に対して強烈な不満」はあるが、特捜部も想定済みか
  • 今後のポイントは証拠の評価「隠滅の恐れは低い」

世界中に衝撃を与え、さまざまな波紋を呼んだ11月19日の逮捕から1か月。
12月20日、東京地裁は日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)と側近のグレッグ・ケリー容疑者(62)の勾留延長を認めない決定を下した。

2人は、12月10日、2015年3月期までの5年間の有価証券報告書に報酬を少なく記載した罪で起訴され、同じ日に今年3月期までの3年分の過少記載の疑いでも再逮捕された。

12月20日が再逮捕の勾留期限だったため、東京地検が明日以降の勾留延長を東京地裁に申請したものの、今回は認められなかった。
東京地裁が、東京地検特捜部の勾留延長を認めないのは異例だ。

1か月を超えた勾留生活。
FNNの取材によると、著名人であるゴーン容疑者は、ほかの受刑者などとは別のフロアにある単独室に収容されている。
この単独室にはベッドが置かれ、通常の単独室よりも広く、床はタイル張りだという。

ケリー容疑者が勾留されているといわれる畳張りの単独室

一方、側近のケリー容疑者は、ほかの受刑者などと同じフロアで畳張りの単独室に勾留されているというが、ケリー容疑者は脊椎に持病を抱えているともいう。
妻のドナ・ケリー氏は、弁護士を通じて公開したビデオメッセージで、次のように訴えた。

「彼の症状は、拘置所の床に寝ることで悪化しています。しびれ、うずき、痛みが増しているということです。2か月以内に治療しないと、症状は悪くなると医者に言われました」

妻のドナ・ケリー氏

今後、勾留の延長がなされないことが確定し、弁護側の保釈請求が認められれば、21日以降、2人は東京拘置所から保釈される可能性がある。

勾留延長を認めない判断「違和感はそれほどない」

勾留延長が認められなかった理由と今後の手続きの流れについて、元東京地検特捜部検事でリクルート事件などを担当し、東京高検検事などを歴任した高井康行弁護士に伺った。


倉田大誠キャスター:
再逮捕を受けての勾留延長が認められなかったということは、珍しいケースなのでしょうか?

高井康行弁護士:
この種の事案で、同じ形態の事件が今回の場合は8件も繰り返されています。証拠関係は共通で、争点も同じ。
しかも、この時点になると争点は確定しているか、していないかに収斂していますから、この状況を前提にすると、勾留延長を認めないという判断は、それほど違和感のあるものではないですね。

反町理キャスター:
私たちは、これだけ大きな事件であるから反応してしまいますが、高井さんの感覚では想定されるべき事態ですか?

高井康行弁護士:
特捜部も当然、このようなことはあり得ると、頭の片隅で想定して捜査していたと思います。

島田彩夏キャスター:
「片隅」ということは、ビックリしているということですか?

高井康行弁護士:
裁判所の判断に対して、強烈な不満を持っているでしょうね。

反町理キャスター:
不満とはどういう意味ですか?

高井康行弁護士:
要するに、特捜部からすれば、当然勾留延長して身柄を拘束したまま捜査する必要があると。
それに対して、必要性はないと判断したわけですから、検察側からすると「捜査の実態も知らない裁判官が、とんでもない判断してくれたな。でも、こういう事態はあり得るとは考えてはいたが、とんでもない判断だ」という感じではないでしょうか。

反町理キャスター:
検察側が想定していたスケジュールが変更されるという意味では?

高井康行弁護士:
おそらく検察側は、最初の5件で20日間勾留し、今度再逮捕した3件でまた20日間勾留し、年末年始を挟んで若干休憩して、年が明けてから特別背任で令状を請求して逮捕する、ということを理想的なスケジュールとして描いていたと思います。

海外の“長期勾留”批判「影響はありえない」

倉田大誠キャスター:
欧米を中心に長期勾留への批判がありますが、これが影響した可能性はあるのでしょうか?

高井康行弁護士:
本来、勾留を延長すべき事案であるにもかかわらず、海外の批判を考慮して延長を認めなかったということは、あり得ないと思います。
仮に今回の第2逮捕が特別背任であれば、外から批判があったとしても勾留の延長は認めたと思います。
また一方、同じようなパターンが繰り返された事件で再逮捕したわけですが、これを考えると、仮に海外からの批判がなくても、厳しい裁判所であれば延長請求は認めなかったと思います。

「保釈認められる可能性高い」時期はいつ?

倉田大誠キャスター:
今後予想される手続きの流れを整理します。
検察側は、裁判所の決定に対して「準抗告」という形で不服を申し立てることができるため、現在、準抗告を検討していると見られます。
裁判所が準抗告を退けると、検察側は最高裁判所に対して「特別抗告」することができますが、これは極めて稀なケースで、実際には行われない見通しです。
準抗告が認められない場合、2人はすでに起訴されているので、弁護側は保釈を請求することができます。
裁判所が保釈を認め、保釈保証金が納付されれば、ゴーン容疑者らは保釈されるという流れです。

反町理キャスター:
当然、保釈請求はされると思いますが、保釈についての見解はいかがですか?

高井康行弁護士:
保釈請求は当然出ます。そして、保釈請求は認められる可能性が高いと思います。
というのは、争点は将来の支払いが確定しているかどうかに尽きるわけですが、その前提となるべき事実関係については、多分十分な証拠があると。
あとは、その証拠によって認定される事実をどう評価するかです。
確定していると評価するか、確定していないと評価するか、その一点にかかっています。
評価の問題ですから、隠滅の恐れはほとんどありません。そうなると当然、保釈が許可される見込みが強いということですね。

島田彩夏キャスター:
保釈のタイミングと条件を簡単に教えてください。

高井康行弁護士:
仮に今日中に保釈請求が出れば、明日中には許可するかどうかの決定がなされるでしょう。
その場合は、当然、保釈請求条項をどこにするか、海外渡航をする場合の許可条件をどうするかとか。
あとは、接触を禁止する相手の範囲をどうするかということを裁判所が考えて、条件設定することになりますね。

検察側は、勾留延長を認めないという裁判所の決定を不服として準抗告をすると見られている。

それでも認められない場合、検察側は手続き上は最高裁判所に特別抗告をすることもできるが、複数の司法関係者によると、「準抗告が退けられた時点で、特別抗告も退けられることがほとんどなので、通常、特別抗告はしないのではないか」と話している。

また、東京地検の久木元次席検事は午後4時から記者会見を行い、勾留延長が認められなかったことについて問われると、「私の感想は控える。適切に対処する」と答えた上で、「請求が認められなかったので、今後、影響はあると思うが、最善を尽くしたい」と話すにとどまった。

再逮捕事件の起訴の時期については、「捜査の中身に関わるので、答えは控える」と話したが、特捜部は追起訴の時期を早める可能性も視野に入れて捜査を進めるものと見られる。

(「プライムニュース イブニング」12月20日放送分より)

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