性犯罪から子どもを守れ! 元加害者が語る「怖い」の理由と再犯防止に必要なこと

  • 女子児童を含む女性へのわいせつ行為を繰り返し、13年の刑期を終え出所
  • 「刑務所は女性がいないから再犯できないが…」小児わいせつ犯の再犯率は8割以上
  • 法務省が「性犯罪者処遇プログラム」を実施も、実生活での継続的なサポートが必要と訴える

まもなく冬休み。子どもたちが保護者の目を離れる機会も増え、犯罪に巻き込まれないよう注意が必要だ。

13歳未満の子どもが被害に遭った強制わいせつ事件は、警察庁の発表によると去年1年間で953件発生。実に1日に2件以上起きていることになる。
また、法務省の調査では、一度子どもに手を出した犯罪者の再犯率は、84.6%と極めて高いことも分かっている。(平成27年度 犯罪白書より)

子どもたちを守るために一体何をするべきか。
実際に性犯罪を起こした元加害者の取材を通じて、この問題を考える。

あの衝動が…性犯罪の元加害者が語る

多くの若者が行き交う東京・渋谷。その光景を目にした男性Aさんは、ふとこう漏らした。
「怖いです。目いっぱいです。非常に正反対にある場所だと思うんです」

Aさんは性犯罪の元加害者。
強姦などの罪で服役し、取材のわずか6日前に刑務所を出所したばかりだった。一体、なにが怖いのかを聞くと、次のように答えた。

「出てきた瞬間は、ハイリスクなままっすよ。どうすればいいですかね…刑務所にいると女性がいない。女性がいないから、再犯しようたってできないんです。相手がいないんですから。でもここには、変な話ですけど、やろうと思ったらやれる状況があるわけじゃないですか」

Aさんは過去にも性犯罪で服役した経験があり、今回が3度目の出所。
これまで、女子児童を含む女性のわいせつ行為を繰り返してきたという。

13年の刑期を終え出所した今回、過去の過ちを悔やみ、再犯を防ぐために通院するなどしている。
一方で、若い女性への性的衝動が再燃するのではないかという不安にも苛まれているという。

8割以上が“再犯”…低年齢を狙う理由は「自分の思い通りにできる」

法務省が公表した「平成27年版犯罪白書」によると、1年間に性犯罪で有罪が確定した前科2犯以上の86人のうち13人が、13歳未満に対する小児わいせつで、さらに、そのうち11人は過去にも小児わいせつ事件を起こしていたことが分かった。

8割以上が同じ犯罪を繰り返す「再犯者」だったのだ。

まもなく冬休みを迎える子どもたちの身の危険が心配される。街で保護者に取材をすると、次のような声が聞かれた。

「本人も気を付けないといけないと思うので、娘には帰る時間を厳しく言っています」
「あまり繁華街には行かないとか、何かあればこまめに公衆電話で連絡を入れるようにと伝えています。出かける前には、誰とどこに行くのか、帰る時間はいつになるのか、必ず言うようにと」

なぜ同じ犯行が繰り返されるのか。

Aさんによると、いわゆる塀の中での生活からいきなり社会に出ると、適応力が十分ではなく、逆にストレスを感じるという。
そのストレスが、再犯への引き金となる可能性を高めているというのだ。

「刑務所でこんなに人と人が接触する機会ってないですから。そこにどれだけリスクがあるかってことですよね」
「自分が適応していない怖さですよね。だからここ(街)には来ちゃいけないんだと思います」


さらに、低い年齢層を狙う理由についても話した。

「例えば自分より経験のない人、年が下の子、分かってない子だったら、自分の思い通りにできる。その方が、欲求を満たす方法としては楽なんですよね。本能にある程度結びついたものだと(やめるのが)より難しくなっていく」

「なるべく社会全体の話として共有してほしい」再犯防止には地域の連携も必要

法務省も問題を放置しているわけではない。
Aさんも刑務所の中で受講した「性犯罪者処遇プログラム」を実施し、性犯罪者の認知のゆがみを改善して再犯の防止を目指している。

Aさんが受けたプログラムの資料には、次のような書き込みがあった。

・加害計画を練ったり、下見したりする。
・欲求が良心を凌駕し、自分の欲求充足しか見えなくなる。

プログラムで受講者は、犯行に至るまでの状況を段階的に自己分析する。
犯罪に走る引き金は何だったのかを特定し、再犯防止への道筋を自ら考えることを学ぶのだ。

しかし、更生への意思を持っているというAさんは、刑務所内の座学プログラムだけでは再犯防止は不十分だと話す。

「刑務所の中でできることって、もちろんあるんですよ、ゼロではない。例えば人間関係の作り方とか。でも、『水のない場所で水泳の練習はできないです』というのと同じだと思うんですよね。刑務所の中で、水泳するために筋トレすることはできるかもしれない。けれど、直接的に泳ぐ練習はできない」

出所後、実生活の中で自分をコントロールできるようになるまでの継続的なサポートを求めている。
「なるべく社会全体の話として共有してほしいんです。怖いです。余裕がないというか」

再犯を防ぐためには本人の更生と自立を図ることが必要だが、その上で、社会と共生できる取り組みが求められている。

倉田大誠キャスター:
再犯率を下げるためには、どうしたらいよいのか。
刑務所での勤務経験のある大阪大学の藤岡淳子教授は、出所者が孤立してしまうことで再犯リスクが高まるのだと指摘しています。
つまり、出所者を孤立させないことが大切だということです。

海外の例を見てみると、カナダやイギリスでは、出所者を地域のボランティアが支えるシステムが確立しているそうですが、日本ではまだその受け皿が少ないのが現状といいます。
また、日本の法務省がプログラムの資料も公開をしていないため、どうしても地域と連携を取ることが難しいとも指摘しています。

(「プライムニュース イブニング」12月19日放送分より)

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