AI搭載“介護支援ロボット”が2019年上陸!「後ろ姿でも判別」驚きの性能を聞いた

カテゴリ:ビジネス

  • 月15万円で来年8月からレンタル開始!
  • 顔が見えなくても後ろ姿で誰か判別できる
  • エレベーターを使いこなすことも可能

深刻な人手不足が続く介護の現場に、白衣の天使ならぬ、AI仕掛けの救世主が2019年に上陸するという。
その名は、AI・機械学習機能搭載型ヒューマン支援ロボットの「アイオロス・ロボット」

これは米・サンフランシスコを拠点に置く「アイオロス・ロボティクス」が開発したロボットで、人・顔・モノ・文字など周囲の環境や情報を学習し、「高度な物体検知能力」「空間認識機能」などを備え、さらに「音声認識機能」があるので声で指示を出すことも可能だという。
人間の腕のような2本のロボットアームと自由に動き回る車輪を使い、様々なものを適切な保管場所に置くなど、人の生活における作業をサポートするとしている。

ロボット目線で描かれたイメージ動画を見れば、その万能ぶりがお分かりいただけるだろう。
動画の中のロボットは介護施設で働いており、スマホでロボットのカメラ映像を確認した職員が、元気のない入居者に気づく。

入居者を元気づけるため、職員はロボットに音声入力で書道の道具をとってくるよう指示。
ロボットは館内を移動し、ちゃんと道具を認識して指示された場所に運んでくる。

また人の姿勢を認識し、倒れた人を見つけると職員に緊急通報を行う。

人間が使うドアやエレベーターをそのまま使うことも可能。
エレベーターに乗るとボタンを押して目的階に移動する。

「アイオロス・ロボット」は2019年4月からレンタルの予約を受け付け、8月から提供する予定で、気になる価格は月15万円。
しかも、すでにロボット導入に積極的な日本企業と協力し、介護施設での業務支援の実用検証試験を開始しているという。
(※価格は税別。また為替の変動によるレンタル提供価格の変動可能性有。最低レンタル契約期間は3か月からを予定)

高齢者の移動を介助するパワーアシストスーツなどと異なり、周辺業務をサポートすることで、介護士が介護に専念できるようにする狙いだというこのロボット。
AIを搭載することでどのようなことが可能になるのか?そして、介護そのものは手伝えないのか?担当者に聞いてみた。

「顔が見えなくても後ろ姿で判別できる」

――他のロボットより「アイオロス・ロボット」が優れている点は?

弊社のアイオロス・ロボットは周囲の環境や情報を認識・学習する「AIビジョンセンサ」と、認識・計画・実行装置のすべてを内部に搭載し、アームを使ってモノをつかんだり、自律的に走行したりできます。
そして、学習したデータはクラウド上に蓄積し、ロボット間で共有してフィードバックを繰り返すことで、日々変化する環境にも適応できます。
また、与えられた命令をもとに自動的に複数地点間を移動したり、ドアを開けたり、エレベーターに乗ったり、というように自由に設置環境内で移動したり、パトロールすることができます。
他社製品ではこれら頭脳に当たる部分認識・計画部分を内装せず、無線通信によりクラウドや外部サーバーに処理を投げて結果を受け取って行動するものが多いようで、こういった場合は無線ネットワーク環境が必須になります。


――AIはどんな部分に使われているの?

『認識』
AIを用い、複数のセンサーやカメラの画像を統合的に判断し、壁や扉などの構造体、モノやまわりの人の動きをリアルタイムに認識します。
たとえば家具の位置変更を認識し、頭の中の地図を動的に更新し、スムーズかつ安全な動作に役立てています。
物については、その本来あるべき場所とともに覚えさせたり、どこをどのようにつかむべきかを判断することにAIを用います。
人についていえば、顔を立体的に認識させ、骨格と連携させて全体としての人物として記憶し、その人かどうかを判断します。
服装がかわっても、顔がみえなくても後ろ姿だけでも誰なのかを判別できる能力もあります。
人の姿勢を顔とともに同時に複数人物について認識できます。
姿勢認識により、一人ひとりの人物がどういう状態にあるかをロボットは理解しています。

『計画・実行』
与えられたミッションをこなすために動作計画を立案、実行する部分にもAIが使用されています。
そしてセンサーやカメラの入力から、刻々と変化する周囲の状況に応じて、何度も立案し実行を繰り返すことで、最適な移動ルートの動的変更といったことを自律的に行っています。
具体的には、たとえば人がある程度以上近づいてきたり、目の前に割り込んだり、追い越そうとするときには一度立ち止まったり、必要に応じて後退して迂回路を探します
当初ロボットが通ろうと計画した経路を人や物が一時的に塞いでいるときには、回り道をしたり、塞がれた部分が再度開くまで待っていることも自律的に行います。

『認識と組み合わせたカスタマイズ可能な行動』
長期にわたる自動的な連続観測記録に基づいて、周囲にいる人の行為の傾向を予め把握して行動することにもAIを利用しています。
これによって、たとえば人が転倒した時にはロボットはすぐ介護士や家族など必要な方のスマートフォンに通報するなどができます。
認識結果にもとづくロボットの行動はさまざまなカスタマイズも可能です。
たとえばカルテに事象が起きた場所と時間と写真とを人物ごとに記録する、活動量が減ってきている人物についてのお知らせを発報するなど、幅広い活用方法が考えられます。

新人ロボットでも“玄人”並みのサービスがAIで可能に

――AIが学習することによって、何ができるようになるの?

弊社のAIでは長時間の基本学習は不要です。
最初に実行するよりも、二度目以降は動作がよりスムーズになります
別の言い方をすれば、リアルタイムに学習しながら結果を行動に反映していくため、つねに賢くなっていくともいえます。
設置場所の人や環境を学習しますので、それぞれの場所にふさわしい動きができるようになります。
その学習結果をクラウド上に保持するようにすれば、メンテナンス中のロボットにかわり、別に投入した「新人」ロボットでも現場に慣れ親しんだ「玄人」ロボットと同じレベルでのサービスを再開できるようになるメリットがあります。


――体調が悪くて倒れている人と、普通に座っている人をどうやって見分けるの? また後ろ向きの人をどうやって見分けているの?

これは弊社の「AIビジョンセンサ」で人の動作の時間軸での変化と、同一姿勢の保持時間などいくつかの要素を計算した上で判断するようになっています。
人の情報を登録する際に、いくつかの角度からみたその人物を登録すること、および体型を同時に記録し、演算によりそれらの情報を統合・分析・学習しているため、センサーから必要な情報が得られれば背を向けていても即座に人物特定が可能になっています。


――ロボットに指示を出す方法は、音声のほかなにがあるの?

スマホの専用アプリでロボットに指示をすることも可能です。
また、Amazon AlexaやGoogleアシスタントとも連携できます。


――介護施設で実用検証試験をしているというが、どんな仕事をやっているのか?

今実際にやっているメインの業務は物の配達とパトロールです。
具体的には、新聞の配達、洗濯物、ごみの回収などを担います。
また、物の配達をしながらの、周囲の人物の姿勢検知も可能です。
たとえば転倒している人物を発見したときにはスマートフォン経由で管理者に通知ができるようになっています。

もっと速く動くことも可能です

「アイオロス・ロボット」のサイズは、高さ100~130cmまで仕事に合わせて調節することが可能。
幅は53cmなので、どんなドアやエレベーターにも入りやすく、重さは60kg。
残念ながら階段は上り下りできないが、1.5cm以内の段差と、約1.5度以内の坂を乗り越えることができるとしている。

――どのぐらい重いものが持ち上げられるのか?

片手ごとに2kgのものを持ち上げたり運んだりすることができます。
ロボット本体の胸部には支持具が設置されています。
この支持具で支えることで10kgのカゴや箱が運べるようになっています。

胸の道具を使って椅子を持ちあげるデモンストレーション

――動く速さはどのぐらい?

移動速度は時速2kmです。
人と同じ行動圏で活躍するロボットですので、人が不安を感じさせることなく動かすため、また、突如あらわれる障害物への自動停止の能力を最大限に高めるなど安全性の観点から速度を適切に遅くしております。


――腕や移動をもっと速く動かすことはできないの?

速く動かす事は可能です。
物流施設などロボット専用の設計の場所で動かすわけではなく、人が暮らす環境での動作を前提としています。
このため、人へ寄り添うロボットとしての安全性を考慮した上で、今の動き速度で最適化設計をしております。

ロボットが直接介護をしない理由

――介護が必要な人の体を支えたりはできないの?

ロボットの使用目的(介護支援)の観点から、現時点では、ロボットには人の体を触らせないようにしております
ロボットに人の体を直接ふれさせるためには、安全性に関わることから、関連する多方面の専門家やアドバイザーに相談をしながら、総合的な検討と、実用検証試験が必要だと考えます。


――介護が必要な人が自分の家で使うことはできないの?

『介護士の周辺業務をサポートする』という役割を担うため、看護利用者と身体的に直接、接する事はありません。
導入による実績を経て、次の段階では介護が必要な個人が自宅で使える事を目指しています。


アイオロス・ロボティクスは2020年までこのロボットを10万台普及させることを目指している。
厚生労働省の調査では2025年になると介護の担い手は34万人程度不足するとみられているが、高齢化社会が進む中、介護現場で求められるロボットの役割とマッチして、労働環境の改善や介護の質の向上につながることを期待したい。

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