コトの真相は最後まで報道せよ 不法移民少女の死には続報があった

カテゴリ:ワールド

  • 「米国へ不法入国の少女が拘束中に死亡」のニュースには続報があった
  • 少女の父親は「『拘束中の取り扱いについてなんら不満はない』と伝えた」とCNNが報道
  • 第一報を伝えっぱなしの日本のメディアは如何なものか

このニュースの真相は?

拘束中に死亡したグアテマラ出身のジャクリン・カールちゃん(7)

今月16日、日本のマスコミが一斉に「米国へ不法入国の少女が拘束中に死亡」というニュースを大々的に伝えた。

事件は6日、米国ニューメキシコ州のメキシコ国境付近で、グアテマラ出身のジャクリン・カールちゃん(7)が父親と米国へ不法入国して米国の国境警備隊に拘束され、バスで移送中に高熱を出して搬送先の病院で死亡したというものだ。

米国内の移民を支援する団体が記者会見を開き、父親の代理人の声明文を読み上げ「拘束されるまでには元気だった。死因や経緯を徹底的に調査してほしい」と訴えたことが紹介され、どのニュースも最後に「移民に厳しい政策をとるトランプ政権に批判が高まる可能性がある」とコメントしていた。

父親「なんら不満はない」

しかし、このニュースはこれで全てではなかったのだ。16日CNNは「死亡した少女の父親はグアテマラの領事に対して『拘束中の取り扱いについてなんら不満はない』と伝えた」と報じた。

ジャクリンちゃんは父親らとともにバスで国境警備隊の施設まで搬送される途中に急に容態が悪くなったが、バスに同乗していた警備官たちは「娘を助けるためにできる限りのことをしてくれた」と父親はグアテマラの領事に語ったという。事実、同乗していた警備官は直ちにヘリコプターを手配してジャクリンちゃんを子供専門病院に運び、一時は容態が安定したが二日後に死亡したのだった。

ジャクリンちゃんの父親は未だ記者会見をしていないが、弁護士を通じて声明を発表し「ジャクリンを助けようとして下さったニューメキシコ州とテキサス州の関係者の方々に感謝します」と述べている。これを伝えたCNNは、米国のマスコミの中でもトランプ大統領に対して厳しい論調で知られる。そのCNNがこう伝えても「トランプ政権に批判が高まる」のだろうか。

フェイクニュース伝えっぱなしの“悪”

「No more death of migrants」と訴える人々

実は米国のマスコミの中にもそこまで取材せずに結論を急いだ報道があったのだ。
「7歳の移民の少女、国境警備隊の拘束中に脱水症と過労で死亡」(ワシントン・ポスト紙電子版14日)
「7歳の移民少女、国境警備隊に拘束された後死亡」(タイム誌電子版14日)

国境警備隊が少女を死亡させたと言わんばかりの見出しだが、米国では今年6月不法移民の親子を分離収容することに批判が高まり、その矛先がトランプ政権に向けられたことがあった。今回の少女の死亡も、トランプ政権への批判につなげようという意図が見え見えだが、反トランプ急先鋒のCNNがそれを打ち消しては説得力に欠ける。

それでも米国の場合は、トランプ大統領とマスコミの確執があるので理解できないこともないが、その言ってみればフェイクニュースを鵜呑みにして日本で伝えっぱなししておくのはいかがなものか。せめて続報でコトの真相を明らかにすべきと考えてこのコラムとした次第だ。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)
(イラスト:さいとうひさし)

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