米国本土に迫る、露Tu-160ブラックジャック戦略爆撃機

カテゴリ:ワールド

  • 露ブラックジャック戦略爆撃機、ベネズエラ展開
  • クリミアに最新の露地対空ミサイル・システム、S-400展開 
  • MiG-35戦闘機の開発が意味すること

世界規模で活発に動くロシア軍

12月10日、ロシアの戦略爆撃機Tu-160ブラックジャック2機が1万km、およそ10時間の飛行で、カリブ海の上空を経て、南米ベネズエラのシモン・ボリバル飛行場に到着した。
ベネズエラにロシアのTu-160が展開したのは2013年以来のことだ。

ワシントンは、ブラックジャック搭載ミサイルの射程内?

ロシア軍がベネズエラにブラックジャックを飛ばすのは2008年・2013年に次ぎ3度目。
今回は2機のブラックジャック爆撃機の他にAn-124、それに、Il-62が同行してベネズエラに到着したということで、簡単な整備要員や補給部品、パイロットの交代要員も運んだかもしれない。

露Tu-160ブラックジャックのコックピット

ブラックジャックは、超音速爆撃機としては世界最大。空中給油を受けなくても、1万2000km飛行できる。今回の飛行に当たっては、ブラックジャックの飛行中のコックピットの映像も公開された。そして、核・非核どちらのミサイルも搭載可能。

搭載できるのは、射程4000km以上とされるKh-102核弾頭搭載巡航ミサイル、Kh-55SM核弾頭巡航ミサイルや、通常弾頭のKh-101、Kh-55巡航ミサイルだ。シモン・ボリバル飛行場からワシントンDCまでは、約3700km。アメリカにとっては、とても無視できない動きだっただろう。

クリミアで着実に進む、最新地対空ミサイル・システムS-400展開

では、米国はどのように対応するのだろうか。米国の安全保障担当のボルトン大統領補佐官は12月13日、トランプ大統領が先のG20の際、予定されていたロシアのプーチン大統領との会談日程をキャンセルしたが、仕切り直しの首脳会談日程については「ノープラン」だとも述べた。

S-400地対空ミサイル・システム@クリミア

会談キャンセルの原因の1つは、ロシアがクリミア近くの黒海でウクライナの船を拿捕し、乗組員を返していないことだったが、そのクリミアでは12月10日、配備するとしていたS-400地対空システムの新たな部隊の姿がみられた。

ウクライナとロシアの対立は、なかなか緩和されそうにない。

最新鋭MiG-35戦闘機と、ロシアの世界戦略

ロシアの航空戦力では、国内でも新たな動きがみられる。ロシア国防省が、フルクラム・シリーズ最新のMiG-35戦闘機の映像を公開したのだ。

MiG-35戦闘機

MiG-29戦闘機の流れを汲むMiG-35は、ロシア国防省の説明では、絶え間なく変化する戦場の環境で複雑な多目的ミッションを実行できる数少ない軍用機の1つとされていて、パイロットは最大160kmの距離で最大30の空中のターゲットを検出し追尾することができる。

そして、パイロットは最大6つの飛翔体と、4つの地上ターゲットを同時に攻撃することができるとされている。

現時点ではMiG-35型機は、ロシア国防総省とMiG社の専門家により、国家飛行試験センターで、空対空および空対地兵器システムの性能と航空電子機器の評価試験等が続いているという。
MiG-35は、ミサイル等の武装は、主翼や胴体の下に吊り下げる方式で、同じくロシアのSu-57や、米国のF-22、F-35、それに中国のJ-20のようなステルス機ではない。
しかし、ロシアの国家戦略にとってMiG-35は、自国軍で使用するだけでなく、ロシアの国際的な影響拡大のためのツールとして、諸外国に採用を働きかけていくかもしれない。


【動画】「能勢伸之の週刊安全保障」(12月15日配信)

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