「裁判員裁判」でなかったら判決は違っていたかも

危険運転致死傷罪の成立を認め、懲役18年の実刑判決

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  • 危険運転致死傷罪の成立を認め、石橋和歩被告に懲役18年の実刑判決
  • 4回にわたる妨害運転が死傷事故を誘発したと、その因果関係を認めた
  • 判決文が読み上げられる間、石橋被告は・・・

FNN PRIME onlineの4コマビジネス用語でおなじみの、オオシバくんは、いつも会社でドジをして上司のニコラス氏に怒られているので、もっとニュースに詳しくなって、賢い犬になりたいと思っています。今回は、あおり運転裁判の判決について、フジテレビ社会部の平松デスクに教えてもらいます。

「危険運転致死傷罪」が成立

オオシバくん:
ヒラマツデスク!今日は日本中が注目する裁判の判決がでたんだよね。

平松デスク:
東名あおり運転事故の判決だね。石橋被告が4回もあおり運転をして、その後、急に停車して、運転手さんにつかみかかって、そこにトラックが突っ込んできて、二人が亡くなったという事故。石橋被告の一連の妨害行為が最終的に死傷事故を誘発した、現実化させたという判断で、「危険運転致死傷罪」を成立させたんだ。内容的には非常にわかりにくい判断だけど、裁判員、裁判官が悩みに悩んで出した結論だね。

なぜ5年も減軽か

現場検証の際、あくびをする石橋被告

オオシバくん:
求刑23年だったのになぜ18年になったの?

平松デスク:
求刑から5年も差し引いた理由がよくわからない。判決文を読んでも、「石橋被告にくむべき事情はほとんどない」と言いながら5年も差し引いていることに、私もちょっとびっくりしているんだよね。

オオシバくん:
平松デスクはどんな判決を予想していたの?

平松デスク:
実は「危険運転致死傷罪」は成立しないと思っていた。私にはおまわりさんの友達が沢山いる。彼らに聞くと、大原則として「道路交通法」や「自動車運転処罰法」は、ハンドルを握っている人が対象になる。ハンドルを握っていない人は、処罰しちゃだめなんだよ。だけど、今回は、その大原則から外れているから、これは適用しにくいというのが大方の予想だったんだ。私自身もそう思ってた。けど今回は、裁判員や裁判官が一連の妨害行為が誘発させた死傷事故だから因果関係はあるというロジックで、「危険運転致死傷罪」を適用させたのさ。それは、一つの判断として貴重だと思うよ

オオシバクン:
石橋被告は反省してた?

法廷内の石橋被告

平松デスク:
法廷では涙を流したり、謝罪の言葉を言ったりしたんだけど、実際に裁判を傍聴した記者に聞くと、真摯に反省した態度は見られなかったと言ってたよ。

腕を組んだり貧乏ゆすりをしたりして判決文が読の読み上げを聞いていた石橋被告

オオシバくん:
僕だったら、家族を殺した被告が目の前にいたら噛みつきたくなるよ。

平松デスク:
裁判で相手に噛みついたりしたら、それこそ「傷害罪」に問われちゃうよ。人間の裁判ではそんなことをやっちゃだめなんだよ。

裁判官だけの審理だったら?

オオシバくん:
今回は一般の市民も審理する「裁判員裁判」だったんだよね?

平松デスク:
そもそも「危険運転致死傷罪」というのは解釈が非常に難しい。だから全国のおまわりさんも「これは危険運転致死傷罪」に問えるのかどうか相当悩んでた。それを一般市民の裁判員に任せてしまうのは酷だという意見は多かったよ。裁判員の一人が、判決が出たあと取材に応じてくれたんだけど、「難しい裁判だった。毎日葛藤してた」って。でもみんなで悩んで、みんなで話し合って、判決を導き出したと話してくれたよ。

石橋被告は控訴するか

オオシバくん:
石橋被告が控訴したらどうなる?

平松デスク:
石橋被告の弁護士は、「本人と協議し、今後控訴するかどうかを検討する」と言っているけど、これをプロの裁判官だけで審理したらどう判断するのか。東京高等裁判所の裁判官が、本当に「危険運転致死傷罪」にあたると認定するのか、私は、もう一度、判断してほしいと思っている。弁護士が話していたように処罰できる法律がないのであれば処罰してはいけないと思う。それだったら、処罰できる法律を作るべき。「あおり運転罪」を創設すべきだと思う。

(解説:フジテレビ 社会部デスク 平松秀敏)
(イラスト:さいとうひさし)

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