母がたばこを吸っていて…肺がん患者が語る“受動喫煙” 年間1万5000人死亡のワケ【北海道発】

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  • 「子供に病気の種まくのと同じ」肺がん患者が語る“受動喫煙”
  • 赤ちゃんにも影響?医師が強調「因果関係は確かにある」
  • 「全社員完全禁煙」宣言や“禁煙レンタカー”…企業の取り組み加速

“受動喫煙”は「子供に病気の種まくのと同じ」

私の母が非常に喫煙者で、小さい頃から母の出すたばこの煙を追いかけて捕まえるっていうのが、一つの楽しい遊びなぐらいだったので。もしかしたら(肺がん)? って…。」

このように話すのは、札幌市内の耳鼻咽喉科クリニックで事務長を務める國分裕子さん(51)。國分さんは、5年前、初期の肺がんと診断され、その時、頭を過ぎったのは幼い頃の「受動喫煙」だったと言う。

肺がんを経験した國分裕子さん

國分裕子さん:
3歳くらいから小児ぜんそくと言われて、どんどんひどく、寝てられないくらいひどい状態。ゼーゼー言って、溺れるみたいにすごく苦しいんですよ。
朝になると母親におぶられ、近くの小児科で処置をしてもらう毎日。ぜんそくは中学生頃まで続いたという。

國分裕子さん:
地獄のような…溺れるような毎日で、もうこんなのが続くのが嫌だって思って、ある日、大きなぜんそくが起きた時に、押入れに閉じこもった。

死んでしまいたい―。押入れで失神しかけた時、母親に助け出された。

國分裕子さん:
これ以上(受動喫煙で)苦しむ子どもを作りたくない。自分の体験って受動喫煙に沿った体験だと思うので、副流煙の中に子どもを置くのは、子どもの体の中に『病気の種』をまくのと同じ。
今すぐたばこがなくなるのは無理だと思うんです。そこにストレス発散のはけ口をそこに持っていく人もたくさんいますし、それぞれ自由なのでそれは致し方ない。なので、新しく生まれてくる子どもたち、新しい子どもたちがたばこを吸わないこと。それでゆっくりゆっくり変わっていくしかないと思います。

「これ以上苦しむ子どもを作りたくない」と國分さんは訴える

赤ちゃんにも影響?「因果関係は確かにある」

家庭での受動喫煙と病気の関係は―。KKR札幌医療センター 呼吸器内科の磯部医師は、無防備な子どもへの深刻な健康被害に警鐘を鳴らす。

KKR札幌医療センター 磯部宏医師:
赤ちゃんの時にたばこに接すると、ぜんそくだとか、呼吸器の疾患が多くなるっていう因果関係は確かにある。特にお母さんが吸っていると、(喘息様気管支炎になる割合は)4.5倍とか跳ね上がるデータがありますので、かなり影響すると思います。

心配される受動喫煙による子どもへの健康被害。磯部医師は警鐘を鳴らす

子どもへの健康被害だけではない。受動喫煙による死者は、交通事故の死者よりも多い年間約1万5000人。そのうち2割は「肺がん」だ。

磯部宏医師:
ご主人がたばこを吸わない奥さんと、ご主人がたばこを吸う奥さんを比べた場合、ご主人がたばこを吸っていると2倍近く、がんになるデータも出ています。やはり受動喫煙によって、肺がんの(発症)確率が高くなるのは間違いない。

「全社員完全禁煙」宣言…企業の取り組み加速

2018年7月、職場や飲食店など多くの人が集まる建物内を原則禁煙とする「改正健康増進法」が成立、国は2020年春の全面施行を目指している。
そんな中、2017年5月から受動喫煙対策に取り組み始めた企業が札幌市内にある。

北海道ツアーズ 吉松邦貴所長:
2020年の1月1日までに『全社員完全禁煙』を宣言して日々取り組んでおります。

旅行会社「沖縄ツーリスト」の子会社として設立された「北海道ツアーズ」。北海道内発着の旅行はもちろん、海外からの旅行客にも北海道旅行のプランを提案している。

「北海道ツアーズ」は全社員一丸となり、受動喫煙対策に取り組む

吉松邦貴所長:
去年の5月に『禁煙をしますよ』という「宣言書」を会社(本社)に提出しました。

目的は受動喫煙の防止と禁煙。全ての社員が非喫煙者、または加熱式たばこなどの利用者であるという「宣言」をし、社員全員の署名も提出。

本社に提出した宣言書

吉松邦貴所長:
たばこを吸う人には電子たばこを支給をします。非喫煙者の方には1人1万円を支給する。電子たばこを吸う人に対しても、電子たばこから完全禁煙に図れるように、みんなでサポートしていこうという取り組みです。

紙たばこから電子たばこ、さらに完全禁煙へ。半年ごとに禁煙に向かっているか確認し、もし1人でも紙たばこに戻ってしまったら、社員から1万円が没収されるという連帯責任だ。

宣言書を提出してから1年半。禁煙に成功した社員が誕生したという。喫煙歴10年の南幸裕さん(33)は…

南幸裕さん:
いつかやめないとなって気持ちはあったので、良いきっかけを頂けた。

禁煙に成功した南幸裕さん

取り組みがスタートした時、長男が産まれたばかりだったという南さん。子どものためにと奮起したが、支給された電子たばこから完全禁煙までは、容易ではなかったと言う。

南幸裕さん:

家に帰ってついつい吸ってしまうっていうのはありましたね。

南幸裕さん:
(どのように克服を? )電子たばこを捨てた…。

北海道ツアーズ 平良健代表取締役社長:
(禁煙化は)最終的には本人のため。根気強く、禁煙プロジェクトには賛同してもらうしかない。1人1人の社員の意識が一番大切。

“禁煙レンタカー”の成果は?

サービスの質を向上させるため行った「たばこ臭の根絶」。それは、社員に対してだけではない。

吉松邦貴所長:
私たちが所有している車は全車両『禁煙』です。

グループ会社のOTSレンタカー。2016年から全ての車が禁煙だ。最近は外国人観光客の利用が6割を占めているという。
しかし、たばこが全く吸えないことによる利用客離れはなかったのか?

2年前からレンタカー全車両を“禁煙“に

吉松邦貴所長:
そういう方には『他のレンタカー会社さん行ってください』というくらい強い意志があります。ただ台湾とか香港とか、韓国とか、海外の方には大受けですね。

吉松邦貴所長:
(より新規のお客さんがついた?)禁煙をやったからこその成果だと思ってます。 


待ったなしの受動喫煙対策。「改正健康増進法」の2020年全面施行に向けて、受動喫煙対策の強化が、いま厳しく求められている。

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