「与党と対立」の陰で「自分たちが対立」 相も変わらぬ”バラバラ野党”

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  • 支持率1%の国民民主が「二正面作戦」
  • 立憲民主が慎重貫く…内閣不信任案は「紅白」と同じ?
  • 「待ったなし」参院選に向けて野党連携の道筋は

42日間の激闘国会 野党「一枚岩」目指すも…

12月10日、臨時国会が閉会した。会期が42日間という短い国会ではあったが、最大の焦点である出入国管理法改正案をめぐり、最終盤に夜通しの攻防が繰り広げられるなど、与野党が激しく対立する国会だったといえるだろう。ここでは、「攻め手」側の野党に焦点をあてて検証する。

野党6党派の国対委員長が会談(10月24日)

臨時国会が開会した10月24日の朝、野党6党派の国対委員長が会談した。終了後、立憲民主党の辻元国対委員長は次のように述べた。

「力をあわせて、何でも相談して進めていくことを再確認した」

通常国会では「足並みの乱れ」から、いわば自滅する形に終わった野党としては、臨時国会こそは「一枚岩」ぶりをアピールする必要性に迫られていた。「何でも相談して進めていく」という辻元氏の言葉には、野党間の信頼関係を回復し、共闘態勢を立て直したいとの強い意思が読み取れた。

立憲民主党・辻元国対委員長(10月24日)

臨時国会を成果で見ればまたも”完敗“

法案の中身を追及すると同時に、国会開会前に発足した改造内閣の閣僚の適性を問うとして、攻勢へと意気込んでいた野党。しかし、その「成果」はどれだけのものだっただろうか。

補正予算案→成立
政府が提出した法案→13本すべて成立
政府が締結した条約→3本すべて承認
野党が提出した解任・問責決議案→7本すべて否決
閣僚の辞任→0人

この数字だけを見れば、通常国会以上に野党側が得られたものは少ない。むしろ、”完敗”ともいえる内容だ。

もちろん、与党が圧倒的多数を占める状況で政府提出の法案が次々成立するのは当然でもあり、審議時間のあまりの短さなど与党の強引な運営にも問題があるのは否めないが、その過程において野党側は最善の対応をとれていたのだろうか。

入管法改正案をめぐる対応に焦点をあてると、与野党間の対立の背後で、野党内の激しい対立が繰り広げられていたことが浮き彫りになる。

「二正面作戦」支持率1%国民が繰り出した苦肉の策

「一枚岩」での共闘を目指した野党は、衆院における入管法改正案審議で団結して攻勢に出た。法案が具体性に欠けることや、現行の技能実習制度の実態をめぐって政府を追及。一致して、徹底審議と廃案を求め続けた。また、失踪した技能実習生の聴取票2800人分以上を書き写して独自集計し、法務省が公表した調査結果の不備を世に明らかにしたのは、野党の功績と言ってもいいだろう。

入管法改正案の衆院法務委での採決に野党が抵抗(11月27日)

しかし、法案が衆院で可決され参院に送付された途端、野党共闘に綻びが見られるようになる。11月29日、国民民主党は現行制度の抜本的な見直しや受け入れ人数の上限などについて最長で6カ月の間に再検討することを定める対案を参院に提出。しかし他の野党はこの案の共同提出に応じず、国民民主党の単独行動の形となったのだ。

国民民主党の幹部は当時、提出理由を「衆院では第一党の立憲民主党に従ったが何も得られなかった。参院では少しでも法案を是正するべく自由にやらせてもらう」と述べていた。
一方の立憲民主党は、この行動に対して不快感を露わにし、「説明不足」を理由に一時、国民案の委員会付託に同意しないという”妨害”さえ行った。

また、国民民主党は、改正案の今国会での成立がほぼ確実になった終盤には、運用面の制限などを定める「付帯決議」に向けた協議を与党側と開始した。

国民民主党としては、10月に新たに掲げたものの国民への浸透がまったく進んでいないキャッチコピー「つくろう!新しい答え。」を体現する行動のつもりだったのだろう。
しかし、他の野党からは「また与党にすり寄ろうとしている」「自分たちが頑張っているところを見せたいだけなのではないか」との冷ややかな声が相次いだ。

国民民主党のキャッチコピーを説明する玉木代表(11月8日)

国民民主党は、こうした「解決型野党」としての行動の一方で、参院での採決をめぐる昼夜の攻防が繰り広げられた12月7日に、突如、安倍総理の問責決議案や、衆院での内閣不信任案の提出を主張し始めた。

「参院がこれだけ頑張っているのだから、内閣不信任案を出そう」 

国会内で、両の腕を組んだ玉木代表が高らかに宣言する姿があった。与党と「付帯決議」の協議もしつつ、「倒閣」の態度を明らかにする決議案の提出を他の野党に対して主張する、いわば「二正面作戦」に打って出たのだ。

このような行動の背景には、衆参で野党第二党の地位に埋没し、独自の行動も「足並みの乱れの原因」と批判され、結党以来、支持率1%前後に停滞している状況がある。その国民民主党の繰り出した苦肉の策により、今度は立憲民主党にその矛先が向けられることとなった。

「紅白と同じ」?立憲「伝家の宝刀」を抜かず

国民民主党が提出を求めた2つの決議案は、入管法改正案の採決を少しでも遅らせようという意図のものだ。

総理問責決議案とは、文字通り、総理大臣の責任を問う決議案で、法的拘束力はないが、内閣不信任決議案は、憲法に定められた仕組みであり重みが違う。可決した場合は、内閣が総辞職あるいは衆院が解散となるもので、野党にとっては倒閣に打って出る「伝家の宝刀」の決議案だ。

通常国会では、立憲民主党が「欠席戦術」を含む「徹底抗戦」路線を志向した。内閣不信任案の提出を主導したのも立憲民主党で、本会議場で枝野代表が2時間43分に及ぶ大演説を繰り広げたのをご記憶の方も多いだろう。

内閣不信任案の趣旨説明をする立憲民主党・枝野代表(7月20日 衆院本会議)

ところが、臨時国会では国民民主党の側が内閣不信任案提出という強硬論を訴えたのに対し、立憲民主党側が慎重姿勢を貫くという構図になった。結局、参院での総理問責決議案の提出には応じたものの、衆院で内閣不信任案は提出しなかった。

これに対し、国民民主党が8日未明に開いた会合では、カメラの前で幹部らが次々と立憲民主党への批判や揶揄を口にした。

玉木代表「採決を阻止したいということで(委員長席に)駆け寄っている野党のみなさんは、内閣不信任案の提出に協力いただきたい。パフォーマンスではなく残された手段をすべて使い切る本気の戦いを挑むべきだ」

大塚代表代行「内閣不信任案にふさわしい、あまりにも酷い内閣だと思っているので、最後の最後まで野党第一党である立憲民主党の奮闘に期待したい」

国民民主党・玉木代表(12月8日)

一方の立憲民主党幹部らは、提出を見送った理由について、「主戦場が参院なのに、衆院での内閣不信任案はそぐわない」「乱発すれば効力が薄れる」「紅白歌合戦も1年に1回あればいい。来年の通常国会まで期間も空くし意味がない」などと述べているが、総じて歯切れが悪く感じられる。

安倍政権への批判を繰り返しつつも、「倒閣」を堂々と突きつける内閣不信任案の提出に二の足を踏む姿勢は、国民から見ると、わかりにくい対応といえるのではないだろうか。

国会閉会日の10日、立憲民主党の辻元国対委員長は、他の野党の国対委員長と並び、「不信任がどうということで、ちょっと足並みが乱れたことは、大したことではない」と述べたが、野党にとっての「伝家の宝刀」をめぐる「足並みの乱れ」は果たしてそれほど軽いものだろうか。

記者団に答える立憲民主党・辻元国対委員長ら(12月10日)

しこりを残し…参院選の共闘へ

再び「足並みの乱れ」を露呈し、互いに深い感情的なしこりを残す形で、野党は臨時国会を終えた。来年の通常国会に向けて態勢を立て直すことが急務であるが、その先には夏の参院選が待っている。立憲民主・国民民主・共産・自由・社民の各党は、参院選の32ある1人区で、野党の候補者を一本化することで一致している。しかし、具体的な道筋はいまだ見えていない。

共産党は、早くから「相互推薦・相互支援」を訴え、政党間協議を呼びかけている。野党共闘のために「一方的な候補者取り下げ」を繰り返してきた過去の選挙の反省からだ。
しかし、この呼びかけに対し、立憲・国民両党は慎重姿勢だ。両党からは「選挙が近づいて来れば、最終的に共産党が候補を降ろすことになるだろう」との楽観論が聞かれるが、共産党の本気度を見誤った場合、候補者一本化に至らない可能性もあり得るだろう。

こうした状況を受け、「仲介役」を買って出る団体が出てきている。労働組合の中央組織「連合」は、11月30日に立憲民主党・国民民主党それぞれと同じ内容の政策協定を調印した。

連合が立憲民主、国民民主両党と政策協定(11月30日)

また、これまでの選挙でも野党協力を推し進めた市民団体「市民連合」は、11月16日に各党の幹事長級が参加しての意見交換会を開催し、共通の政策協定を締結することで合意した。

「市民連合」との意見交換会に出席した野党議員(11月16日)

ただ、参院選に向けても各党の不信感は高まっている。関係者からは、「立憲民主党は野党内での第一党を目指したいだけで、本気の野党共闘には後ろ向きなのではないか」「国民民主党は支持率の高い立憲民主党に抱きついて選挙を乗り切るつもりか」などの声が聞こえる。とりわけ、野党第一党として協力を主導すべき立憲民主党に向けられる視線が、徐々に厳しくなっている印象だ。

11月28日に東京都内で開かれた「市民連合」のシンポジウムでは、自由党の森幹事長が「野党第一党がリーダーシップを発揮してほしい」と注文をつけると会場から大きな拍手が沸き上がった。
一方、立憲民主党の福山幹事長が過去の候補者調整の時期や取り下げの難しさを説明すると、「そんな昔の話は聞いていない!」「共産党は候補者を降ろしたぞ!」などの野次が飛びかった。いっこうに候補者一本化の道筋が見えない中で、野党共闘の旗振り役の「市民連合」を応援する市民にたまっている不満が垣間見えた。

参院選「待ったなし」真価問われる

年が明けると、参院選に向けた野党間の協議について、「待ったなし」の時が近づいてくる。もちろん、候補者の調整をするからには、最低限の政策の一致も必要だ。今年相次いで見られた野党の「足並みの乱れ」と、それに伴う感情的なしこりは、参院選での連携に向けた不安要素となっているが、それらを乗り越えての体制構築が求められている。

「安倍1強」の1つの要因が、議席数で与党が野党を圧倒している現実であるのは明らかだ。野党にとって「安倍1強」を崩すには、まず参院選での勝利が不可欠であるのは間違いない。「バラバラで戦うことで与党を利することがあってはならない」と野党関係者は口をそろえているが、そのための努力は、この閉会中から必要かもしれない。

国会会期末に会見する安倍首相(12月10日)

国民が民意を示す最大の機会が選挙であるなら、選挙で問われるのは、政党の実績であり、主張であり、政党そのもの真価である。野党の真価が問われる「審判の日」は、確実に近づいている。

(フジテレビ野党担当キャップ 古屋宗弥)

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