日本初の“夜間無人スーパー”が開店!万引き対策についても聞いてみた

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  • 午後10時~午前5時の間は無人となるスーパーが開店
  • 専用アプリと会員カードで入店を管理。運営コストは従来の約4割減
  • 「非購買データ」の蓄積でサービスの充実を目指す

最新技術の進歩は著しい。店頭で接客するロボットが誕生したかと思えば、音声操作で情報取集や家電操作などができるスマートスピーカーも普及し始めている。
あらゆる分野で進む効率化や省力化は今後、AI技術の発達でさらに発展していくとみられる。

こうした中、日本初の“夜間無人店舗”スーパーが誕生した。
スーパーマーケットの「トライアル」などを運営する株式会社トライアルカンパニーが12月13日、最新テクノロジーを活用した「トライアル Quick 大野城店」を福岡・大野城市に開店。24時間営業のうち、午後10時~午前5時の間は売り場に店員がいない状況で営業する。

専用アプリと会員カードで入店を管理

キャッシュレス決済に対応する「トライアルお買い物アプリ」

大野城店は同社ブランド「Quick」の第1号店。仕事終わりの共働き世帯が気軽に訪れ、「家事の時間を “Save”(節約) できる店」をコンセプトに考案された。

夜間の無人営業を可能とするのは、スマートフォンを活用したキャッシュレス決済などの最新テクノロジーだ。
同店では、昼間は通常のスーパーマーケットのように入店可能だが、午後10時~午前5時の間は、店舗入口の専用端末に同社の専用スマートフォンアプリ「トライアルお買い物アプリ」か会員カード「トライアルプリペイドカード」をかざさなければ入店できなくなる。
(※予想を超える来店客だったため、入店時のチェックは2019年から開始)

売り場では全ての商品に電子タグが取り付けられ、AI機能を搭載したカメラ約200台で商品の在庫状況や顧客の動向を把握。顧客は「トライアルお買い物アプリ」やタブレットが付属した決済機能付きレジカート、セルフレジで商品のバーコードを読み取り、決済することで商品を購入できる。
レジは全てセルフレジを採用しているため、顧客は入店から商品購入、退店までを一人で済ませることができる仕組みだ。

AI機能搭載のカメラが設置されたショーケース

このほか、冷凍・冷蔵ショーケースにもAI機能搭載のカメラを設置。商品を手に取った顧客の性別や年齢など、これまでは体感でしか分からなかった「非購買データ」を収集して品揃えの充実に活用するなど、“未来型店舗”とも言えるさまざまなアイデアが詰め込まれている。

なぜこのような店舗形態を始めたのか?トライアルカンパニーの担当者に聞いてみた。

約4割のコスト削減と省力化

ーーなぜ夜間の無人営業を始めた?

小売業界は全国的な人手不足とコスト削減に悩まされており、この状況を改善しようと考案されました。弊社としては、夜間の売り場を無人化することで従来の運営モデルから約4割のコスト削減を見込んでいます。この削減分をIT・AI技術への投資、お客様への還元に活用したいと考え、無人営業を始めました。


ーー店舗側にはどのようなメリットがある?

コスト削減と労働力の省力化が期待できます。店内に配置された約200台のAIカメラは商品の欠品情報を把握してくれるため、これまで人力で行っていた商品管理や商品発注の手間を削減できます。大野城店では既にほとんどの商品を自動発注で仕入れています。

「バックヤードに若干の店員が勤務」

ダイナミック・プライシングを可能にする電子式値札

ーー夜間、生鮮食品の管理はどうする?

無人営業時における商品管理につきましては、IT・AIの技術を取り入れながら行っていきます。大野城店では売り場に約1万2,000枚の電子式値札を導入し、需要と供給に合わせて商品価格が変動する「ダイナミック・プライシング」に取り組んでいます。このシステムも有効活用し、商品の売れ残りを出さない価格設定を自動的に行い、しっかりと管理していきます。


ーー万引きなどにはどう対処する?安全面で問題はないのか

一般的な小売店の防犯カメラは約30台ほどですが、大野城店にはAIカメラ約200台と防犯カメラ約30台を設置しています。決済機能付きレジカートやセルフレジにもカメラがあり解析もできるため、これらが抑止力になると考えています。また、商品の納品対応や酒・タバコ類の年齢確認を行うため夜間でもバックヤードには若干名の店員が勤務します。売り場は基本的に無人となりますが、有事の際はこれらの店員が対応するため、問題はないと考えています。


ーー無人営業における課題は?

お客さま一人ひとりの満足度を高める必要性があると感じています。実際に店舗を営業したところ、セルフレジでの会計に慣れない高齢者のお客様が商品スキャンに苦慮する姿もありました。当面は人による説明を行いながら、お客様の声のデータ収集を行っていきます。使いやすさを追求するため、システム及びソフトの改善を行い、無人の状態でスマートに買い物できる環境を整えていきます。


ーー今後の展望と無人営業の拡大の可能性について

まずは少ない人員で運営が可能な店舗を増やし、その先に無人営業が可能であれば導入を進めたいと考えています。現状では、弊社の基盤である福岡や佐賀などの北部九州の店舗で最新テクノロジーを活用した省力化を進め、無人営業の仕組みの確立につながればと考えています。

デジタルサイネージを活用したクーポン情報の提供も行う

夜間の無人店舗というアイデアは、最新テクノロジーを活用したビジネスモデルによって実現していた。かつて、商店街の個人商店からスーパーマーケットに店舗の集約化が進んだように、無人店舗が当たり前となる日もそう遠くはないのかもしれない。

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