感情を分析…自分に“そっくりな仏像”を選んでくれるサイトが面白い!

カテゴリ:国内

  • 顔写真の感情に合った仏像を選ぶウェブサイトを奈良大学が公開
  • 8つの感情を簡単ステップで分析!実際に体験してみた
  • 「悲しみ」の数値が高いのは、あの有名な仏像だった

自分の感情に近い仏像を見つけられる

今年も残り20日をきり、気持ちを切り替えて「来年こそはよい年にしたい」と願っている人も多いはず。

そして、そんな思いを祈願しに、新年に神社仏閣へ初詣を考えている方々も行く前にやってみたら面白いかもしれないウェブサイト「Buddience~仏像の顔貌を科学する~」を奈良大学が公開し、注目を集めている。

このメインコンテンツの「Buddha Matching」では、アップロードした顔写真の感情に近い仏像を示してくれるというのだ。
ネット上では「こんな観音様いるんだ」「お釈迦様出ちゃった」などと報告する様子が見られるなど盛り上がっている。

自分の感情に近い仏像を見つけるとはどういうことなのか?年齢もアラサーとなり、人生の将来性を見定めたい筆者も早速体験してみた。

細かな感情の分析に驚き。実際にやってみた

さっそくそのサイトを見てみると、黒を基調としたデジタルチックな構成。URLを開くと画面には「Buddha×Science」「仏像の顔貌を科学する」という文字に続き、「釈迦如来坐像」や「宇賀神坐像」など、どこかで見た名前の仏像が次々と描かれていく。

お目当ての「Buddha Matching」はサイト左上にあったのでクリックしてみた。

1.規約への同意と撮影手法の選択
診断はPCとスマートフォンのカメラ、どちらでも利用可能。今回はPCを使って体験してみた。

規約に同意してアップロード方法を選択する

2.顔写真のアップロード&感情分析
PCの内部カメラで写真撮影。まずは真顔の一枚をアップロードしてみる。

写真は何度でも撮り直し可能

すると、すぐ分析を開始。
8つの感情(「怒り」「軽蔑」「嫌悪感」「恐怖」「喜び」「中立」「悲しみ」「驚き」)を自動で数値化してくれる。

即座に感情を分析してくれる

待つこと数秒。分析結果が出た。中立が0.99800(99.8%)、悲しみが0.00200(0.2%)という結果になった。真顔の写真のつもりだったが、悲しみの感情もわずかに入っていたのか…

3.仏像と結縁(診断結果の発表)
「あなたに結縁する仏像は...」と出る画面をスクロールすると、いよいよ診断結果が発表。
実際に存在する17種類の仏像から、顔写真の感情に近い仏像を選び出してくれる。

実際の診断結果に説明を追記した画像

診断結果は、京都の浄瑠璃寺にある「吉祥天立像」。
仏像自体の感情分析を見ると、他の感情に属さない「中立」が0.99663(99.7%)とほとんどを占めていて、確かに前述した筆者の顔写真の診断結果に近いことが分かる。

診断結果は「吉祥天立像」

診断の最後にはミニ情報として、仏像の由来や現在の状態などを紹介してくれる。
SNSへのリンクもあり、知人らへと簡単に周知できる仕組みとなっていた。

アップロードする顔写真の表情を変えると結縁になる仏像も変化するため、思わず何度も試してみたくなる。
仏像に興味を持たなかったとしても、“自分に近い仏像”とされることで、その仏像に親近感を感じることも人気の理由かもしれない。

笑顔で撮影してみると…
「菩薩半跏坐像」と判定

顔写真と似た感情の仏像を導き出すというユニークなアイデアは、どのようにして生まれたのか?
奈良大学の広報担当者に聞いてみた。

自分が拝むべき仏像の示唆に

ーーなぜこのようなサイトを

奈良大学では毎年、学術研究とは違う視点で学生たちが取り組んでみたいテーマを毎年決め、それをプロジェクト化しています。
今年は「仏像にも感情があるのだろうか?」という素朴な疑問から、「Buddience」(Buddha×Scienceを掛け合わせた造語)をテーマに、仏像の表情や魅力を科学的に解析することは可能かどうか研究することになりました。

プロジェクトを進める中で、最新のテクノロジーを使えば客観的に仏像の感情を読み解けることが分かりました。
このデータを、自分の感情状態に近い仏像と結びつけることで、自分が拝むべき仏像がどの仏像なのか一つの示唆になるのではと考え、今回のウェブサイトと「Buddha Matching」を制作することになりました。

サイトデザインは仏像に興味が無い人、特に高校生にも訪問し体験して欲しいと思い、ステレオタイプな仏像のイメージとは遠いデザインとしています。

ーー顔写真から仏像を導き出す仕組みは?

今回のサイトには、マイクロソフト社の感情測定テクノロジー「Emotion API」(以下:E-API)を活用しています。
「Emotion API」は写真の人物の表情を、「怒り」「軽蔑」「嫌悪感」「恐怖」「喜び」「中立」「悲しみ」「驚き」の8つの指標で数値化できるため、プロジェクトでは、ランダムに選定した仏像216体の写真(画像)465点をE-APIにかけ、それぞれの感情の数値を測定しました。

これらのデータとアップロードされた顔写真の感情分析を照合し、診断結果を出しています。
「Buddha Matching」の診断結果で出てくる仏像は、8つの感情パラメータでそれぞれ上位となった仏像を設定しています。

プロジェクトのグループワークを行う学生ら(画像提供:奈良大学)

人それぞれに、そしてその時の気持ちによっても違った表情を見せる気がする仏像の顔を、最新のテクノロジーはどのように読み取るのか、という興味から始まったプロジェクトだが測定時の苦労もあったという。


ーープロジェクトを進める中で分かったことは?

仏像の中には、風貌が人間とかけ離れていることなどから「測定不能」(数値が検出されない)となる画像があり、同一の仏像でもライティングの当て方や撮影の角度で、検出される感情の数字が異なることが分かりました。

診断の傾向としては、8つの感情のうち「中立」の数値が高くなると、いわゆる“ホトケ顔”や“ボサツ顔”になることが確認されています。

角度を変えて撮影した天部立像(画像提供:奈良大学)

「阿修羅像」は「悲しみ」の数値が高い

ーープロジェクトを通じて感じた仏像の魅力は

興福寺の「阿修羅像」は「慈愛にあふれた顔貌」が魅力とされていますが、画像をE-APIにかけた結果、
人間の表情のデータに非常に近かったほか、他像に比べ「悲しみ」の数値の割合が高く、さらに「喜び」の数値も検出されました。

阿修羅像は、当初計画された顔貌が今より少し厳しい顔立ちで、仕上げの段階で現在の顔貌に変更されたといいます。
感情パラメータの「悲しみ」を「いつくしみ・慈悲」、「喜び」を「安らぎ」と読み替えることで、
阿修羅像の「慈愛に満ちた」顔貌の魅力が、一般の方にも分かりやすく説明できるのではないかと考えました。

阿修羅像の画像 は「悲しみ」の数値が高い(画像提供:奈良大学)

ーー今後については?

仏像の顔貌を分析する作業を通じて、同じ条件下で撮影された画像があれば、感情などを比較することが可能と分かりました。
今後は分析対象を増やし、精度を高めることによって、仏像に関する様々な考察にもつながると考えています。

このサイトでは、仏像の感情や年齢に関する考察も掲載しているが、顔写真と仏像をマッチングするという奇抜な取り組みは、学生らの“仏像愛”から生まれたアイデアだった。
その時の感情のままに写真を撮り、結縁となった仏像の由来を調べて、機会があれば現地に足を運んでみるのもいいかもしれない。