改正水道法が成立!“命の水”水道民営化でどうなる?安全性は?値上げは?

  • 現在8倍の水道料金価格差が“民営化”で20倍になる可能性も
  • フランスは一度は民営化したものの再び公営化に戻していた
  • 地震大国ニッポンで災害時に“命の水”は本当に守られるのか?

老朽水道管の交換には1kmあたり1億円!

埼玉県秩父市、積み重ねられた古木のようなものは老朽化し撤去された水道管。これは昭和30年ごろから60年以上にわたり使用されていたもので全体がさびついている。水道管の交換には1km当たり1億円もの費用がかかるといわれている。秩父市の担当者によると水道管は老朽化すると漏水したり地震で弱くなる心配がある。秩父地域では老朽化した水道管が約190km分もあり、これから20年で200億円かかる見通しという。

高度成長期に急速に整備された日本の水道管は大部分が40年とされる耐用年数を超え、今も取り換え工事がされておらず、老朽化による漏水や破裂事故などが年間2万件以上も起きている。

12月6日成立した改正水道法では、これまで水道事業を運営してきた自治体が浄水場などの施設を所有したまま運営を民間企業に売却する「コンセッション方式」を促進しているのが特徴だ。

自治体ごとの水道料金格差は民営化で20倍にも?

水道料金の全国平均はひと月3227円。自治体ごとに料金差があり、全国で最も安いのは兵庫県赤穂市で853円。これに対し最も高いのは北海道の夕張市で6841円。8倍の格差がある。

赤穂市が安い理由は水質が良いため、水の浄化にかかるコストが低いこと、それに加えて人口が密集しているため配水管を配置する効率が良いことなどがあげられる。一方で最も水道料金の高い夕張市は広い面積の中に、住宅が点在しているため一人当たりにかかる負担額が多くなるためだ。

水ジャーナリストの橋本淳司さんは、民間企業の水道事業への参入により、現在8倍の格差が20倍程度になるという予測があるという。さらに、集落が点在している地域は、この水道管のメンテナンスにお金がかかるので収益性の望めない地域では、受け皿となる企業が出てこない可能性は十分考えられるという。

民営化の先駆けフランスでは再び水道公営化 一体なぜ?

今回、導入されるコンセッション方式の先駆けはフランスパリでは1980年代に水道民営化を実施
現地に住む人によると、当時、民営化されたのち3か月に一度値上げがあったという。結局、パリでは25年間で水道料金が2倍以上に高騰。そして、2010年に再び公営化に戻った経緯がある。

パリ在住のイザベラさんは、民営化よりも公営化のほうがより信頼できると話す

地震大国ニッポン 民営化して緊急時は大丈夫?

さらに、地震大国の日本では民営化による不安も指摘されている

今年6月、最大震度6弱を観測した大阪府北部地震の際には、各地で水道管が破裂し断水が発生その原因が耐用年数の40年をはるかに超えて使われてきた“耐震化”されていない水道管によるものだった。

水ジャーナリストの橋本氏によると、地震のような緊急時にどのように対応するか、明確になっていないのが、コンセッション方式を導入するときの課題として残っているという

一部の自治体では、民営化を待たずに対策に動いているところもある。秩父市では2年前に4つの自治体と結合し水道事業の広域化を行い老朽化した水道管の交換を進めている

水ジャーナリストの橋本氏によると、今後、水道事業は自治体によって置かれている状況が異なるのでコンセッション方式を選ぶ自治体もあれば、広域化などで対応していく自治体などもあり、解決策をどのような方法を選んでいくかは、自治体によって違ってくるだろうと話している。

(プライムニュース イブニング 2018年12月6日放送分より)

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